電離放射線がDNAを損傷して癌を引き起こす仕組み

放射線がDNAを傷付けてがんを引き起こすことはほとんどの人が知っていますが、どのようにして癌を引き起こしているのかという、その2つの特徴的なパターンが、この度、ウェルカム・トラスト・サンガー研究所の研究者とその共同研究者達によって解明されたようです。これらのはっきりした特徴パターンが、今後、医者にどの癌が放射線によって引き起こされたのかを識別可能にし、それらの腫瘍を別の方法で治療するかどうかを調査する事を可能にするかもしれないということで、画期的な発見とも言えます。

放射線が癌の原因

Study reveals how ionising radiation damages DNA and causes cancer

Ionising radiation, such as gamma rays, X-rays and radioactive particles can cause cancer by damaging DNA. However, how this happens, or how many tumours are caused by radiation damage has not been known.

「ガンマ線やX線、放射性粒子などの電離放射線が、DNAを損傷する事で、癌を引き起こす可能性があります。しかし、どうやってこれが起きるのか、あるいは、どのくらいの腫瘍が放射線ダメージによって引き起こされているのかは分かっていませんでした。」

放射線由来の癌がどのくらいなのか、原発事故で大量の放射性物質がばら撒かれた日本、特に東日本の住人にとっては、かなり興味深い研究だと思います。今後、何人が放射線由来のがんであると診断されるかは、日本の行政にとっても大きな指針になるのではないでしょうか。一刻も早く実用化されて、原発由来の癌患者を識別してもらいたいものです。

突然変異シグネチャー

Previous work on cancer had revealed that DNA damage often leaves a molecular fingerprint, known as a mutational signature, on the genome of a cancer cell. The researchers looked for mutational signatures in 12 patients with secondary radiation-associated tumours, comparing these with 319 that had not been exposed to radiation.

「がんに関する過去の研究が、DNA損傷が、癌細胞のゲノムに対して突然変異パターンとして知られている、分子の指紋をしばしば残すことを明かしています。研究者は、派生的な放射線関連の腫瘍を持つ12人の患者の突然変異パターンを探して、放射線を被ばくしていない319人と比較しました。」

“To find out how radiation could cause cancer, we studied the genomes of cancers caused by radiation in comparison to tumours that arose spontaneously. By comparing the DNA sequences we found two mutational signatures for radiation damage that were independent of cancer type. We then checked the findings with prostate cancers that had or had not been exposed to radiation, and found the same two signatures again. These mutational signatures help us explain how high-energy radiation damages DNA.”

「放射線がどのように癌を引き起こすのかを見つけ出すために、我々は、自然発生的に生じた腫瘍を比較して、放射線に起因する癌のゲノムを調べました。DNA配列を比べることで、癌の種類に関係ない、放射線ダメージの2つの突然変異パターンを見つけました。その後、その発見を放射線被ばくの有無を基に前立腺がんでチェックして、再び2つのパターンを見つけ出しました。これらの変異シグネチャーが、高エネルギー放射線がどのようにしてDNAにダメージを与えているのかを説明する助けになります。」

DNA切断と欠失と逆位

One mutational signature is a deletion where small numbers of DNA bases are cut out. The second is called a balanced inversion, where the DNA is cut in two places, the middle piece spins round, and is joined back again in the opposite orientation. Balanced inversions don’t happen naturally in the body, but high-energy radiation could provide enough DNA breaks at the same time to make this possible.

「1つの変異パターンは少数のDNA塩基が切り取られる欠失です。二つ目は、平衡逆位と呼ばれる、DNAが2個所切られ、真ん中の一片が回転して逆向きにくっついたものです。平衡逆位は体内で自然には起こりませんが、高エネルギー放射線は同時にこれを可能にする十分なDNA切断を提供することができます。」

balanced inversion = 平衡逆位は、balanced translocation(平衡転座)を参考にして訳してみました。特に問題はないと思います。

電離放射線の怖さを改めて思い知らされる内容になっています。

放射線はやっぱりやばい

“Ionising radiation probably causes all types of mutational damage, but here we can see two specific types of damage and get a sense of what is happening to the DNA. Showers of radiation chop up the genome causing lots of damage simultaneously. This seems to overwhelm the DNA repair mechanism in the cell, leading to the DNA damage we see.”

「電離放射線は、恐らくあらゆるタイプの変異的なダメージをもたらしますが、今我々は2つの特有のタイプのダメージを目にすることができ、DNAに何が起こっているのかを感じ取ることが可能です。放射線のシャワーがゲノムを切り刻んで、同時に多くのダメージを引き起こします。これが細胞でのDNA修復メカニズムを圧倒して、我々が目にしているDNAダメージを引き起こしているように思えます。」

放射線は確かにやばいですが、世の中には放射線以上にやばい、発がん性物質や、まだ知られていない発がんメカニズムが存在しているかもしれません。ストレスが一番やばいと言われているように、癌を恐れる事がストレスになる可能性もあるので、あまり気にする必要もないとは思いますが、日本人の二人に一人が癌を患う現在、気にしてしまうのも当然なのかもしれません。がんにならないようになるべく放射線に被ばくしないことも大切かもしれませんが、東日本に住んでいる以上は、ある程度の覚悟が必要なのかもしれません。とは言っても、直ちにどうにかなるというわけではないので、まぁ、気長に考えて、ガンにならないように食事と運動を心がけ、清く正しく美しく健康的に生きていく必要があります。