ブラック企業はどこの国にも存在します。先進国であっても例外ではありません。ブラック企業がブラックなのは、従業員を人として扱っていないからです。派遣を使い捨てのモノ扱いしている時点で既に終わっていますが、社会の害悪でしかないブラック企業は何故存在することが許されているのか、疑問で仕方がありません。行政が仕事をしないなら、社会的に淘汰されるべきなのですが、ブラック企業が蔓延っている現状は、日本という国自体がブラック化していることを示唆しているのかもしれません。悲し過ぎる現実です。
社長がブラック企業の元凶?
How a hot LA startup went bankrupt: Inside the ‘stress cage’ that was Fuhu
They couldn’t get a whiteboard for brainstorming or leave colored pencils or markers on their desk.
「彼等はブレインストーミングのためのホワイトボードを確保することが、あるいは色鉛筆かマーカーを机の上に置きっぱにできませんでした。」
ブレインストーミングはESLで真っ先にやらされる事で、英語で考える能力を身に付けるためには必須の行為でもあります。頭の中に思い浮かんだ事をノート等に書き殴っていく事で、最終的にそれを繋ぎ合わせて1つのアイデアを作り出します。
Former employees said the edict against untidiness emanated from a single leader, co-founder and President Robb Fujioka, whose marching orders effectively banned fixtures of office life as common as filing cabinets and snacking at the desk.
「元従業員達が、だらしなさに対するその布告は、独断命令が書類整理棚や机でおやつのありふれたオフィス生活の定番を事実上禁止した1人の指導者、共同設立者で社長のロブ藤岡から発せられたと言いました。」
机でおやつはありなの?って感じですが(子供じゃあるまいし)、その他の備品についても経費削減かもしれないので何とも言えません。こんな事にいちいちケチを付ける従業員を雇った事に、この会社の不幸があったのかもしれません。
社長による独裁体制
Fujioka has said he runs a democratic dictatorship at the struggling, 8-year-old Los Angeles-area company. His micromanagement – closely monitoring, for instance, details as small as packaging labels and the waist size of animated characters – represented an asset as Fuhu tried to find its footing.
「藤岡は、彼が奮闘中の設立8年のロスアンジェルスエリアにある会社で民主的な独裁運営をしていると語りました。例えば、包装ラベルやアニメキャラクターのウエストサイズのようにつまらない細部まで念入りに監視する彼のマイクロマネージメントは、Fuhuが足場を固めようとしている間は強みを象徴していました。」
But as Fuhu grew to dominate the market for tablets tailored to children, Fujioka became a liability with a penchant for neatness that stifled creativity, a hot temper that drove workers to tears and a focus on minutiae that stalled projects, interviews with 19 people who worked at or with the company suggest. They are left to wonder whether Fujioka held on too tight, for too long.
「しかし、Fuhuが子供達に合わせて作ってあるタブレットの市場を独占するまで成長するにつれ、藤岡は、創造性を窒息させる潔癖さ、従業員を泣かせて些細な事に集中させてプロジェクトを行き詰まらせる短気のせいでに負債になっていました。とそこで働いていたか、会社と仕事をしていた19人とのインタビューが示唆しています。彼等は、藤岡があまりにも長い間、締め付け過ぎたのかどうかと思うしかありません。」
社長が清潔で机の上の乱雑さを注意するのは悪いとは思いませんが、従業員を威圧・恫喝して仕事も手に付かない状況に追い込むことは問題があります。個人的な経験でも、やたらと威圧的なマネージャーがいて、ちょっとした事で怒鳴り散らしたり、机を蹴っ飛ばしたり、物を投げつけたりと、相当やばい奴だったのですが、私も含めてほとんどの従業員がすぐ辞めていきました。その人が部署を立ち上げた、いわゆる社内起業家だったので、社長さえもその人には頭が上がらず、自分が立ち上げた部署で、ワンマン経営の独裁運営でやりたい放題やっていたというわけです。根は良い人ではあるのですが、仕事に厳しいというか、藤岡のように細かい所まで突っ込んで、気に入らないとすぐ切れるので、周りの人間は大変です。自分以外は無能という考えの人だったので、無理もなかったのかもしれません。
束の間の栄光
With a parking lot overflowing with exotic cars and a string of office renovations, Fuhu appeared a success story, generating nearly $200 million in sales in 2013. But several lawsuits and disputes with vendors, including a $100 million unpaid tab with Taiwanese manufacturing giant Foxconn, had left Fuhu in financial turmoil by last year.
