ウィルスが細菌の細胞機構を乗っ取る仕組みを初めて解明

UC サンディエゴ校の生物学者達が、巨大なウィルスが、動物や人の細胞でやっているような、こういった異質侵入者が、乗っ取った細胞が何百もの新しいウィルスを作り出すように仕向け、最終的に爆発的に自己増殖して感染細胞を破壊するプロセスである、感染期間中に侵入した細菌の細胞機構を再プログラムする仕組みを初めて文書化しています。

1月13日号のサイエンス誌に掲載された今回の研究論文の中で、前記の研究者達は、侵入ウィルスが複製をしている間に細菌細胞内部で起きていることの詳細を見ることを可能にしている一連の実験を実施しました。

バクテリオファージ(細菌ウィルス)

Biologists discover how viruses hijack cell’s machinery

”科学者達は、100年間ウィルスの研究を続けていますが、こんな事は今まで一度も見たことがありませんでした。”と、研究チームを率いる分子生物学教授ジョー・ポリアーノ氏は語った。”全ての実験が、この系の何か新しい刺激的な物を産出しています。”

バクテリオファージ(細菌ウィルス)として知られている細菌に感染するこの種のウィルスは、地球上で最も豊富に存在している生物の一つです。”我々は、この巨大な細菌ウィルス種を、今まで以上に詳細にそれらの複製を観察するための最先端手法を利用すべく、研究対象に選びました。”と、今回の研究に参加した分子生物学教授キット・ポグリアーノ氏は言いました。ジョー・ポグリアーノ氏と同僚等は、バクテリオファージが細菌に感染したすぐ後に、細菌の DNA を含む細菌の現存する構造のほとんどを破壊した後で、残った細胞機構を乗っ取ることを発見しました。ウィルスはその後、次の世代のウィルスを生産するために、細胞全体を高効率の一元化された工場に再構築しています。

bacteriophage = 細菌ウィルス

細胞内ウィルス複製工場

”感染細胞の中のこの工場と周囲配置は、植物や動物の細胞に見られる機構に驚くほど酷似しています。”とポグリアーノ氏は言いました。

細菌は、生物学者達が真核細胞と呼んでいる、植物や動物の細胞における細胞プロセスを区分する多くの特化構造が欠けていて、例えば、遺伝情報を包含し細胞の司令塔の機能を果たしている、核膜に包まれた核が不足しています。しかし、侵入ウィルスは、真核細胞に見られるそういった構造を真似る形で、細菌内部の構造をオーガナイズしています。

蛍光顕微鏡を使って、二人の生物学者は、ウィルスが細菌細胞内部で複製している間、それらが、感染中に進行している様々な工程を分化するための区画を構築することを発見しました。”この区画は、核が植物細胞や哺乳類細胞でやっているように、ウィルスDNAの全てを封入しています。複製や転写のようなDNAプロセスは、その区画内部で起きる一方で、たんぱく質はその区画の外で作り出されています。”と、生物学者は言った。

UCサンディエゴ校の化学・生物化学教授エリザベス・ビラとUCサンフランシスコ校の生物化学・生物物理学教授デービッド・アガードは、他の生物学者達が最初に超高倍率で発見したプロセスの画像を作り出すために、cryo-electron tomography (低温電子断層撮影)と呼ばれる特殊な技術を使いました。

その画像には、細菌中の核に似た区画の周囲に集まったウィルスの子孫達が映っていました。最終的に、この新しいウィルスが細胞をぶち破って近隣細胞を感染するために拡散します。”こういった細胞のウィルス乗っ取り操作の観測結果は、細菌ウィルスがそのような徹底したやり方で細胞を再編成するところが今まで観測されてこなかっただけに、完全に予想外のことでした。”と、ポグリアーノ氏は語った。”単純細胞を既存のより複雑なシステムに似せるための細胞の再構築は、単純細菌細胞と、動植物のような高等生物の細胞の間のラインを不鮮明にしてしまっています。”

細胞核ウイルス起源説

これが多細胞生物が進化した仕組みなのか?viral eukaryogenesis (細胞核ウイルス起源説) と呼ばれている1つの既存説が、最初の eukaryotic cell (真核細胞) が、大型ウィルスが細菌を乗っ取った時に作られた事を提言しています。最終的に、細菌とウィルスは、ウィルスが核に進化して、compound cell (複合細胞)を形成することになります。

”この特定のウィルスが、細菌とウィルスから multicellular eukaryotes (多細胞真核生物)への途中経過であるのかどうかが分かるのは時期尚早かもしれませんが、この発見が我々が知る生命の起源についての知識を広げてくれる可能性はあります。”

乗っ取った単純細胞のほとんどの構造を破壊し、残った細胞機構を再編成して、より高度で複雑な細胞に作り変えて、その細胞を高効率で一元化されたウィルス複製工場に作り変えてしまうみたいです。時代遅れの場末の町工場を乗っ取って、最新鋭の生産工場に作り変えるハゲタカ投資家みたいな感じです。別に乗っ取り屋のハゲタカ投資家がウィルスと言っているわけではありませんが、良く似た手法を使っているのでそう感じただけです。

ウィルスは恐ろしいです。人類を滅ぼせる生物が唯一地球上に存在するとすれば、それはウィルスしかいないと言われているほど恐ろしい存在です。今こういしている間に、何かしらのウィルスが私達の細胞を乗っ取ってせっせと子孫を複製中かもしれません。