オンチップブラックホール?チップ上に人工ブラックホールを実現

理論物理学者のチームが、電子チップ上でブラックホールをシミュレートする方法を提唱しています。加えて、この研究室製ブラックホール作成用技術が、量子技術用にも転用できる可能性があります。チリ大学、Cedenna、アイントホーフェン工科大学、ユトレヒト大学、FOMの研究者達は、彼等の研究結果を、Physical Review Letters誌の2月1日号に掲載予定です。

ブラックホールは、非常に高密度なので、いったんevent horizon(事象の地平線)と呼ばれる帰還限界点を越えると、光でさえもその重力から抜け出す事ができない天体です。研究者は、磁性体中を伝播するゆらぎであるスピン波用のpoints of no return(後戻りできない点)を、こういった波が電流と相互作用した時の挙動を利用する事による作り方を発見しています。

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スピン波

Black holes on an electronic chip

磁性体はN極S極を有していて、摂動を受けると、N極とS極は、波状的に物質中の1つの位置から別の位置に移動します。そういった波はスピン波と呼ばれています。電流が物質中を通過する時、電子はこういった波を引きずってきます。そういった電流が、一端が厚くて他の端が細いワイヤーを流れる時、電子は細い端は、水が狭いホースは高速に流れるように素早く流れます。ワイヤーの細い端の電子の流れがあまりにも高速なので、一緒に引きずられているスピン波は、反対方向にはもはや流れることができません。ワイヤー沿いでこの事が起こる点は、ブラックホールの事象の地平線に相当する、スピン波に対する引き返しができない点です。

ホーキング放射(ホーキング輻射)

Near astronomical black holes, gravitation is so strong that it causes an event horizon for any type of particle. Even photons cannot escape from a black hole once they pass its horizon. In 1974, Stephen Hawking discovered that black holes are not completely black, but emit radiation. Roughly speaking, subtle quantum mechanical effects cause pairs of particles and antiparticles to continuously appear and disappear. If this happens near the horizon of a black hole, one of the particles in the pair is sometimes swallowed by the black hole, leaving the other particle to escape and radiate away. This so-called Hawking radiation is almost impossible to observe in outer space. However, the possibility of simulating the black hole on an electronic chip makes it possible to study this effect in a much simpler way by looking at Hawking radiation of spin waves.

「天文学的ブラックホールの近くでは、重量が非常に強力なので、あらゆる種類の粒子に対するイベントホライズンをもたらします。いったんそのホライズンを越えると、光子ですら脱出が不可能になります。1974年、スティーヴン・ホーキング氏は、ブラックホールが完全にブラックではなく、放射エネルギーを放出している事を発見しています。大まかに言うと、不思議な量子力学的効果が、粒子と反粒子の対を連続的に見え隠れさせます。もしこの事が、ブラックホールのホライズン近くで起こると、対の粒子の1つが、時々ブラックホールによって飲み込まれ、他の粒子をイベントホライズンから脱出・放射させます。この所謂ホーキング放射は、宇宙空間で観測することはほぼ完全に不可能です。しかし、電子チップ上のブラックホールをシミュレートするという可能性が、スピン波のホーキング輻射を観察することによる、実観測よりはるかに簡単な方法で、この効果を研究することを可能にしてくれています。」

量子もつれ、量子計算機

ホーキング放射を引き起こす対になっている粒子達は、量子力学的に縺れていて、それらの性質が、あまりにも密接に結び付いているので、古典物理学では説明できない事を意味しています。エンタングルメント(もつれ)は、量子コンピュータなどのような量子技術の基幹となる要素の1つです。研究者達が、現在調査中の方向の1つが、このエンタングルメントを利用して、スピン波の量子もつれあいを基にしたアプリケーションのためのビルディングブロックとしての役割を果たすことができるデバイスの作り出し方です。

今回開発された、オンチップブラックホールは、イベントホライズンをシミュレーションするだけではなく、量子コンピュータ用の基本構成素子としても利用可能みたいです。

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