「駐車場が外車で満ち溢れ、一連の事務所改築で、Fuluは、2013年には2億ドル(200億円)の売上高を叩き出し、成功談のように見えました。しかし、いくつかの訴訟と、台湾大手製造企業フォックスコンとの1億ドルの買掛金(仕入債務)を含めた、製造元との争議が、去年までにFuluを財政混乱に至らしめていました。」
栄華盛衰とは言いますが、本当に束の間の栄華だったようです。しかし、それでも従業員達の給料も相当良かったようで、本当に給料上昇分の仕事をしていたのかという疑問も残ります。給料が上がれば仕事が厳しくなるのも当然で、高級外車が買えるだけの給与をもらっていたのなら、社長がワンマンでも仕方ないような気もします。
熾烈な競争
Fujioka, 46, had run several online marketing companies before he launched Fuhu alongside brothers Steve and John Hui, who had sold a PC business to Gateway. His supporters said Fuhu’s downfall primarily is a result of market dynamics. Tech giants such as Samsung and Amazon.com flooded stores with more affordable alternatives to Fuhu tablets. Demand fell as smartphone screens grew larger and people held onto tablets for many years. Fuhu also lacked big contracts with schools.
「藤岡46歳は、PCビジネスをゲートウェイに売った兄弟、Steve and John Huiと一緒にFuhuを立ち上げる前に、いくつかのネット通販会社を運営していました。彼の後援者達は、Fuluの凋落は主として市場力学の結果だと言っていました。サムソンやアマゾンなどの大手テック企業が、Fuluタブレットより手頃な価格の代替え品で量販店を溢れさせました。需要も、スマホ画面が大型化し、消費者がタブレットを長期間手放さないので減りました。Fuluはまた、学校との大口契約にも欠けていました。」
Fuluの没落は魅力的な製品を低価格で供給し続けられなかった事が原因だと言えるし、Fuluブランドを確立できなかったことも致命的だったかもしれません。ブランド力さえしっかり構築できていれば、消費者は多少高くてもブランド料として他者よりも割高な商品を買っていたはずです。いかにしてブランドを築くかが、こういうニッチ新興企業の宿命でもあります。従業員の資質の問題も大きかったのでないでしょうか。
劣悪な職場環境
But former employees say the disorganized and grueling workplace took a toll on company culture and output.
「しかし、元従業員達は、まとまりのない精神的に非常につらい職場が、社風と生産性に大打撃を与えたと言っています。」
精神的に疲れる職場と言っても、高給をもらっているなら文句は言えないはずです。時給1000円程度なら耐えられないかもしれませんが、時給2000円以上もらっているならどんな精神的な苦痛にも耐える必要があります。何故ならそれが給料の一部でもあるからです。旧日本軍のような環境にも耐える義務があると言っても過言ではありません。本当に優秀で有能な従業員というのは、安月給でも決して文句を言わずに、黙々と言われた業務を正確にこなし、自分の業務が無くなった場合、他のもたついている同僚を自発的に助けられる人材のことです。藤岡社長も高給払ってんだから厳しくするのは当然と思っていたのかもしれません。
一攫千金を夢見た輩達
Warned by reviews on jobs site Glassdoor or by friends and family close to the company, many workers expected long hours. They were lured, though, by the buzz around tech startups, their meritocracies and get-rich-quick potential.
