日本の幼児から分離された新型ボツリヌス毒素BoNT/X

ボツリヌス毒素は、現在、筋けいれん、過活動膀胱、慢性片頭痛、頸部ジストニア、発汗や脳性麻痺を含む、80を超える病状に対して用いられています。新型毒素、ボツリヌス神経毒素タイプX(Botulinum neurotoxin type X, BoNT/X)は、細胞内膜輸送・分泌に関連したボツリヌス毒素療法の新分野を開拓する可能性を秘めています。

BoNT/Xの発見

New botulinum neurotoxin discovered — potential to treat a number of medical conditions

Since Botulinum neurotoxins are the most toxic substances known, the development of detection methods and treatments is very important.

ボツリヌス神経毒は、既知の最も有毒な物質なので、検出法と治療法の開発は重要です。

“The discovery of BoNT/X facilitates the development of diagnostics and countermeasures which is important if someone would be exposed to a toxic amount of the substance”, says Pal Stenmark, Associate Professor, Department of Biochemistry and Biophysics, Stockholm University.

”BoNT/Xの発見は、誰かがその物質の毒性量に暴露された場合重要になる、診断法と対抗措置の開発を促進してくれます。”と、ストックホルム大学生化学・生物物理学部准教授のパル・ステンマルク氏は言っています。

BoNT/Xの抗毒素開発

The research team will now develop antibodies with the ability to detect and inactivate the toxin.

研究チームは、現在、その毒素を検知・不活性化可能な抗毒素を開発予定です。

“Within a few months we will have developed ways of detecting if a person has been subject to BoNT/X”, says Pal Stenmark.

”数ヶ月以内に、我々は、もし、人が、BoNT/Xにさらされた場合の検知法を開発しているでしょう”と、パル・ステンマルク氏は言っています。

The researchers will determine the structure of the toxin and investigate how it binds to the nerve cell. They will also investigate how the unique properties of BoNT/X can be best used to develop new therapeutics.

研究者達は、新しく発見された毒素の構造を割り出し、それが、どのようにして、神経細胞と結合するのかを調査する予定です。彼等は、BoNT/Xの特異的性質が、新しいボツリヌス毒素療法を開発するのに、どうすれば最もうまく利用できるかを、同時に調査する予定でいます。

全ては日本の子供から始まった

It all started with an infant in Japan that became ill in 1995. In 2015 the genome of the bacteria isolated from the child was sequenced and deposited in a database. Hidden in the four million letter blueprint of the bacterium, the research team identified the novel toxin.

今回の新毒素発見は、1995年に病気になった日本の幼児から始まっています。2015年、その子供から分離された細菌のゲノムが配列決定され、データベースに蓄積されました。400万文字に隠されたその細菌の青写真を基に、研究チームは、新型毒素を同定しました。

つい最近も、蜂蜜を与えられた乳児が、乳児ボツリヌス症を患い亡くなるという、大変痛ましい事件(事故)が起きましたが、ボツリヌス菌は非常に恐ろしい存在です。しかし、そのボツリヌス菌由来の神経毒が、人の病気の治療や美容整形に使えることは、非常に意外だし、今回発見されたボツリヌス毒素が、どういった治療法に使えるかは、とても興味深くもあります。