クラスリン被覆ピットが癌細胞の移動能(転移)に関与している

キュリー研究所、アンスティテュ・ドゥ・ミオロジー(ミオロジー研究所)と共同で、Inserm(フランス国立保健医学研究機構)グスタフ・ルッシーがん研究所の研究リーダー、ギョーム・モンタニャック氏により指揮された今回の研究は、米国の科学雑誌Science誌の6月16日号に掲載されています。細胞移動は、生命維持には欠くことのできない、正常なプロセスです。腫瘍学において、それは、新しい転移の形成に関与しています。

クラスリン被覆ピット

Discovery of a new mechanism involved in the migration of cancer cells

“Up till the present, we knew that the cell relied on certain structures to anchor itself within its environment. We have now identified new cell structures known as ‘clathrin-coated pits’, already known to be important for other cell functions. The cancer cell uses them as hooks to attach to other structures in order to move around, These novel structures underlie some 50% of cell adhesion to surrounding structures,” declared Guillaume Montagnac, Leader of the ATIP-Avenir team, attached to Inserm Unit 1170, “Normal and abnormal haematopoiesis”, at Gustave Roussy.

”今日まで、我々は、細胞が、その周囲環境の範囲内で、自身をしっかり固定するのに、ある特定の構造に依存していることは知っていました。我々は、現在、既に他の細胞機能にとって重要であることが知られている、クラスリン被覆ピットとして知られている、新しい細胞構造を同定しています。癌細胞は、他の構造体にくっついてあちこち動き回るのに、それらをフックとして利用しています。こういった新しい種類の構造は、周囲構造に対する、約50%の細胞粘着の基礎になっています。”と、モンタニャック氏は言明しました。

クラスリンピットの役割

Recognised in 1964, these clathrin pits are small invaginations of the cell membrane which allow it to renew itself or to help molecules to enter the cells. The cell uses them particularly to supply itself with nutritional material (iron, cholesterol, etc.).

1964年に認知された、こういったクラスリンピットは、細胞膜の小さな陥入で、それが自身を再生するのを可能にしたり、分子が細胞に入るのを手助けしたりしています。細胞は、栄養物質(鉄、コレステロールなど)を取り込む目的で、特にそれらを利用しています。

蛍光法を用い、研究者達は、その著しい転移性で有名な、侵攻性の胸のがん株を使って、クラスリンピットが、コラーゲン繊維(膠原繊維)に付着して、それらを取り囲むことの立証に成功しています。ピットは、コラーゲン繊維を締め付けることで、それの足掛かりを強固なものにして、自由に動き回れるようにしています。

発見は完全に偶然だった

“Our Gustave Roussy team is one of the few with an interest in cell membrane dynamics when the cell is placed in 3D matrices under conditions close to normal ones. By studying these clathrin pits in 3D we were able to see the phenomenon when we were not expecting it,” concluded Guillaume Montagnac.

”我々のグスタフ・ルッシー・チームは、細胞が標準に近い条件下で、3次元マトリックス内に置かれた時の細胞膜動態に関心を寄せている、数少ないチームの1つです。こういった3次元におけるクラスリンピットを研究することによって、我々は、全く予期せずに、その現象を目撃することができました。”と、ギョーム・モンタニャック氏は締めくくりました。