炎症性の激痛とプロスタグランジンとセロトニンの微妙な関係

痛みは、身体への損傷の度合いと部位を知らせるための警告信号としての役割を果たしています。その非常に不快な感覚に加えて、痛みの伴う出来事は、痛みを回避する行動に拍車を掛ける働きをしている可能性がある、ネガティブな感情的反応を引き起します。しかし、慢性的な炎症状態においては、持続的な痛みに付随するネガティブな情動状態は、病気に冒された各個人に対する、うつ病や依存症などの精神医学的合併症の危険性をより高めてしまいます。

プロスタグランジンシグナリング

Pinpointing the mechanisms that underlie emotional responses to pain

Signaling by molecules called prostaglandins plays a key role in the body’s response to inflammation. Prostaglandins been linked to the sensory perception of pain, but their role in the emotional response to pain is unclear. This week in the JCI, a study conducted by David Engblom’s lab at Linköping University in Sweden has demonstrated that the aversive effects of inflammatory pain are driven by prostaglandin signaling specifically on serotonin-producing neurons in the brainstem.

プロスタグランジンと呼ばれる分子によるシグナリングは、人体の炎症への応答に重要な役割を果たしています。プロスタグランジンは、痛みの知覚に関連しているのですが、それらの痛みに対する情動反応における役割については、ほとんど知られていません。今週号のJCI誌の中で、スウェーデンにあるリンショーピング大学のデービッドイングブルムの研究室によって行われた研究が、炎症性痛覚の嫌悪効果が、特に、脳幹でセロトニンを生産しているニューロンに対して、プロスタグランジンシグナリングによってもたらされている事を明かしています。

セロトニンシグナリング

When the researchers selectively blocked prostaglandin synthesis in neurons, mice displayed reduced aversive responses to inflammation-induced pain. Furthermore, mice lacking prostaglandin receptors on serotonin-producing neurons and mice lacking the serotonin transporter also exhibited less pain-avoidance behavior. Prostaglandin signaling in serotonin neurons was not required for aversive responses to high temperatures, suggesting that this pain-aversive signaling pathway is specific to inflammatory pain. These findings suggest that the effects of prostaglandin on serotonin signaling are key drivers of the emotional response to pain, implicating a pathway that may be targeted in future therapeutics for managing pain in chronic inflammatory conditions.

研究者達が、選択的にニューロンにおけるプロスタグランジン合成を阻害したところ、ネズミ達は、炎症誘導痛覚に対する忌避反応が減少していることを示しています。さらに、セロトニン産生ニューロンのプロスタグランジン受容体が欠如したネズミと、セロトニン輸送体が欠如したネズミが、痛みを避ける行動がより少なくなっていることも示しています。セロトニン神経におけるプロスタグランジンシグナリングが、暑さ(高温)に対する嫌悪反応には必須ではないことが、この痛覚回避シグナリング経路が、炎症性痛覚に特有である事を示唆しています。こういった発見が、セロトニンシグナリングに与えるプロスタグランジンの影響が、痛覚に対する情動反応の主要因であり、慢性的な炎症状態における痛みを管理するための、将来の治療法の目標とされる可能性がある経路に関係していることを示唆しています。