量子コンピュータ、窒素欠陥ドープナノダイヤモンド

ノースカロライナ州立大学の研究者が、室温量子計算技術分野で部品として使える可能性がある、幅が4~8ナノメートルしかない、窒素欠陥ドープ単結晶ナノダイヤモンドを作るための新しいテクニックを考案したそうです。こういったドープダイヤモンドは、単一光子センサーや無毒蛍光バイオマーカーにも使えるかもしれません。

現在のコンピューターは、各々の2進単位、あるいは、ビットが、1か0の2状態のうちの1つの状態にある二値論理を使っています。量子計算は、膨大な数の可能な状態を持つことができる、量子ビット、または、キュービットの作成を可能にする、スーパーポジション(重ね合わせ)とエンタングルメント(もつれ)を利用しています。量子計算は演算能力と速度を飛躍的に高める可能性を秘めています。

窒素空孔中心(窒素欠陥中心)を有するダイヤモンドの使用を含めた、多くの選択肢が、量子計算システムを作るために探求されています。それがこの研究が加わる場所です。

窒素空孔中心(窒素欠陥中心)

New technique for creating NV-doped nanodiamonds may be boost for quantum computing

Normally, diamond has a very specific crystalline structure, consisting of repeated diamond tetrahedrons, or cubes. Each cube contains five carbon atoms. The NC State research team has developed a new technique for creating diamond tetrahedrons that have two carbon atoms; one vacancy, where an atom is missing; one carbon-13 atom (a stable carbon isotope that has six protons and seven neutrons); and one nitrogen atom. This is called the NV center. Each NV-doped nanodiamond contains thousands of atoms, but has only one NV center; the remainder of the tetrahedrons in the nanodiamond are made solely of carbon.

「通常、ダイヤモンドは、ダイヤモンド四面体か立方体の繰り返しから成る、非常に明確な結腸構造を持っています。それぞれの立方体は5個の炭素原子を包含しています。NC州の研究チームは、2個の炭素原子(1個の原子が欠損している1個の空孔、1個の炭素-13原子(6個の陽子と7個の中性子を持つ安定した同位炭素)、1個の窒素原子)を持つダイヤモンド4面体を作成するための新しいテクニックを考案しました。これが窒素空孔中心と呼ばれているものです。それぞれの窒素添加ナノダイヤモンドが数千個の原子を含有していますが、NV中心はたったの1個しか持っていません。ナノダイヤモンド中の四面体の残りは、炭素のみで作られています。」

It’s an atomically small distinction, but it makes a big difference.

“That little dot, the NV center, turns the nanodiamond into a qubit,” says Jay Narayan, the John C. Fan Distinguished Chair Professor of Materials Science and Engineering at NC State and lead author of a paper describing the work. “Each NV center has two transitions: NV0 and NV-. We can go back and forth between these two states using electric current or laser. These nanodiamonds could serve as the basic building blocks of a quantum computer.”

「原子的には小さな差異ですが、それが大きな違いを生んでいます。”その小さなドット、窒素欠陥中心が、ナノダイヤモンドをキュービットに変貌させます。”とノースカロライナ州立大学材料科学工学の著名なチェア・プロフェッサーで、研究を説明している論文の筆頭著者のジョン・ファン氏は述べています。”めいめいのNVセンターが、NV0とNV-の2つの遷移を有しています。我々は、電流とレーザーを使って、これら2つの状態の間を行き来できます。このようなナノダイヤモンドは、量子コンピューターの基礎構成要素として使うことができるかもしれません。”」

Chair Professorはchairperson(議長)のchairと一緒で、教授長の事です。

ナノダイヤモンド構造製造法

To create these NV-doped nanodiamonds, the researchers start with a substrate, such as such as sapphire, glass or a plastic polymer. The substrate is then coated with amorphous carbon – elemental carbon that, unlike graphite or diamond, does not have a regular, well-defined crystalline structure. While depositing the film of amorphous carbon, the researchers bombard it with nitrogen ions and carbon-13 ions. The carbon is then hit with a laser pulse that raises the temperature of the carbon to approximately 4,000 Kelvin (or around 3,727 degrees Celsius) and is then rapidly quenched.

