室温で動作可能なマルチフェロイック材料!

新素材が、今のハードドライブと比べ、エネルギー需要を大幅に削減出来る可能性があるので、今後のデータ記憶装置の基礎原料になるかもしれません。これは、それらの際立った特徴が磁気的性質と電気的性質が互いに結合していることである、磁気電気マルチフェロイクスと呼ばれている種類の物質です。この結合のおかげで、よりエネルギー効率の良い電場を用いて磁気ビットを書き込む事を可能にしています。この種の物質が、将来、コンピュータメモリの基礎としての機能を果たす可能性を、長い間期待されていました。

新たに開発されたマルチフェロイック材料の利点は、それが、今までの大部分の磁電気マルチフェロイクスのように、通常-200℃の極低温まで冷却された時だけではなく、室温でも必要な磁気特性を示すことです。パウル・シェラー研究所(ポール・シェラー研究所)の研究員は、彼等の新しい研究結果をNature Communications誌に発表しています。

磁気電気マルチフェロイック材料

New data storage material retains its special magnetic properties even at room temperature

PSIの研究者は、将来のデータ保存メディア用に、物凄いポテンシャルを秘めた新素材を作り出しています。これは、最大で室温に至るまで必要な磁気特性を維持しているので、日常目的に適しているという決定的な改良点を持った磁気電気マルチフェロイック材料と言われている物です。

室温で扱えるということは、個人用パソコンにも使えるということです。

磁電気マルチフェロイック材は、非常にレアです。それらの中で、磁気特性と電気特性は、お互いに結合しており、結果、その磁気特性は、電場の印加を介して制御可能です。電場は、磁場よりずっと簡単で効率的に発生可能です。電場が、電磁マルチフェロイクスに印加されると、それは、その物質の電気特性に影響を与えます。磁電気結合を通して、その後、無償で磁気特性における変化を獲得できます。

データ保存して省エネ

現在のコンピューターハードドライブは、磁場の印加を介して書き込みされている磁気ビットの形でデーターを保存しています。対照的に、マルチフェロイクスベースの記憶媒体は、いくつかの強みを持っています。例えば、磁気記憶は、かなり省エネな電場の印加を介して達成でき、デバイスは発熱を抑えられるので、冷却の必要性が減り、ファンやエアコンの使用を控えることができます。コンピューティングが、毎年数兆キロワット時の電力を消費していることを考えれば、この分野の省エネは重大です。

電気代の大幅の節約ができ、記憶装置の発熱が低いので小型化も可能です。

ほぼ全ての物質において、磁性、例えば鉄で見られるような、と強誘電性(物質の特殊な電気的性質)は、相互排他的です。ここでは、マルチフェロイック物質は、例外であることを示しています。つまり、それらは、強誘電性であると同時に磁性で、さらに、これら2つの特性は、互いに結合しています。現在までに科学者が作り出すことが可能な物質は、しかしながら、マルチフェロイック挙動を、ほぼ例外なく、-200℃等の極低温で示しています。PSI研究者の新素材は、この点において革新的と言えます。

 新素材の正体

The researchers came up with their new material by custom-tailoring both its chemical composition and the exact production process. They ultimately found that the material with the chemical formula YBaCuFeO5 is suitable, and that it yields the best results when first heated to a high temperature and then subjected to an extremely fast cooling. At high temperatures, the atoms arrange themselves in such a way as to be useful for our purposes, Medarde explains. The rapid cooling essentially freezes this arrangement in place.

「研究者は、化学組成と精密な製造プロセスの両方を特別にあつらえることで、新素材を見つけ出しています。彼等は、最終的に、化学式YBaCuFeO5を持つ物質が適切で、最初に高温に熱してその後急速冷却すると最良の結果を生み出すことを発見しました。高温では、原子は、我々の目的に適うように、自身を配列します。急速冷却は、基本的に、この配列が定着するように凍結させています。」

The underlying method of rapid cooling – also known as quenching – is familiar from the manufacture of especially hard metals and has been used for centuries, for example, in tempering steel swords. The PSI researchers, however, applied much more extreme temperatures: They first heated their material to 1000 degrees Celsius and then cooled it abruptly and rapidly to minus 200 degrees Celsius. After the material is taken out of this cooling bath, it retains its special magnetic characteristics up to and somewhat above room temperature.

「焼き入れの別名でも知られている急冷はの基調を成している手法は、特に超硬合金の製造でお馴染みで、例えば鉄製刀を焼戻しするのに、鉄数百年間使われています。PSIの研究者達は、しかし、はるかに高温を適用しています。彼等は、新素材を最初に1000℃まで熱し、それから急激・急速にそれを-200℃まで冷却しました。その物質が冷却槽から取り出された後、最大で、若干室温より上まで、特殊な磁気特性を維持しています。」

合成と特性最適化手順は、その物質が生産後に、2大研究施設、スイス核破砕中性子源 SINQとスイス放射光源 SLSで解析された PSI で考案されました。その新素材は高価な材料は含んでいません。製造方法(既に細部にわたるまで綿密に仕上げっているので)は、簡単に実行可能です。

Swiss Light Source = スイスライトソース、スイス放射光施設、スイス光源、Swiss Spallation Neutron Source = スイス中性子実験施設、スイス核破砕中性子源

磁気螺旋

新素材は、その特性を、原子レベルで、いわゆる磁気らせんの存在に負っています。この小さならせんが、磁性と強誘電性の結合をもたらしています。ほとんどの物質において、磁気らせんは、物質が約-200℃よりも温まると消失します。PSIの研究者は、磁気らせんが室温で安定している物質を作り出している事に、彼等の主な成果と見なしています。30℃という室温25℃を上回る温度でさえも、磁気螺旋は、なお健在です。

高温超伝導体の親戚

The material YBaCuFeO5 is in fact not completely new. The compound was actually synthesized for the first time in 1988. Now, however, the PSI researchers’ special fabrication process precisely arranges the iron and copper atoms in such a way that the material acquires completely new properties. YBaCuFeO5 is closely related to yttrium barium copper oxide, chemical notation YBa2Cu3O6+x, a group of superconductors discovered in 1987 that remain superconducting up to relatively high temperatures: Some of them lose their superconducting property at temperatures around minus 180 degrees Celsius—that is, around 200 degrees lower than the spiral order temperature of the new material developed at PSI.

「その物質、YBaCuFeO5 は、実は、完全には新しくありません。その化合物は、実際には、1988年に初めて合成されています。しかし、現在は、PSI研究者の特別な加工プロセスが、鉄と銅の原子を、その物質が完全に新しい特性を獲得できるような形で、正確に配置しています。YBaCuFeO5 は、比較的高温に至るまで超電導状態を維持し続けることが可能な、1987年に発見された超伝導体のグループ、イットリウム・バリウム・銅酸化物、化学表記法が YBa2Cu3O6+x と密接な関係があります。それらの一部は、摂氏約マイナス180度で超電導を失います。つまり、PSIで開発された新素材のらせん秩序温度よりも約200度低いということになります。」

25℃から30℃まで磁気特性(磁気螺旋)を維持できるのはすごいと言えます。真夏の高温環境でなければ、CPUやGPUの発熱を別にすれば、常温下で動作可能のこの新素材を利用した磁気メモリ媒体を使うことができるということになるからです。超高速メモリとしても使えそうなので、スマホやノーパソの性能を大幅に向上させてくれそうです。