人間の脳だけが特別にエネルギーの浪費が激しいわけではなかった

何年もの間、科学者達は、人間は、他の動物よりも、脳にエネルギーを大きく割り当てていると思い込んできました。脳は体重の僅か2%程度の重さしかないのに、基本エネルギー収支の25%以上も消費しています。しかし、10月31日にJournal of Human Evolutionに掲載された研究が、22種の生物の相対的な脳コストを比較し、知力に関して言えば、人間は、自分達がそうあって欲しいと思いこんでいるほど、特別ではないことを示唆しています。

人の脳はエネルギー喰い虫

Humans don’t use as much brainpower as we like to think

“We don’t have a uniquely expensive brain,” said study author Doug Boyer, assistant professor of evolutionary anthropology at Duke University. “This challenges a major dogma in human evolution studies.”

”人間だけが、維持費が高く付く脳を持っているわけではなりません。”と、デューク大学進化人類学助教授で研究著者のダグ・ボイヤー氏は言いました。”このことは、人類の進化の研究における重要な教義に異議を唱えています。”

脳のエネルギーはブドウ糖

Because energy travels to the brain via blood vessels, which deliver a form of sugar called glucose, the researchers measured the cross-sectional area of the bony canals that enclose the cranial arteries.

グルコース(ブドウ糖)と呼ばれる糖の形で供給されるエネルギーは、血管を介して脳へ運ばれているので、研究者たちは、頭蓋動脈を囲む骨腔の断面積を測定しました。

By coupling these measurements with previously published estimates of brain glucose uptake and internal skull volume as an indicator of brain size, they examined seven species, including mice, rats, squirrels, rabbits, monkeys and humans. The researchers were able to show that larger canals enclose arteries that deliver more blood, and thus glucose, to the brain.

これらの測定値と過去に発表された脳グルコース取り込みと内頭蓋容積の推定値を、脳サイズの指標としてカップリングすることで、彼等は、マウス、ラット、リス、ウサギ、猿類と人間を含む7種の動物を調べました。研究者達は、動脈を囲む骨腔が大きいほど、より多くの血液とグルコースを脳へ運べることを明らかにしています。

Then, using a statistical technique called multiple regression, they calculated brain glucose uptake for an additional 15 species for which brain costs were unknown, including lemurs, monkeys and treeshrews, primate relatives from Southeast Asia.

次に、重回帰という統計技法を使って、さらに、キツネザル、サル類、ツバイ、東南アジアの霊長類近縁種を含む、脳コストが未知の15種の脳グルコース取り込みを計算しました。

人間の脳の脳コストは高い

As expected, the researchers found that humans allot proportionally more energy to their brains than rodents, Old World monkeys, and great apes such as orangutans and chimpanzees.

予想通り、研究者たちは、齧歯類、旧世界ザル、オランウータンやチンパンジーなどの大型類人猿に比べ、脳へ比例的により多くのエネルギーを振り向ける事を発見しました。

Relative to resting metabolic rate — the total amount of calories an animal burns each day just to keep breathing, digesting and staying warm — the human brain demands more than twice as many calories as the chimpanzee brain, and at least three to five times more calories than the brains of squirrels, mice and rabbits.

安静代謝率 (動物が呼吸・消化・体温維持のみに日々消費するカロリーの総量) に対して、人間の脳は、チンパンジーの脳の2倍以上、リス、マウス、うさぎの脳の少なくとも3倍~5倍のカロリーを要求します。

脳コストは他の動物に対して高めですが、それでも、人間の脳に匹敵する脳コストを持つ動物も存在します。要は、脳対体重比が大きいほど、脳のエネルギーコストが高く、人間より大きな脳対体重比を持つ動物は多いので、こういった結果が出るのも当然みたいです。

今回の研究からは、エネルギー高コスト脳への進化の結果、一部の動物達は、その副産物として卓越した知能を持てるようになったのか、それとも、既存の認知的課題が、脳により多くのエネルギーを振り向けた個体に有利に作用したのかどうかは分からないみたいです。