安価で高効率なOLED(有機EL)製造が可能に!?

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今よりも割安で高効率なOLED(Organic Light Emitting Diode、有機発光ダイオード)、OEL(Organic ElectroLuminescence、有機EL)が製造可能になる新分子が、ハーバード大学の研究者達によってデザインされたようです。

今後は有機ELディスプレイが主流になると、一部の人間の間で噂されているらしいのですが、価格の高さが障壁になるとも囁かれていました。しかし、今回その懸念を覆す、安く有機ELを製造できる技術が開発された事で、来年以降、有機ELの普及に拍車がかかるかもしれません。あるいは、かからないかもしれません。全く分かりません。

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青色発光分子

Towards a better screen

Harvard University researchers have designed more than 1,000 new blue-light emitting molecules for organic light-emitting diodes (OLEDs) that could dramatically improve displays for televisions, phones, tablets and more.

「ハーバード大学の研究者は、テレビ、スマホ、タブレットやその他のディスプレイを飛躍的に向上する可能性がある有機発光ダイオード(OLEDs)のための、1000を越える新しい青色発光分子をデザインしました。」

OLED screens use organic molecules that emit light when an electric current is applied. Unlike ubiquitous liquid crystal displays (LCDs), OLED screens don’t require a backlight, meaning the display can be as thin and flexible as a sheet of plastic. Individual pixels can be switched on or entirely off, dramatically improving the screen’s color contrast and energy consumption. OLEDs are already replacing LCDs in high-end consumer devices but a lack of stable and efficient blue materials has made them less competitive in large displays such as televisions.

「OLEDスクリーンは電流が印加されると、光を発する有機分子を使います。どこにでもある液晶(LCD)と違い、OLEDはバックライトを必要としないので、ディスプレイは、プラスチックシート並に薄くフレキシブルにできます。個々のピクセルは、オン、あるいは、完全にオフに切り替えられるので、劇的に画面のカラーコントラストとエネルギー消費を改善します。OLEDsは、高価格帯のデバイスにおいては、既に液晶に取って代わっていますが、安定した効率の良い青色素材不足が、それらをテレビ等の大型ディスプレイ分野での競争力を弱めていしまっています。」

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分子スペースシャトル

The interdisciplinary team of Harvard researchers, in collaboration with MIT and Samsung, developed a large-scale, computer-driven screening process, called the Molecular Space Shuttle, that incorporates theoretical and experimental chemistry, machine learning and cheminformatics to quickly identify new OLED molecules that perform as well as, or better than, industry standards.

「MIT(マサチューセッツ工科大)とサムソンと連携したハーバード大の研究者達の分野の壁を超えたチームは、業界標準と同等、あるいは、それ以上の性能を引き出す、新しいOLED分子を素早く識別するために、理論化学、実験化学、機械学習、化学情報技術を組み込んだ、分子のスペースシャトルと呼ばれている、大規模なコンピューターによるスクリーニングプロセスを開発しました。」

産学共同研究チームが、分子のスペースシャトルと呼ばれる、大規模のコンピューターを駆使した、分子の識別プロセスを作り出したらしいです。MIT、ハーバード、サムソンとか、ある意味、世界最強チームと言っても、決して過言ではないのではないでしょうか。

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青色発光材料

The biggest challenge in manufacturing affordable OLEDs is emission of the color blue.

「手頃な価格で買えるOLEDを製造する上での最も大きな課題は、青色の発光です。」

Like LCDs, OLEDs rely on green, red and blue subpixels to produce every color on screen. But it has been difficult to find organic molecules that efficiently emit blue light. To improve efficiency, OLED producers have created organometallic molecules with expensive transition metals like iridium to enhance the molecule through phosphorescence. This solution is expensive and it has yet to achieve a stable blue color.

「LCD同様、OLEDは、画面上の全ての色を作り出すために、緑、赤、青のサブピクセルに依存しています。しかし、効率的に青色を発光する有機分子を見つけるのが困難でした。効率を上げるために、OLED製造業者は、リン光を通して分子を増幅するためにイリジウムのような高価な遷移金属を使った有機金属分子を開発しました。この解決策は、高額な上に未だ安定した青色は得られていません。」

青色発光が有機ELの最大のボトルネックで、それのせいで、製造に金がかかるだけではなく、技術的に未成熟ゆえに、本物の安定した青色の再現が不可能だったようです。似て非なるものを使っていては、本当の色の再現は無理なのは当たり前です。今回の研究成果により、有機ELの未来はかなり明るくなったのではないでしょうか。

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機械学習(深層学習)の潜在性

安定した明るい青色発光を実現可能な有機分子を探し出すために、160万を越える分子の候補ライブラリを構築し、効率的に分子を識別するためのマシーンラーニング(機械学習)アルゴリズムを組み込んだコンピューターを駆使して、従来とは比べ物にならない速度を精度で、青色発光分子の特定が可能になったみたいです。コンピュータの力と、人間的直感、経験から得られた知識をフル活用して、それらを相互に絡み合わせる事で、今回の偉大な発見がなされたようです。機械学習がなければ達成は不可能だったようです。

有機分子の研究に機械学習を効率的に組み込むことで、研究時間や費用の大幅な削減ができるだけではなく、より高精度で高速に研究遂行が可能になるみたいな感じです。

“We could predict the color and the brightness of the molecules from a simple quantum chemical calculation and about 12 hours of computing per molecule. We were charting chemical space and finding the frontier of what a molecule can do by running virtual experiments.”

「我々は、分子の色と輝度を、簡単な量子化学計算と1分子当たり約12時間の計算から予測することができました。我々は化学空間をチャート化して、仮想実験を実行する事で、分子が出来ることの限界を見つけ出しました。」

分子がどんな色で、輝度の度合い、安定的といった要素を見つけ出すための仮想実験で、分子の能力の限界を予測し、3つの要素の全てを兼ね備えている分子を、力業で探し出したみたいです。マシンの能力だけでは当然不可能な作業で、研究者や協力者達の直感や、ひらめきが鍵だったようです。160万の分子から2500を厳選し、その中からさらに1000を選りすぐったそうです。マシンラーニングと人間の経験と直感のコラボと言えます。

簡単な量子化学計算の実行に、1個の分子につき、12時間もの計算時間が必要なようです。将来的に量子コンピュータができれば、100万個の分子を同時に1秒足らずで計算できるようになるわけですから、どれだけ科学が進歩するのか想像もつきません。量子コンピュータと旧来のスーパーコンピュータの深層学習機能を組み合わせれば、あらゆる科学分野で、可能性が無限に広がるのではないでしょうか。

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