分子合成:リアノドールからリアノジンを合成する

分子を合成する事は、ジグソーパズルを自分でデザインした後に、それをバラバラなピースに分けて、自分で組み立てていく作業のようなものらしいです。作りたい分子を考察した後で、その分子を切り刻んでピースにする方法を考え、最後に切り刻んだそのピースをジグソーパズルのように元通りに作り直す必要があるからです。

合成分子は、燃料生産から有機発光ダイオード(OLED)フラットスクリーンテレビに使われている色素まで、多くの化学薬品製造業の必要不可欠な要素になっています。科学者は、それらがどう働くのかをもっとよく理解するために、さらに、新しい医薬品をデザインするために、ゼロから分子を作り出してもいます。

リアノジン

Puzzle maker: Building a chemical from the ground up

Reisman’s team has been busy trying to crack the puzzle of the insecticide ryanodine, a complex molecule first isolated from a tropical plant in the 1940s. Ryanodine paralyzes insects by binding to a class of calcium-channel receptors called ryanodine receptors. In humans, these receptors play critical roles in muscle and neuronal function. Mutations in the genes that encode ryanodine receptors can lead to disease, including certain types of heart arrhythmias and possibly Alzheimer’s disease.

「Reismanのチームは、1940年代に熱帯植物から初めて分離された複合分子である、殺虫剤リアノジンの謎を解こうと頑張っています。リアノジンは、リアノジン受容体と呼ばれているカルシウムチャネル受容体類に結合することで昆虫を麻痺させます。人間においては、これらの受容体は筋肉と神経機能において重要な機能を果たしています。リアノジン受容体をコード化している遺伝子での突然変異が、特定の種類の心臓不整脈や。場合によっては、アルツハイマー病を含む病気を引き起こす可能性があります。」

リアノジンについて調べてみました。リアノジン – Wikipedia

リアノジン(Ryanodine)は中南米産のヤナギ科(イイギリ科)樹木Ryania speciosaから得られる有毒アルカロイド。リアノジン受容体は動物の横紋筋にあるカルシウムチャンネルとして同定された。これにリアノジンが結合すると筋小胞体中のカルシウムイオンが放出され、持続的な筋収縮をひき起こす。またその他の多くの細胞にもリアノジン受容体が存在し、カルシウムによる細胞機能の調節に関与することが明らかにされている。

リアノジン受容体

リアノジン受容体についても調べてみました。リアノジン受容体 – Wikipedia

リアノジン受容体は、筋細胞や神経細胞といった興奮性の動物組織中で、細胞間カルシウムチャネルの働きを担っている。3つの主要アイソフォームが知られており、其々異なる組織中で、細胞内小器官からのカルシウム放出を伴う其々異なるシグナル伝達経路に関与している。RyR2受容体アイソフォームは動物細胞中のカルシウム誘発性カルシウム放出(CICR)に於いて、主な調節機構として機能する。

Reismanのチームは、リアノジンを合成する道への足掛かりとして、最初に、リアノジンに良く似た分子であるryanodol(リアノドール)を目標にしています。

リアノドール

Ryanodol previously has been made by two other research groups: In the late 1970s, a research team made ryanodol in 41 steps, and in 2014, another team synthesized the chemical in 35 steps.

「リアノドールは、これまでに、2つの研究グループによって作られています。1970年代に1つの研究チームは41段階でリアノドールを作り、2014年にもう一つのチームが、35段階でその化学物質を合成しています。」

Now, reporting in the journal Science, Reisman’s team has devised a route to synthesize ryanodol in just 15 steps. This significantly cuts the time required to make ryanodol, and presumably also ryanodine, which Reisman’s team will try to synthesize next.

「今現在、Science誌において、Reismanのチームが、たったの15段階でリアノドールを合成するための手段を発見した事を報告しています。この事は、リアノドールと、たぶん同様に、Reismanのチームが次に合成を試みるであろう、リアノジンを作るために必要な時間をも大幅にカットします。」

テルペン

Ryanodol and ryanodine belong to a class of molecules called terpenes. These are naturally occurring molecules that commonly contain between 10 and 30 carbon atoms. For example, 10-carbon terpenes include R-carvone, the molecule behind the flavor in spearmint leaves; and pinene, which is derived from pine trees and is the primary chemical in the paint solvent turpentine. The antimalarial drug artemisinin, derived from the wormwood shrub, is a 15-carbon terpene.

