分子エレクトロニクス、DNA分子製の銀ナノワイヤー!

モスクワ物理工科大学の科学者を含む、ロシアとイスラエルの研究チームが、DNA分子と銀ナノ粒子からナノ細線を作成することに成功しました。この研究結果は、Advanced Materials誌に掲載され、その雑誌の表紙で特集されました。

電気回路とデバイスが、より小さく、より高効率になるにつれ、従来のエレクトロニクスは、技術上の限界に近付いてきてしまっています。電気的・光学的デバイスを、さらに向上・小型化するためには、ナノサイズの構成部品が必要になってきています。1つの有望な方法は、単分子部品をベースにしている、分子エレクトロニクスを利用することです。ナノワイヤは、回路中で基本構成部品として使えるかもしれません。DNA構造とそれの自己組織化能が、それをナノワイヤ製造にとても都合の良い分子にしています。

DNA分子と銀ナノ粒子

Scientists make silver nanowires based on DNA molecules

”もし、DNA分子が、持続的な電気伝導性を示せれば、私達は、今すぐにでも、次世代の電子回路や電気デバイスを目撃することができます。しかしながら、DNAの電気伝導度は、ある状況下において、特に、その分子が硬質基板上に被着している場合には、大変低いです。我々は、グアニン・シトシン対(GC-DNA)から成るDNA分子が、その金属の原子を捉えることにより、銀ナノ粒子と相互に作用できることを見つけ出しました。銀原子がDNAに取り込まれると、その分子は金属化を経験します。”

分子エレクトロニクス

DNAの魅力的な特性は、遺伝情報を保存する能力だけに限定されてはいません。分子エレクトロニクスで利用されるための、ナノ伝導体用の最有力候補の1つです。今回の研究論文の著者達は、彼らの過去の研究における、DNAの多くの特有の特徴を明かにしています。まず初めに、それは、2個の超伝導体の間に置かれると、超伝導性を示します(近接誘発超電導として知られている現象)。第二に、DNA分子は、電荷輸送を達成可能ですが、それらの伝導度は、それらが被着している基板によって変化します。分子の全長沿いに、それらの均一配置を実現するのは困難ではありますが、二重鎖沿いに金属原子を取り込むことで、電荷輸送を促進することが可能です。結果として、金属化は、その分子の一部の領域では起こらず、その事が、それの全体的な電気伝導度を損ねてしまっています。今回の研究論文の著者達は、グアニンストランドと補完的なシトシンストランドでできているGC-DNAが、均一に金属化された構造体を産出するために、銀ナノ粒子を使って、処理され得ることを発見しています。

E-DNA分子

金属化は、GC-DNAをオリゴヌクレオチドでコーティングされた銀ナノ粒子の溶液へ加えて、それを2~3日培養することを伴った、比較的単純な工程です。粒子は、それらの原子を提供することで、DNAと相互作用し、最終的に、全ての分子が、均一に金属化します。科学者達は、結果として生じたDNAベースの分子を、E-DNA(EはエレクトロニクスのE)と呼んでいます。E-DNAは、通常の二本鎖DNA(dsDNA)に比べ、より硬く、機械的変形により耐久性を示します。また、それは、親分子に特有である、酵素によって消化されません。原子間力顕微鏡で実証されているように、E-DNA分子は、親dsDNA(0.7 nm)に比べて、高さ(1.1 nm)が増しています。

“Since metal atoms are distributed evenly along the DNA molecule, we expect the nanowire to be a good conductor,” explains Dmitry Klinov.

The team plans to conduct further research into the properties of E-DNA and metallization mechanisms.

「”金属原子は、DNA分子に沿って均一に分配されているので、私達は、ナノワイヤが良導体になるだろうと予想しています。”と、ドミトリー・クリノフは説明しています。彼のチームは、E-DNAと金属化メカニズムの性質に関する追加研究を実施予定です。」

今回新たに開発された銀ナノ細線を使えば、分子エレクトロニクスが可能になるのかどうかは分かりませんが、少なくとも、DNAを利用した電子機器が将来的に開発され得る土壌はできたみたいな感じです。かなり期待できる研究だと言えるのではないでしょうか。