量子コンピュータの夢へまた大きな前進

研究者たちは、1次元の量子細線中に電子を圧搾し、それらの間の相互作用を観測することによって、電子の量子効果を観測する事に成功しました。この研究結果が、量子計算などの量子技術の発展に多少なりとも貢献することができるかもしれないとの事です。

科学者は、電子が量子効果を見せ始めるように、コンピュータ・プロセッサを製造するために現在使われている技術の延長を利用し、それらをぎゅうぎゅうに詰め込むことによって、電子の制御に成功しました。このテクニックが、新しい量子技術の道を切り開く、量子物質の特性を明らかにしています。

量子コンピュータ

The ability to control electrons in this way may lay the groundwork for many technological advances, including quantum computers that can solve problems fundamentally intractable by modern electronics. Before such technologies become practical however, researchers need to better understand quantum, or wave-like, particles, and more importantly, the interactions between them.

「この方法で電子をコントロールできることが、最新の電子技術では根本的に手に負えない問題を解くことが可能な、量子コンピュータを含む多くの技術的進歩の基礎を築くかもしれません。しかし、そのような技術が実用的になる前に、研究者は、量子または波状粒子、何より、それらの間の相互作用をもっとよく理解する必要があります。」

今回の新発見が量子コンピュータの進歩に大きく貢献する可能性があるのは嬉しいニュースと言えます。量子コンピューターが実用化されるのはまだ数十年先の話ですが、新しい技術革新の積み重ねが、最終的に量子コンピュータを実現させます。

電子の量子性

Squeezing electrons into a one-dimensional ‘quantum wire’ amplifies their quantum nature to the point that it can be seen, by measuring at what energy and wavelength (or momentum) electrons can be injected into the wire.

「電子を1次元量子ワイヤーの中へ強く押し込むことが、どんなエネルギーや波長(もしくは運動量)で電子をワイヤーの中へ注入できるのかを測定することで、それらの量子性をそれが見えるレベルまで増幅します。」

電子をワイヤーの中へ押し込むのに必要なエネルギーやモーメンタム測定することで、押し込んだ時の電子の量子性が顕著になり、量子効果を検知できるようです。

“Think of a crowded train carriage, with people standing tightly packed all the way down the centre of the carriage,”

「人々が車両の中央のずっと先までぎゅうぎゅう詰めで立っている、激混みの電車の車両を考えてみて下さい」

all the way down = ずっと向こうという意味で、all the way down the streetなら通りのずっと向こうや通りのずっと先といった意味になります。

中央のずっと先、ずっと向こう、車両の端から車両の中を見渡した時、車両中央のずっと先まですし詰め状態という意味で、車両の端から端まですし詰め状態といった意味です。人々がすし詰め状態の車両に立っている満員電車を想像してみて下さい、立錐の余地もない満員電車を思い浮かべてみて下さい、思いっ切り端折れば、満員電車を想像して下さい、でも十分意味が通じますが、さすがに短縮し過ぎかもしれません。

“If someone tries to get in a door, they have to push the people closest to them along a bit to make room. In turn, those people push slightly on their neighbours, and so on. A wave of compression passes down the carriage, at some speed related to how people interact with their neighbours, and that speed probably depends on how hard they were shoved by the person getting on the train. By measuring this speed, one could learn about the interactions.”

「もし誰かが乗ろうとした場合、彼等は場所を空けるために、近くの人達を少し押して進まなければなりません。同様に、押された人達が隣の人達を少し押し、それが繰り返されます。圧縮の波が、人々が隣の人達とどのように相互作用するかに相関している速度で、車両中に伝わります。そして、その速度は、たぶん、彼等が、列車に乗車してきた人にどれくらい強く押されたかで決まります。この速度を測定することで、相互作用について学ぶことが可能です。」

満員電車に無理やり乗ろうとして、押すなよって言われて押し返されて電車に乗れなかったことがありますが、本当にすし詰め状態だと、よほど強く他の乗客を押し込まないと、車両に乗り込むのは不可能です。駅員が押し込んだりしますが、まるで家畜が貨車に押し込まれるているように見え、気分がいいもんじゃありません。

“The same is true for electrons in a quantum wire – they repel each other and cannot get past, so if one electron enters or leaves, it excites a compressive wave like the people in the train,”

「量子ワイヤーの電子も一緒です。それらは互いに反発し合って通り抜けられないので、もし1個の電子が出入りした場合、電車の中の人々のように圧縮波を励起します。」

ぎゅうぎゅう詰めで電子が身動き取れないので、そこに電子を注入すると圧縮波が励起されて電子間の相互作用や量子効果を観測できるようです。

However, electrons have another characteristic, their angular momentum or ‘spin’, which also interacts with their neighbours. Spin can also set off a wave carrying energy along the wire, and this spin wave travels at a different speed to the charge wave. Measuring the wavelength of these waves as the energy is varied is called tunnelling spectroscopy. The separate spin and charge waves were detected experimentally by researchers from Harvard and Cambridge Universities.

