クロスα構造を持つアミロイドが耐性菌への新たな武器になる

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病原性の強い黄色ブドウ球菌は、5つの最も一般的な院内感染病原菌の1つです。アメリカだけでも、約50万人の患者が病院でブドウ球菌感染症を患っています。それは、MRSAというワクチンがない細菌の元凶でもあります。しかし、生物学部助教授メイタル・ランダウ氏率いるイスラエル工科大学チームによってサイエンス誌に掲載された画期的な研究結果のおかげで、状況は一変するかもしれません。研究者達は、病原性で薬物抵抗性が強い黄色ブドウ球菌が人の細胞と免疫系を攻撃する過程で極めてまれなアミロイド原線維を初めて確認しています。今回の研究は、鍵となる細菌毒素を攻撃する、今までにない作用機序を持った抗生物質の発見を促進させる可能性があるということです。

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病原性アミロイド原線維

Novel amyloid structure could lead to new types of antibiotics

研究者達は、感染性細菌を補助する兵器を発見しています。それは、その3次元構造が、その種で初めてのこの毒性原線維の構造を明らかにしている、原子分解能で見出されたアミロイド原線維の今までにない形態です。アルツハイマー病やパーキンソン病などの、神経変性病と関連性があることで悪名が知れ渡る程有名な、蛋白質であるアミロイドは、規則的で極めて安定した構造によって特徴付けられている、幾分蜘蛛の巣に似た、たんぱく質原線維のネットワークを形成しています。この安定性が、そのたんぱく質が、普通のタンパク質では生き延びることができない過酷なコンディションにも持ちこたえることを可能にしています。

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狂牛病とプリオン

One of the best-known examples of this is “Mad Cow” disease, which broke out in England in 1986. According to Prof. Landau, “This disease surprised the scientific community because its cause was not a virus, nor a bacterium, but a protein called Prion, possessing an amyloid-like structure. It then became clear that a protein can be transmissible, and due to its stability, it infected human beings who consumed the contaminated beef – meaning, the protein did not break down in the stages of meat processing, cooking and digestion.”

最もよく知られたこの例の1つが、1986年にイギリスで発生した狂牛病です。ランダウ教授によると、”この病気は、その原因がウイルスでも細菌でもなく、アミロイド様構造を持ったプリオンと呼ぼれる蛋白質だったので、科学界を驚かせました。その後蛋白質が、伝染性になる事ができて、その安定性により、汚染牛肉を食べた人間を感染させる事が明らかになり、その事は、タンパク質が、食肉加工、調理、消化過程で分解しないことを意味しています。”

The “Mad Cow” prion, like all amyloids discovered so far, belongs to a group possessing what is called a cross-ß structure. In the present study, an amyloid of a completely new structure was discovered, which was named cross-α.

狂牛病プリオンは、これまで発見された全てのアミロイドのように、いわゆる、クロスβ構造を持ったグループに属しています。本研究において、クロスαと名付けられた、完全に新しい構造を持ったアミロイドが発見されています。

クロスα構造という完全に新しいアミロイド構造の発見が本研究の肝のようです。

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新型アミロイド

“At some point we knew that we had found something unique, but only after several trips to cyclic particle accelerators (Synchrotrons) in Grenoble and Chicago were we successful in verifying its being a new type of amyloid,” said Prof. Landau. “Much more work was required before we could publish our findings, but from the very first moment, it was clear to us that what we had was a paradigm shift.”

”ある時点で、我々は、自分達が何か今までにない物を発見した事に気づきましたが、グルノーブルとシカゴにある円形粒子加速器 (シンクロトロン)へ何度か訪問して初めて、我々は、それが新しいタイプのアミロイドである事を確認することに成功しました。”と、ランダウ教授は言いました。”私達が自分達の研究成果を発表する前に、はるかに多くの研究が必要だったのですが、最初の時点で、我々が発見した物がパラダイムシフトである事は我々には明白でした。”

She estimates that the new discovery will lead to the development of antibiotics with a new action mechanism. Such drugs will inhibit the amyloid formation thereby neutralizing one of the important ‘weapons’ in the arsenal of this pathogenic bacterium. In her opinion, since this antibiotic is not aimed at killing the bacterium but only reducing its toxicity to humans, it will not lead to a rapid development of bacterial resistance towards it.

彼女は、新しい発見が、新しい作用機序を持った抗生物質の開発につながるだろうと予測しています。そういったドラッグは、アミロイド形成を阻害し、従って、この病原菌の兵器庫にある重要な兵器の1つを無力化します。彼女の意見では、この抗生物質が、細菌破壊が目的ではなく、人間に対するそれの毒性を減少させているだけなので、それに対する菌耐性の急速進化は引き起こさないだろうということです。

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クロスα原線維阻害剤

“Resistance to antibiotics develops in bacteria due to evolutionary pressure – natural selection leads to the growth of bacteria which antibiotics are unable to kill,” she said. “If we reduce the pressure on the bacterium and don’t kill it but rather prevent its pathogenic aspects, the resistance will probably not rush to develop.”

”抗生剤への抵抗は、自然淘汰が抗生剤が効かないバクテリアの増殖をもたらす、進化的圧力によって生み出されています。”と、彼女は言いました。”もし、私達が、バクテリアに対する圧力を減少させて、それを破壊するのではなく、その病原性側面を抑制できれば、耐性は、恐らく、急速に生み出されることはなくなるでしょう。”

未来に目を向けた場合、ランダウ教授は、”研究機関だけでは、必要経費があまりにも高額過ぎるので、薬剤開発の全工程を実行することは困難です。とは言っても、私たちは、薬剤開発者に、プロセスを迅速化してコストを下げる科学知識を提供できます。本発見は、その点において踏み石と言えます。今現在の私達の課題は、クロスα線維を阻害して、バクテリアから武器を取り上げる物質を見つけ出すことです。”

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善玉アミロイド

“From the scientific standpoint, there is an important lesson here – thinking out of the box opens new doors,” she continued. “In this specific case, extending the repertoire of amyloids. Deciphering new structures of amyloids might lead to new insights regarding mechanisms of neurodegenerative diseases. It might also lead to the discovery of ‘good’ amyloids that take part in an organism’s natural protection against infections. Such research could lead to the development of novel means of protection against the toxins found in bacteria and fungi.”

”科学的な見地から言えば、ここに重要な教訓が存在し、それはつまり、型にとらわれない発想が新しい道を開くということです。”と、彼女は続けました。”今回の事例では、アミロイドのレパートリーを拡大させるということでした。アミロイドの新構造を解読することが、神経変性病のメカニズムに関しての新しい知見につながるかもしれません。その事が、同時に、生物の感染症に対する本来持っている抵抗力に加担する、善玉アミロイドの発見につながる可能性もあります。そのような研究は、バクテリアや真菌に含まれている毒素に対する、今までにない保護手段の開発につながるかもしれません。”

クロスα線維阻害剤が発見できれば、MRSAのような抗生物質耐性菌を破壊することなく、毒性を消して無力化できるようです。細菌破壊ではないので、この新薬剤に対する耐性は生み出されないだろうと予測されているので、使い過ぎても問題がないみたいです。抗生剤耐性菌が世界的な問題になっている昨今、今回の研究はかなり大きな意義を持っていると言えます。

善玉アミロイドが悪玉アミロイドを無力化できれば、神経変性病の絶大な特効薬になりそうですが、腸の健康を維持する善玉菌のように、脳の健康を維持してくれる善玉アミロイドがそのうち発見されるかもしれません。狂牛病のような危険な感染症は是非何とかしてもらいたいものです。

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