世界で最も強力なX線が分子に大打撃を与える

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20人以上の科学者からなる国際チームが、太陽の100億倍明るい光を使って新しいタイプの結晶を作る方法を偶然発見してしまいました。彼等の発見は、100年以上もの間、一般に認められた結晶学の常識を覆しています。何だか凄い物理学的な大発見のようです。研究は、オーストラリアのメルボルン大学が中心となっている国際チームによって行われたようです。

しかし、太陽の100億倍明るい光が地上に存在するのかよって気もしますが、考えただけで目が痛くなってきます。ドラゴンボールの太陽拳並に眩しそうです。

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X線自由電子レーザー

World’s most powerful X-ray takes a ‘sledgehammer’ to molecules

The team exposed a sample of crystals, known as Buckminsterfullerene or Buckyballs, to intense light emitted from the world’s first hard X-ray free electron laser (XFEL), based at Stanford University in the United States. The molecules have a spherical shape forming a pattern that resembles panels on a soccer ball.

「チームは、バックミンスターフラーレンまたはバッキーボールとして知られている結晶サンプルを、アメリカのスタンフォード大学に置いてある、世界初の硬いX線自由電子レーザー(XFEL)から放射された強い光にさらしました。その分子はサッカーボールのパネルに似たパターンを形成している球状を有しています。」

X線自由電子レーザーなるものが存在するらしいです。どんなものなのか気になったので調べてみました。XFEL計画とは

波長がX線(可視光よりも波長がとても短い)領域のレーザーです。 XFELは、物質を原子レベルの大きさで、かつ瞬時の動きを観察することができると考えられているまったく新しい「夢の光」です。 そのため基礎研究にとどまらず、広く国民の生活に有意義な影響を及ぼすような画期的な光源として期待されています。 そのような理由からXFEL計画は、我が国の科学技術を牽引する世界最高性能の研究・技術開発として、『国家基幹技術』に認定され、2010年度の完成を 目指し、2006年から施設の建設が始まりました。2011年3月に施設が完成し、2011年6月7日には波長0.12nm、10日には波長0.10nm のX線レーザーを発振しました。 米国や欧州(ドイツ)においても同様の計画が進行中であり、日米欧の間で熾烈な競争が行われています。

意外と古い技術のようですが、性能が年々向上しているっぽいです。

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従来の10億倍の輝度

Light from the XFEL is around one billion times brighter than light generated by any other X-ray equipment —even light from the Australian Synchrotron pales in comparison. Because other X-ray sources deliver their energy much slower than the XFEL, all previous observations had found that the X-rays randomly melt or destroy the crystal. Scientists had previously assumed that XFELs would do the same.

「XFELの光はその他のX線装置によって発生される光よりも約10億倍明るく、オーストラリアのシンクロトロンも相対的に見劣りするほどです。他のX線源はXFELよりも遥かに遅くエネルギーを送るので、過去の全ての観測がX線は不規則に結晶を溶解もしくは破壊することを示唆していました。科学者達は以前は、XFELも同じだろうと推測していました。」

現存する他のX線発生装置の10億倍の輝度を持つXFELの光が凄いと思っていたらそれよりさらに凄い光が日本に存在していました。SACLAってなあに?

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太陽の100億倍×10億倍明るい

X線自由電子レーザー施設「SACLA」は、太陽の100億倍の明るさであるSPring-8の光の、更に10億倍の明るさのX線のレーザーを発生させて、それを使って物質の極めて速い動きや変化の仕組みを原子レベルで解明する研究施設です。SACLAは兵庫県・播磨科学公園都市にあり、SPring-8と並んで設置されています。国立研究開発法人理化学研究所(理研)と公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)が共同で多くの研究機関や民間企業の協力のもと開発したものです。SPring-8の10億倍の明るさのX線レーザーを、100フェムト秒(光が0.03mmしか進むことのできない時間)以下という、もの凄く短いフラッシュで発生させることができます。

太陽の100億倍明るい光のさらに10億倍だと天文学的数字太陽よりも明るい計算になってしまうのですが、スタンフォードのXFELが太陽の100億倍らしいので、SACLAはそれより10億倍明るいということになってしまいますがいいんでしょうかね。恐らくは、スタンフォードの太陽の100億倍の方が誤りなんでしょうけど。

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XFELによる分子変形

The result from the XFEL experiments on Buckyballs, however, was not at all what scientists expected. When the XFEL intensity was cranked up past a critical point, the electrons in the Buckyballs spontaneously re-arranged their positions, changing the shape of the molecules completely.

「バッキーボールのXFEL実験の結果は、しかし、科学者の想像を絶していました。XFELの強度が臨界点を超えて増した時、バッキーボール中の電子は自発的にポジションを再編成し、分子の形を完全に変えました。」

cranked up = クランクアップした、でも良さそうです。クランクアップで映画の撮影完了という意味の英語は和製英語です。

Every molecule in the crystal changed from being shaped like a to being shaped like an AFL ball at the same time. This effect produces completely different images at the detector. It also altered the sample’s optical and physical properties.

「結晶中の全ての分子は、同時に、サッカーボールのような形からフットボールのような形に変わりました。この結果が検出器で完全に異なるイメージを出現させました。同様に、サンプルの光学的物質的な性質までも変えてしまいました。」

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胡桃の殻の中からアーモンドが!

“It was like smashing a walnut with a sledgehammer and instead of destroying it and shattering it into a million pieces, we instead created a different shape – an almond!”

「それはスレッジハンマーでクルミを叩き割るみたいなもので、それを破壊して粉々にする代わりに、全く違った形を作りました。アーモンドを!」

クルミの殻を叩き潰したらアーモンドが出てきたようなもんらしいです。

“We were stunned, this is the first time in the world that X-ray light has effectively created a new type of crystal phase”

「我々はぼうぜんとしました。何故なら、これは、X線が事実上、新しいタイプの結晶相を作り出した世界で初めてのことだったからです。」

胡桃からアーモンドですから、とんでもない新発見だったようです。

“Though it only remains stable for a tiny fraction of a second, we observed that the sample’s physical, optical and chemical characteristics changed dramatically, from its original form,”

「それが安定していたのは1秒にもはるかに満たない短い間だけだったのですが、我々は、そのサンプルの物質的、光学的、化学的な特徴が、それの原形から劇的に変わったことを観測しました。」

“This change means that when we use XFELs for crystallography experiments we will have to change the way interpret the data. The results give the 100-year-old science of crystallography a new, exciting direction,”

「この変化は、結晶学実験でXFELを使う時、データを解釈する方法を変える必要があることを意味しています。その結果が、100歳の結晶学の科学的知識に、新しい、エキサイティングな方向を与えています。」

面白い発見ではありますが、これによって、実用的な全く新しい分子が作り出せるのかというと必ずしもそうではないみたいなので、実用性があるのかどうかは分かりませんが、新しい薬の開発等に役立つようなので、やはり画期的な発見みたいです。

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