「しかし、電子は別の特徴、それらの隣合った電子と同様に相互作用する角運動量またはスピンを持っています。スピンはワイヤー沿いの波が持つエネルギーを相殺する事もでき、このスピン波は電荷波とは違う速度で進みます。エネルギーが変化している時にこれらの波の波長を測定することはトンネル分光法と呼ばれています。個々のスピン波と電荷波はハーバードとケンブリッジの研究者によって実験的に検出されました。」

Now, in the paper published in Nature Communications, the Cambridge researchers have gone one stage further, to test the latest predictions of what should happen at high energies, where the original theory breaks down.

「現在Nature Communicationsに掲載済の研究論文で、研究者は、原論が破綻する高エネルギーで起こるべきことの最新予測をテストするために、さらに1段階前進しました。」

original theoryは元の説(理論)、オリジナルの理論(学説)、最初の理論(説)等、色々訳せますが、オリジナルセオリーは止めた方がいいかもしれません。

新しいモード

A flurry of theoretical activity in the past decade has led to new predictions of other ways of exciting waves among the electrons—it’s as if the person entering the train pushes so hard some people fall over and knock into others much further down the carriage. These new ‘modes’ are weaker than the spin and charge waves and so are harder to detect.

「過去10年間の相次ぐ理論的活動が、電子間に波を励起するための他の方法の新しい予測をもたらしました。それはあたかも電車に入ってきた人が何人かを倒れるほど強く押して、車両のもっとずっと奥まで他の人々がぶつかるかのようです。これらの新しいモードは、スピン波と電荷波より弱いので、検知するのが困難です。」

mode = やり方、形態、状態、new mode = 新型、新様式、新形式、今までにない状態とも訳せますが、ここでは、新しいモードと訳すのが無難かなと。

人を強く押せば押すほど、車両の奥まで圧縮波は伝達されるわけです。この今回新発見されたモードは、電荷波やスピン波よりも微弱なので、検知し難いようです。

The collaborators of the Cambridge researchers from the University of Birmingham predicted that there would be a hierarchy of modes corresponding to the variety of ways in which the interactions can affect the quantum-mechanical particles, and the weaker modes should be strongest in very short wires.

「バーミンガム大学のケンブリッジ研究者の協力者が、相互作用が量子力学の粒子に影響を与える様々な方法に対応するモードの序列があり、そして、より弱いモードが超短細線においては最強であるべきことを予測しました。」

圧縮波をあまり出すことなく、ワイヤーの中に上手く入り込める電子が最強ということなんでしょうかね。全く分かりませんが、勝手な解釈だと、満員電車に周囲の乗客に迷惑かけることなく乗り込めれば、周りの乗客たちの受けが良くなるので、相互作用しやすくなるということなのかもしれません。

超短細線の自作

To make a set of such short wires, the Cambridge group set about devising a way of making contact to a set of 6000 narrow strips of metal that are used to create the quantum wires from the semiconducting material gallium arsenide (GaAs). This required an extra layer of metal in the shape of bridges between the strips.

「そのような短細線の一式を製作するために、ケンブリッジグループは、半導体材料のヒ化ガリウムから量子細線を作るのに使われた一連の6000の精密な細長い金属片に接点を作るための方法を考え出すことから始めました。この事は、その金属片の間に橋の形をした特別な金属層を必要としました。」

By varying the magnetic field and voltage, the tunnelling from the wires to an adjacent sheet of electrons could be mapped out, and this revealed evidence for the extra curves predicted, where it can be seen as an upside-down replica of the spin curve.

「磁場と電圧を変えることで、その超短細線から隣接した一面の電子へのトンネリングは図示可能で、このことが、それがスピンカーブを逆さまにしたレプリカに見えるという予測されていた特別なカーブの存在を証明しました。」

These results will now be applied to better understand and control the behaviour of electrons in the building blocks of a quantum computer.

「こうした研究結果は今後、量子コンピュータの構成要素における電子の行動をもっとよく理解して制御することに応用されるでしょう。」

電子をの行動を完璧に把握できるようになれば、当然御し易くなり、その結果、電子の量子性をフルに利用することができるようになります。電子を量子ドットに閉じ込めて作られている量子ビットなんかは、今後今回の研究結果を参考にすれば、より安定した量子コンピュータ作りに役立てられるかもしれません。と適当なことを言っておきます。