「Glassdoorのような求人サイトか、会社に身近な友人や家族のレビューで警告されているように、多くの従業員達は長時間勤務を期待されていました。しかし、彼等はテック新興企業を取り巻く熱狂、実力主義、一攫千金の可能性に惹かれました。」
一攫千金を夢見るような人間は所詮こんなもんなのかもしれません。会社が潰れれば全部社長のせいで、自分達は何も悪くない、金が目当ての人間を雇うとこうなる見本と言えます。何度も言うように、薄給でも黙々と文句を言わずに働く人間が企業にとっては一番重要な人材であるという事です。金に釣られるような輩は、少しでも高給を提示されると平気で転職するし、金に目がくらんで企業に不利益になるような事でも平気でします。
とは言っても、薄給で黙々と働かせているのに職場環境が精神的に居心地が悪かったら、そこはブラック企業なので、速攻辞める必要があります。経営側は、薄給で働いてもらっているという真摯な気持ちを持つ必要があり、少しでも居心地の良い職場環境づくりを心掛けるべきなのです。ブラック企業とは薄給で精神的肉体的ににきつい職場の事です。
取締役会の責任
Fujioka’s insistence on approving small details distracted him from bigger issues, said two people who interacted with him closely. It’s unclear if Fuhu’s board of directors recognized the apparent mismanagement or why investors such as Foxconn didn’t act sooner. Many, including film studio DreamWorks, declined to comment. Fuhu also had an advisory board, though an industry heavyweight on the panel said he hadn’t talked to Fuhu in at least four years. Fuhu said its directors “met regularly and were a part of all key decisions.”
「些細な詳細への藤岡の固執が、より大きな問題から彼の気を散らしました。と彼と親密に関わっていた二人が述べた。Fuluの取締役会が明らかな欠陥経営に気付いていたのかどうか、あるいは、フォックスコン等の投資企業が何故すぐに行動しなかったのかは不明です。映画スタジオのドリームワークスを含む多くの投資企業がコメントする事を拒否しています。Fuluは同様に、諮問委員会も持っていましたが、委員会の業界重鎮の1人は、彼が過去4年間Fuhuと話していないと言った。Fuhuは取締役達と”定期的に会って、彼等が全ての重要な決定に関わっていると言っています。”」
何ともお粗末な経営ぶりが露呈されたもんです。今のアメリカは所詮はこんなもんなんですかね。リーマン・ショックを引き起こすような企業体質というか政治体質なので、仕方がないのかもしれません。アメリカは、ブッシュ政権になってから明らかにおかしくなっていったような気がします。企業風土の劣化は日本だけの問題ではないようです。
責任の所在は何所に?
元従業員達は社長全てに責任を擦り付けていますが、自分達はどうだったのか?という疑問が残ります。取締役会の問題もあるんでしょうが、企業が人である以上、従業員達の労働倫理も問われるべきでしょう。株式上場していれば、ストックオプションで一攫千金が可能だったのにもかかわらず、上場前に会社が破綻したことで、夢が潰えたわけです。この人達は億の金を稼ぐことの大変さが全く分かっていないような気がします。世の中には数百万稼ぐのに命懸けで働いている人達が相当数います。藤岡社長にも問題はあるのでしょうが、高給をもらっている以上は文句は言えないはずです。高給で働かせてもらっているという感謝の気持ちが足りなかったとしか言えません。
例えば、国家権力は若者達を薄給で最前線に送り込むこともできます。これ程のブラックな環境はこの世に存在しません。人間を将棋の駒としか考えない指導者ならそうなります。人間性の喪失がブラックな環境を作り出すわけですが、そうは言っても、ある程度の給料を得ているなら我慢しなくてはならないし、職場環境が気に入らないなら辞めればいいだけです。文句を言うぐらいならさっさと辞めればいいわけで、徴兵制ではないので嫌ならすぐ辞められます。
自分も時給1000円程度で精神的に過酷な職場を経験していますが、2000円なら余裕で耐えられていました。職場環境が劣悪ならそれ相応の給与を払うべきだし、逆に、それ相応の給料をもらっているならブラックな環境でも我慢すべきです。
stress cage(動物実験時に動物にストレスを与えるためのかご)という言葉が出てきますが、嫌ならいつでも出られるので、ストレスケージでも何でもないはずです。出たくても出られないからストレスケージなわけですから。