レスキュー機構:損傷・感染細胞のレスキュー蛋白質ESCRT-III

セントジュード小児研究病院の免疫学者を中心とした研究チームが、タンパク質群が、ネクロトーシスと呼ばれるプロセスの中で、損傷細胞や感染細胞を破壊する壊し屋機構を遅らせる仕組みを発見しています。研究者達は、今回の発見が、もし、細胞救済機構を制御できる薬を開発できた場合、幅広い臨床的意義を持つ可能性があると考えています。

移植臓器のネクロプトーシスを防ぐ救命治療は、酸素の欠乏によって起こる移植器官への損傷を軽減することができますと、研究者達は語った。ネクロプトーシスから細胞を救済するための薬は、心臓発作と脳卒中(脳梗塞)によって血液を奪われた組織が傷付くのを防ぐ手助けもします。そのような場合、血流と酸素供給の回復が、組織を破壊する炎症を引き起こします。

細胞救済機構(細胞レスキュー機構)

Rescue protein gives doomed cells a stay of ‘execution’

The researchers said cell-rescuing drugs could also thwart cancer spread by protecting blood vessel cells from being killed by tumor cells. Tumor cells escape the bloodstream to spread in the body by killing blood vessels. Blocking the rescue machinery might also prove useful in treating cancers, by enhancing death of cancer cells by necroptosis.

研究者達は、細胞救済薬が、血管細胞が、腫瘍細胞による破壊から保護することで、癌が広がるのを阻止することも可能だと言っています。腫瘍細胞は、体中に転移するために、血管を破壊することによって血流から抜け出しています。レスキュー機構の遮断が、ネクロプトーシスによる癌細胞破壊を促進することで、がん治療に有効な事が証明されるかもしれません。

In treating neurodegenerative disorders such as ALS–also known as Lou Gehrig’s Disease–activating the rescue machinery could help prevent death of brain cells.

ALS(Amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症、ルー・ゲーリック病としても知られている)等の神経変性障害の治療にあたり、この細胞レスキュー機構を活性化させる事が、脳細胞の破壊を防ぐのに役立つかもしれません。

インフルエンザ等のウイルス感染の治療に際し、レスキュー治療は、体の免疫系が、より積極的に感染症と戦うように駆り立てるために、ウイルスによって感染された細胞の寿命を引き延ばすことも可能です。セントジュード免疫学科チェア、ダグラス・グリーン博士が、今回の研究を主導し、博士のラボの研究員が筆頭著者の論文は、セル誌に掲載されています。

ネクロプトーシスの処刑人MLKL

科学者達は、ネクロプトーシスにおける処刑人が、MLKLと呼ばれるタンパク質であることは知っていました。MLKLが、ネクロプトーシス機構によって活性化されると、細胞を囲む細胞膜の貫通を引き起こし、最終的に、その細胞を破壊せしめます。しかし、セントジュードの研究者達は、細胞が、ネクロプトーシスを生き延びるのを可能にする仕組みを発見しています。

Researchers showed the plasma membrane could repair itself by forming “bubbles” of broken plasma membrane that would shed from the cell to repair the holes.

研究者達は、穴を修復するために、細胞から剥がれ落ちる、破壊された細胞膜のバブルを形成することで、細胞膜が自身を修復することが可能なことを明らかにしています。

細胞蘇生タンパクESCRT-III

Experiments showed the set of proteins called ESCRT-III was responsible for forming the repair bubbles. The research also revealed that ESCRT-III delayed or prevented necroptosis by repairing breaks in the plasma membrane. The delay gave the dying cells time to release signals to alert surrounding cells to the presence of a viral infection.

いくつかの実験が、ESCRT-IIIと呼ばれる蛋白質群が、修復気泡形成に関与していることを明らかにしています。本研究は、ESCRT-IIIが、細胞膜の破損を修復することによってネクロプトーシを遅らせたり阻止していることも、同時に明らかにしています。ネクロプトーシスにおける遅延は、破壊されかけている細胞が、その周囲の細胞たちに対し、ウイルス感染の存在を警告するためのシグナルを放出するための時間を与えてくれています。

The investigators also discovered that activating MLKL is not a point of no return for cell survival, and that ESCRT-III could resuscitate damaged cells.

研究者達は、MLKLの活性化が、細胞生存にとって、復帰不能点(確実な破壊を意味するの)ではなく、そのESCRT-IIIが、損傷した細胞を蘇生することができることも発見しています。

移植に関連した実験の中で、研究者達は、移植に使われた腎臓からの組織サンプル中のMLKLタンパク質の活性化レベルを測定しました。そういった細胞は、移植の間、ストレスを受け、研究者達は、細胞がネクロプトーシスのサインを示しているのではないかと思っています。研究者達は、MLKLが、移植後腎細胞中で活性化されたにもかかわらず、細胞が破壊されず、この保護が、活性MLKLを持った細胞の救済には欠かせない、ESCRT-III機構の濃度の上昇と相関性があることを見い出しています。

細胞レスキュー機構

グリーン博士は、本発見が、実験が、細胞培養と組織サンプルで行われているので、現時点ではただの示唆的なものに過ぎないことを強調しています。レスキュー機構が、全ての組織で機能する事を立証するための、さらなる研究が必要とされています。例えば、ESCRT-IIIが、移植組織の生存を助長できるかどうかを検討するために、現在、臨床医と協働中です。

グリーン氏と彼の同僚等による研究は、レスキュー機構のより正確な制御をを可能にするために、ESCRT-IIIを規制している生体信号を発見することも目指しています。そういった研究の数々が、レスキュー作用を調整する薬を産み出す可能性があると、グリーン氏は語った。

The Green laboratory has a long history of pioneering research into the two forms of cell death–apoptosis and necroptosis. In 1995, Green and his colleagues discovered a hallmark event characteristic of apoptosis. That event is the movement of a fatty molecule called phosphatidylserine from the inside of the plasma membrane to the outside. This study established the phosphatidylserine movement as a hallmark of necroptosis.

グリーンラボは、アポトーシスとネクロプトーシスの2つの細胞破壊形態の先駆的研究の長い歴史を持っています。1995年、グリーン博士と彼の同僚等は、アポトーシスの特徴を示す顕著な事象を発見しています。そのイベントは、細胞膜の内部から外部への、ホスファチジルセリンと呼ばれる脂肪分子の移動です。今回の研究は、ネクロトーシスに顕著な特徴として、ホスファチジルセリン運動を確立しています。

細胞ハカイダーのMLKLが活性化されても、ESCRT-IIIが、細胞破壊を遅らせたり阻止したりでき、さらに細胞修復まで可能にしてくれるようです。細胞レスキュー薬が、脳細胞を生き長らえさせたりするだけでなく、ガン細胞の破壊に使えるらしいので、かなり期待が持てます。