抗生物質に頼らなくても先天性免疫で感染症は十分防げる!?

ルンド大学皮膚病学の研究者達は、怪我の際、感染が体中に制御不能で広がることを、即座に抑止できる理由の謎を解明したと考えています。彼らは、この知識が、細菌に対抗するための新しい方法を開発するのに使える、臨床的重要性を有している可能性があると信じています。

”もしかすると、我々は、抗生物質を使って滅菌する必要はなく、単純に、体が感染症にうまく対処できるように、それらを寄せ集めるだけでいいかもしれません。”と、ルンド大学皮膚病学教授で、本研究論文の筆頭著者で研究者のJitka Petrlova氏は言っています。本研究は、ルンド大学、コペンハーゲン、シンガポールの彼らの同僚達と緊密な連携の下で行われ、科学専門雑誌のProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)に掲載されています。

血液たんぱく質トロンビン

New defence mechanism against bacteria discovered

The researchers have discovered that fragments of thrombin – a common blood protein which can be found in wounds – can aggregate both bacteria and their toxins; something they did not see in normal blood plasma. The aggregation takes place quickly in the wound and causes bacteria and endotoxins not only to gather but also to be “eaten” by the body’s inflammatory cells.

研究者達は、創傷に含まれる一般的な血液たんぱく質である、トロンビンの断片が、正常な血漿には見られない、細菌と細菌毒の両方を集めることができることを発見しています。その凝集は、傷口内で素早く起こり、細菌と内毒素を寄せ集めるだけではなく、ヒトの体の炎症細胞によって食べられることをもたらしてもいます。

”このようにして、ヒトの身体は、感染が体中に広がることを回避しています。私たちは、このことが、創傷が回復する間、細菌と細菌毒の両方に対処するための基本的機序であると考えています。”と、Jitka Petrlova氏は言いました。

凝集とアミロイド形成

“Our discovery links aggregation and amyloid formation to our primary defence against infections – our innate immunity. It is well known that various aggregating proteins can cause amyloid disease, in skin or internal organs, such as the brain. Therefore, a mechanism that is supposed to protect us from infections, can sometimes be over-activated and lead to degenerative diseases.”

”我々の発見は、凝集とアミロイド形成を、感染に対するヒトの第一防御(持って生まれた免疫機構)と結び付けています。多種多様な凝集タンパク質が、皮膚や脳などの内部器官に、アミロイド疾患を引き起こすことは、非常によく知られています。なので、感染症から人間を保護することになっている機序が、たまに、過剰に活性化されて変性疾患を引き起こします。”

20年以上にわたって、先天性免疫分野で研究を続けている、Artur Schmidtchen氏は、本研究の成果に大変満足しています。

人が持って生まれた免疫機構

“I have always been fascinated by how nature has effectively created different defence mechanisms, and wound healing provides a rich source of new discoveries. The ability to effectively heal wounds is of evolutionary significance to our survival. Compared to antibiotics, innate immunity has been around for millions of years – and I think we should consider the application of these concepts in an era of increasing antibiotic resistance.”

”私は、常々、自然がどのようにして、効果的にさまざまな防御機構を生み出して、創傷が回復する事が、多くの新しい発見を提供してくれていることに興味を掻き立てられています。効果的に傷を癒やす能力は、人類が生き残るために進化的に非常に重要です。抗生物質と比較した場合、人が持って生まれた免疫は、数百万年も前から存在していて、私は、人が、抗生物質に対する抵抗が増え続ける時代に、こういった概念の利用を検討すべきだと考えています。”

抗生物質にあまり頼らずに、自然免疫に任せる事も重要なようです。抗生物質の乱用が、それに対する耐性を持ったスーパーバグを次々と生み出し、今やその事が、人類の脅威になってしまっています。免疫系を鍛えることが、感染症予防の一番の方法なのかもしれません。健康維持には、免疫機構は欠かせないので、食事・睡眠等、免疫を高める工夫が必要みたいです。