消費者心理:高かろう健康に良かろう、安かろう悪かろう

例えば、ケーキ屋の手作りショートケーキと工場の大量生産ショートケーキとでは、当然値段が違ってきます。ケーキ屋が材料にこだわれば、同じ分量で、値段に倍以上の差が出るかもしれません。添加物だらけで原材料の出自が不明な大量生産ケーキは安かろう悪かろうで、産地まで明記した無添加安心安全ケーキは高かろう良かろうです。

良いものを作ろうと思えば当然高く付くので、高かろう良かろうは、作り手(売り手)が正直者(さらに原材料生産者が正直者)という前提で、至極当然と言えます。良い材料には数量的に限りがあるので、大量生産には向かないのもあり、そういった意味では、希少価値も有るし、1個1個手作りの手間を考えれば、良い物はどうしても高価になります。

高価な食品は健康に良い

The strange effects of thinking healthy food is costlier

Consumers believe healthy food must be more expensive than cheap eats and that higher-priced food is healthier – even when there is no supporting evidence, according to new research.

The results mean not only that marketers can charge more for products that are touted as healthy, but that consumers may not believe that a product is healthy if it doesn’t cost more, researchers say.

「新しい研究によると、消費者は、根拠となる証拠が何もない時でさえ、ヘルシーな食べ物は安い食べ物よりも高価にちがいないし、価格設定の高い食品ほどヘルシーと信じているとの事です。その研究結果は、マーケティング担当者が、健康的と謳われている商品の金額を吊り上げることができるだけではなく、消費者が、価格が高くない商品は健康的な製品ではないと信じる可能性があることを意味していると、研究者達は言っています。」

educated guess(豊富な知識や経験に基づく推測)っていうやつで、例えば、原材料が北海道産の無農薬・無除草剤・無化学肥料のオーガニック小麦の全粒粉と、長野県東御市産のクルミを使った、完全無添加全粒粉くるみパンが、アメリカ産の有機小麦全粒粉と有機クルミを使った有機クルミパンより高いのは当たり前です。過剰な国産信仰も考えものだとは言われており、確かに、海外から本物の食材(例えばフランス産のバターやラム肉)を取り寄せる人もいます。国産だから物が必ず良いとは限らないのも純然たる事実です。

レビューが指標

レビューが重要なのは言うまでもありません。個人的にもレビューを見てから買う習慣が付いてます。stealth marketing (ステマ)、buzz marketing (口コミ)、viral marketing (SNS伝播)などを駆使すれば、どんな商品もある程度は売れるようになると言われています。時給800円程度でバイトを雇う、あるいは、専門企業に依頼して、口コミサイトで自社製品(自製品)の高評価をさせたり、掲示板やフォーラム、SNSで製品をべた褒めさせるみたいなマーケティング手法です。ステマの場合は、視聴者や読者に宣伝行為とは思わせずに、それとなく商品の宣伝をする高等テクニックです。ネットで悪い評価が付くと物が売れなくなる時代なので、こういったマーケティングは必須だと言われています。良い商品は黙っていても、割高でも売れるというのもありますが、粗悪品を良い商品のように見せかけて、高値で売るのがビジネスの極意とも言われているので、宣伝も大事です。

In the final study, participants were asked to evaluate a new product that would have the brand slogan “Healthiest Protein Bar on the Planet.” They were told this bar would compete against other products that averaged $2 per bar.

「最後の調査で、参加者達は、”地球上で最もヘルシーなプロテインバー”というブランドスローガンを持つ新製品を評価するよう尋ねられました。彼等は、このバーが、1バーにつき平均240円の他の製品群と競争していることを教えられました。」

Some participants were told this new bar would be $0.99, while others were told it would be $4.

They were then given the opportunity to read reviews of the bar before they offered their own evaluation.

Findings showed the participants read significantly more reviews when they were told the bar would cost only $0.99 than when it cost $4.

「一部の参加者は、他の参加者が464円と言われた一方で、この新しいバーが117円と教えられました。その後彼らは、評価を与える前にそのバーのレビューを読む機会を与えられました。調査結果は、参加者が、バーが4ドルと言われた時よりも、99セントしかしないと言われた時の方が、顕著により多くのレビューを読むことを明らかにしました。」

ブランド信仰

“People just couldn’t believe that the ‘healthiest protein bar on the planet’ would cost less than the average bar,” Reczek said. “They had to read more to convince themselves this was true. They were much more willing to accept that the healthy bar would cost twice as much as average.”

「”人々は、単に、地球上で最もヘルシーなプロテインバーが平均的なバーより安いということが信じられなかっただけです。”とReczekは言った。”彼等は、これが現実なのかということを自分自身に確信させるために、レビューを多く読む必要がありました。彼等は、健康的なバーが平均の倍するということは、もっと進んで受け入れています。”」

ブランド自体がそのような存在で、全く同じ材料で、似たような製品を同じ国の労働者が作っていたとしても、ブランドと言うだけで、ノーブランド商品の数倍の値段で売られています。ブランド信仰、あるいは、社会的ステータス誇示というやつで、デザイン料という声もありますが、デザインが分かる芸術性のある人間がどれほどいるのかという、批判にも似た声も聞かれます。価値がたいして無いものを、いかにして価値以上の値段で売りつけるかがビジネスの極意なので、ブランド商法はその点では的を射ています。この場合は高いから健康的ではなく、高いから社会的ステータスが上とか、見せびらかしたいという俗世的な思考が購買意欲を刺激しています。一般に俗物根性と言われるやつです。

思い込みよりも真実

“It makes it easier for us when we’re shopping to use this lay theory, and just assume we’re getting something healthier when we pay more. But we don’t have to be led astray. We can compare nutrition labels and we can do research before we go to the grocery store. We can use facts rather than our intuition.”

「”私達がこのしろうと理論を使って買い物をする時、それは、私達に、もっと金を出せばもっと健康的な物が得られると思い込みやすくしてくれます。しかし、私達は、惑わされる必要はありません。私達は、栄養成分ラベルを比較できるし、食料品店へ行く前に、検索することができます。私達は直感よりも事実を使うことができます。”」

直感というより、高い食品が健康的という思い込みを改める必要があるみたいです。国産が安心安全という思い込み、業者が産地偽装をしていないという思い込み、スーパーフードが高いのは当たり前という思い込み、こういった思い込みは確かに危険です。検索できると言っても、ネットには虚言・妄言・デマ・ステマが溢れているし、メディアはスポンサーには逆らえないしで、何が真実なのかが分かりません。学術サイトや政府系のサイトが必ずしも正しいとは限らないし、研究もいい加減だったり、その研究をスポンサーしている企業や人間の主義・思想が絡んでいたり、そもそも科学自体が絶対ではないという問題があり、本当に何を信じて良いのか分からなくなってきます。結局信じられるのは自分の直感(gut feeling)だけという結論に行き着いてしまいます。buzz word(一部の人間達の思惑で流行している言葉)には振り回されないようにすることが肝心で、高い商品が必ずしも良い商品とは限らないのと一緒で、売れている物が必ずしも良い商品であるとも限りません。流行やブランド商法に惑わされることなく、安くて良いものを買うのが、真に賢い消費者なのですが、良い物を少しでも安く売ろうと頑張っている、正直でまじめな企業や個人を応援するのも、賢い消費者であると言えます。買って(食べて)応援です。