「この窒素欠陥添加ナノダイヤモンドを作るために、研究者は、サファイア、ガラス、あるいは、プラスチックポリマー(可塑性高分子)等の基板から始めています。まず基板を、非晶質炭素(グラファイト(黒鉛)やダイヤモンドと違って、規則的で明確な結晶構造を持たいない元素炭素)でコーティングします。無定形炭素膜を被膜している間に、研究者は、それに窒素イオンと炭素13イオンを衝突させました。炭素は次に、約4000ケルビン(大体摂氏3727度くらい)まで炭素の温度を上げるレーザーパルスを照射され、その後急冷されます。」

窒素空孔を添加したナノダイヤモンド作成は結構大変そうです。

The operation is completed within a millionth of a second and takes place at one atmosphere – the same pressure as the surrounding air. By using different substrates and changing the duration of the laser pulse, the researchers can control how quickly the carbon cools, which allows them to create the nanodiamond structures.

「その作業は、100万分の1秒以内で完了し、周囲空気と同じ気圧である1気圧で行われます。さまざまな基板を使い、レーザーパルス照射時間を変えることで、研究者は、どのくらい急速に炭素を冷却するかを制御でき、それが、彼等にナノダイヤモンド構造を作成することを可能にしています。」

窒素欠陥をドープしたナノダイヤモンド作成が常圧で行われていることが驚きでもあります。こういった作業は普通何百万気圧下で行われる事が多いので、作業を常圧で行えるメリットは相当大きいのではないでしょうか。

“Our approach reduces impurities; controls the size of the NV-doped nanodiamond; allows us to place the nanodiamonds with a fair amount of precision; and directly incorporates carbon-13 into the material, which is necessary for creating the entanglement required in quantum computing,” Narayan says. “All of the nanodiamonds are exactly aligned through the paradigm of domain matching epitaxy, which is a significant advance over existing techniques for creating NV-doped nanodiamonds.”

「”我々の手法は、不純物を減らし、窒素空孔ドープナノダイヤモンドの寸法を制御し、正確なナノダイヤモンド配置を可能にし、量子計算に要求されるもつれを作り出すために必要な、炭素13をその材料に直に組み込めます。”とナラヤンは語る。”全てのナノダイヤモンドは、NV添加ナノダイヤモンド作成用の既存技術上の重大進歩である、分域整合エピタキシーのパラダイムを介して正確に位置合わせされています。”」

窒素欠陥添加ナノダイヤモンドの作成には、現在の最先端の技術が必要みたいで、技術の進歩が今回の研究を成功に導いたとも言えるようです。

量子コンピュータへの応用

“The new technique not only offers unprecedented control and uniformity in the NV-doped nanodiamonds, it is also less expensive than existing techniques,” Narayan says. “Hopefully, this will enable significant advances in the field of quantum computing.”

「”新しいテクニックは、窒素欠陥ドープナノダイヤモンドにおいて、前例のない制御と均一性を提供するだけでなく、既存の技術より安価でもあります。”とナラヤンは言う。”うまくいけば、これが量子計算分野で重大な進歩を可能にします。”」

小規模室温量子コンピューターが5年以内で完成しそうな勢いです。

The researchers are currently talking with government and private sector groups about how to move forward. One area of interest is to develop a means of creating self-assembling systems that incorporate entangled NV-doped nanodiamonds for quantum computing.

「研究者等は、現在、政府と民間部門グループと、前進の仕方について話し合っています。1つの関心領域が、量子計算用にエンタングルされた窒素空孔添加ナノダイヤモンドを組み込んだ自己集合システム作成方法を考案することです。」

量子コンピュータの発展に非常に重要な研究なので、政府や関係民間セクターと話し合いながら今後の展開を考えているようです。室温量子計算機が可能になれば、それだけで人類の文明は飛躍的に進歩しますし、だからと言って、啓蒙されていない多くの人間が啓蒙されるわけではありませんが、啓蒙されている人間がさらに啓蒙されて、科学を限界を越えて進歩させることを可能にしてくれます。あるいは、人工知能が、人類に取って代わって、文明と科学を極限まで発展させてくれるかもしれません。