新種の極薄半導体の機能性を手早く安価に判定する新手法

新しい極薄半導体の光学的性質の研究を基に、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの研究者達が、この種の物質を迅速かつ効率良く特徴付けるための手法を考案しています。所謂遷移金属に属する元素に基づく化合物は、当該合成物の単層から成る原子薄2次元結晶を作るために加工可能で、驚くべき光学的性質を持つ半導体ができあがります。アメリカ人の同僚等と協働で、Alexander Högele氏率いるLMU物理学者チームは、遷移金属ジカルコゲナイド (TMD) でできた薄膜半導体の性質を現在探求しています。研究者達は、Nature Nanotechnology 誌に彼等の研究結果を発表しています。

バレーインデックス

A method for rapid and efficient characterization of novel ultrathin semiconductors

These semiconductors exhibit remarkably strong interaction with light and therefore have great potential for applications in the field of opto-electronics. In particular, the electrons in these materials can be excited with polarized light. “Circularly polarized light generates charge carriers that exhibit either left- or right-handed circular motion. The associated angular momentum is quantized and described by the so-called valley index which can be detected as valley polarization,” Högele explains. In accord with the laws of quantum mechanics, the valley index can be used just like quantum mechanical spin to encode information for many applications including quantum computing.

「こういった半導体は、驚くほど強い光との相互作用を示すことから、オプトエレクトロニクス分野での応用に大きな可能性を秘めています。特に、この種の物質の電子は、偏光を使って励起することが可能です。”円偏光は、左か右のどちらかに回る円運動を見せる電荷担体を生成します。それに連動した角運動が量子化され、バレー偏極として検出可能な所謂バレー指標によって表されます。”と、Högele氏は説明します。量子力学の法則に従って、そのバレーインデックスは、量子計算を含む多くのアプリケーション用に情報をエンコするための量子力学的スピンのように使うことができます。」

バレー量子自由度の応用

しかし、TMD半導体におけるバレーインデックスの最近の研究が、賛否両論の結果をもたらしています。世界中のさまざまなグループが、矛盾したバレー分極度の値を報告しています。彼等の新しく開発された偏光計法の助けと、モデル系として半導体TMD二硫化モリブデンの単層を使うことで、LMU研究者達は、こういった相違の理由を今は明らかにしています。”偏光への応答は、結晶品質に対して非常に敏感であることが分かり、なので、同じ結晶内であっても著しく異なります。”と、Högele氏は語ります。”結晶品質とバレー分極間の相互作用は、我々に、バレー量子自由度を利用したアプリに該当するサンプルのそういった特性を迅速に効率的に測定することを可能にしてくれています。”

原子層半導体の未来

さらに、その新しい手法は、他の単層半導体や数種の材料からできた系にも適用することができます。将来的に、この事が、原子薄半導体を利用した、例えば、新種のLEDのようなデバイスの機能性を、手早く安価に断定することを可能にしてくれるでしょう。

原子並みに極薄膜半導体を使った研究は、現在世界中で盛んに行われており、バレートロニクスというエレクトロニクス、スピントロニクスに次ぐ、第三の電子技術としてかなり注目されています。日本でも研究が盛んで、電子立国を目指す日本にとっては、こういった次世代電子技術の開発は必須だとも言われています。幸い日本には優秀な科学者・技術者が多く、今後の研究成果が期待されていますが、産学官が連携して、最新技術を開発していくことが、今後の日本を大きく変えていくのではないでしょうか。