マヨラナ粒子の存在を立証するための新手法

元素、プラセオジミウム、オスミウム、アンチモンから成る低温材料が、マヨラナフェルミオンとして知られるサブアトミック粒子を宿らせる事を、MIT研究者が、理論解析で証明しています。マヨラナフェルミ粒子は、1937年に初めて物理学者達によって予測され、電子が2つに分裂し、一つ一つが独立して振る舞う粒子として考えられる事が可能です。このフェルミ粒子は、基本粒子としては現存してはいませんが、絶対零度近傍温度で特定の超伝導体に発現できます。超伝導材料において、電子は抵抗無しで、熱をほとんどというか全く発することなく流れています。

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電子とホールの重ね合わせ

Majorana fermions predicted in a superconducting material

研究者達による新しい分析が、この特別な状態がPrOs4Sb12化合物や重金属で作られた他の似たような物質に現れることを予測しています。物理学者達は、電子を、それらのエネルギー、運動量、スピンで表現しています。電子は、起こり得るエネルギー準位を占有でき、占有されていない準位はホール(空孔)と呼ばれています。今回の新しい分析で、マヨラナフェルミオンは、それぞれが同じ方向またはスピンを持って自由に動いている電子とホールの量子重ね合わせとして現れています。このマヨラナフェルミ粒子スピンは、物質中の原子核のスピンと相互作用できるので、核磁気共鳴技術 (NMR) を使って見ることができるはずだと、彼等は予測しています。

”我々は、特定のクラスの超伝導体に処置を施し、それらが、バルク中で自由に伝播する準粒子としてマヨラナ粒子を持つことを証明し、その後、それらがどうすれば検出され、この種の物質が、面白い機能性を将来的に利用可能な他にどんな特性を持っているのかを調べています。私は、それが実験と理論のギャップをうまく橋渡しし、今すぐにでも実験者によって使われることができると思っています。”とVenderbosは言っています。彼等の研究論文は、今月サイエンス誌に掲載されました。

時間反転対称性の破れ

この論文の鍵となる物理的概念は、時間反転対称性の概念です。当該対称性は物体や粒子を支配する運動方程式が、時間の流れる方向が反転しても (時間が前方に流れるのではなく後方へ流れても)、同じままな事を意味しています。もし、物質中の電子の運動方程式が、時間が逆向きに流れると違うなら、例えば磁石はそうですが、その場合、時間反転対称性が破れていると考えられています。この事が、物理学者に、物質を分類するための重要な方法を与えてくれています。今回提案されたアンチモン化合物系超伝導体では、マヨラナフェルミ粒子が、時間反転対称性が破れる時だけ存在することを、分析が明らかにしています。時間の動きを反転させることで、マヨラナ粒子のスピンは、例えば、時計回りから反時計回りへ、反転させられ、この事が、時間を遡っているマヨラナ粒子のための別の運動方程式をほのめかしています。”我々が提案した物質は、現に、この物質の超電状態での時間反転対称性の破れを確認している1つの最近の実験が存在しています。この事が、それが、我々の理論を適用するのに、実際に非常に有望な候補であるという我々の結論を強化してくれています。”とコジー氏は説明しています。

マヨラナ粒子

マヨラナ粒子は、最初に、電子の量子的振る舞い用の特別な数学的解法としてイタリア人物理学者エットーレ・マヨラナ氏によって提唱されました。プリンストン大学の研究者達は、2014年10月に、原子鎖の端のこの種の粒子の0次元実現の検出を報告しています。MIT理論物理学者は、彼等が予測している3次元伝播マヨラナフェルミ粒子が、マヨラナのオリジナル方程式によって支配されていることを明らかにしています。”我々が実施してきた広範囲な研究が、この特異な粒子が、現在、実材料における固体物理学での自身の実現に気付いているかもしれない事を示しています。”とVenderbosは言う。

バンドギャップ

金属や半導体などの物質中の電子は、バンドギャップと呼ばれている除外された、あるいは、禁じられたエネルギー準位を伴う、特定のエネルギー準位あるいはバンドだけを満たす事ができます。超伝導体でも、これは、超伝導ギャップと呼ばれています。通常、より低いエネルギー準位にいる電子を、高エネルギー準位へ持ち上げるには、特に、それがバンドギャップを渡る場合、外部エネルギーが必要になります。フー氏グループのプラセオジウム、オスミウム、アンチモンの分析が、低エネルギー励起が可能な事を意味する、超伝導状態においてバンドギャップが消失する、電子励起スペクトルにいくつかの特別なポイントが存在していることを明かしています。”どんなに低いエネルギーを取ろうと、このエネルギーで常に励起が存在しています。こういった励起こそが、まさに、我々が話題にしているこのマヨラナフェルミ粒子なのです。”とコジー氏は説明しています。”人がエネルギーを全く注ぎ込む必要のない、あるいは、ほんの極微量のエネルギーを必要とするいくつかの励起が存在していて、それでもなお、人は、励起を作り出すことができるのです。”と、Venderbosは付け加えています。

マヨラナフェルミオン捜し

研究者達は、彼等の研究が、実験者主義者達が、マヨラナ粒子を伴う超電導状態をホストする物質を特定するために、いくつかの過去に研究された物質を再調査する気にさせることを願っています。”私は、初めの一歩は、ただ、それがこういったマヨラナフェルミオンを有していると、誰もが同意できる物質を見付け出すことだけだと思っています。それは本当にエキサイティングで、実験での新しいタイプの超伝導体の発見を生みます。”とVenderbosは言っています。”次の段階は、どんな事に具体的に使えるのか、この種の物質の機能化について思いを巡らすようになることです。こういった物質から量子デバイスを作り出す試みが、1つの考えられる方向であるかもしれません。今回の研究が、最終的に、マヨラナフェルミオンの多くの側面を見付け出すために、量子材料と量子デバイスコミュニティーからのより親密な活動をもたらす事を期待しています。”とフー氏は語る。

マヨラナ粒子は超伝導体で見られるようですが、マヨラナが現れる超伝導体を作り出すこと、あるいは見付け出すことで、新しいタイプの超伝導体の発見にもつながるみたいなので、一石二鳥なような気がします。そのうち室温超電導体が発見されれば、その室温超伝導体でマヨラナ粒子が現れるようになれば、そのマヨラナフェルミオンをトポロジカル量子コンピュータ(位相量子計算機)のキュービットとして利用可能になり、常温で動作する万能量子コンピューターを開発することができます。量子コンピュータが常温超伝導体を発見してくれるのかもしれないので、一刻も早い、大規模汎用量子計算機の開発が待ち望まれています。後数十年先の話と言われているので、私が見ることはないでしょう。

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