「リアノドールとリアノジンは、テルペンと呼ばれる分子種に属しています。これらの分子は一般的に10~30の炭素原子を含んだ自然に発生する分子です。例えば、10炭素原子のテルペンは、スペアミント(ハッカ)の風味の背後の分子である、Rカルボンや、松の木由来で塗料用溶剤テレピン油の主要な化学物質であるピネンを含んでいます。ヨモギの低木由来の抗マラリア薬のアルテミシニンは、15炭素テルペンです。」

Ryanodol and ryanodine are some of the more chemically complex 20-carbon terpenes, with five different carbon rings and many carbon-oxygen bonds.

「リアノドールとリアノジンは、5個の異なる炭素環と多くの炭素・酸素結合を持つ、より化学的に複雑な20炭素テルペンの一部です。」

リアノジンは、複雑な化学物質だけあって合成に手間取るようです。

リアノドール合成

There are two big challenges in the synthesis of ryanodol. First, chemists have to build the five rings that make up the carbon backbone of the molecule, and second, they have to precisely decorate seven of the carbons with “OH” (or hydroxyl) groups, the chemical structure found in alcohols. Previous syntheses of ryanodol required multiple chemical reactions to introduce the OH groups, adding extra steps. Reisman’s synthesis develops new reactions that brings in two or three alcohols at a time–a key discovery of the new synthesis that makes it more efficient.

「リアノドールの合成における2つの大きな課題が存在します。まず、化学者は、分子の炭素骨格を作り上げている5個の炭素環を構築する必要があり、また、もう一つは、アルコールに見られる化学構造であるOH(ヒドロキシル基、ヒドロキシ基)グループで7個の炭素を正確に飾り付けなければなりません。リアノドールの従来の合成は、OHグループを取り込むための複数の化学反応を必要とし、余分な段階を加えています。Reismanの合成は、一度に2~3種類のアルコールを取り込む新しい反応を生み出します。この事が、Reismanの合成をより効率的にしている新しい合成法の重要な発見にしています。」

同時に複数のアルコールを反応させることを可能にすることで、リアノドール合成のために必要なステップを大幅に短縮することが可能になったみたいです。

The Reisman team began with a simple commercially available terpene, then attached two of the OH groups. They then built up four of the five carbons rings in a series of reactions. Next, the team brought in two more OH groups, and a precursor to an OH group, again in a single step. The fifth and final ring was formed in two steps using conditions developed in a previous synthesis, which also introduced the remaining two OH groups.

「Reismanのチームは、普通の市販のテルペンから始め、その後、2個のOHグループをテルペンにくっつけました。彼らはその後の一連の反応の中で、5個の炭素環のうちの4個を構築しました。次にチームは、再びシングルステップでさらに2個のOHグループと1個のOHグループの前駆体を取り込みました。5番目にして最後の炭素環は、残りの2個のOHグループを取り込んでもいる、前の合成で作り出された条件を利用している2つの段階で形成されました。」

“Five of the oxygen atoms are brought in with just two reactions. That is the key to streamlining the synthesis,” says Reisman. “It’s like building from Legos using the larger pieces instead of the small ones. You get there faster.”

「”5個の酸素原子はたったの2反応で取り込まれています。これが合成を合理化している鍵になっています。”とリースマンは言っています。”それは小さいピースの代わりにより大きなピースを使ってレゴを組み立てているようなものです。早く目的を達成できます。”」

レゴでもパズルでも、ピースがでかければでかいほど、組み立てるのが簡単なのは当たり前なことで、例えば100ピースよりも10ピースの方が、簡単に楽に組み立て可能です。

リアノジン合成

Reisman’s team is now working on the final piece of the puzzle: creating ryanodine from ryanodol. They think the solution not only will help them to make ryanodine but also aid in the synthesis of new, designer analogues. This will lead to more precise studies of the ryanodine receptors and the possible development of drugs that can target them.

「ライスマンのチームは現在、リアノドールからリアノジンを作る、パズルの最後のピースに取り組んでいます。彼らはその解決法が、彼らがリアノジンを作る手助けをするだけではなく新しい、デザイナ類似体の合成に役立つだろうと考えています。これがリアノジン受容体のさらに緻密な研究とそれらをターゲットにできる医薬品の開発の可能性につながるでしょう。」

最後のミッシングピースである、リアノドールからリアノジンを合成する作業はかなり大変なような気もしますが、この分野では今後、分子のスペースシャトルのような、人工知能を利用することで、作業効率が大幅に改善されることが期待されています。