好中球が炎症を抑制するのに使うトリック

雑菌やアレルギー物質、ウィルスなどが体内外に侵入して体に悪さをすると、そこに救急車のごとく早急に駆け付けてくれるのが免疫細胞達です。人体の防衛隊である彼等の不眠不休の活躍のおかげで、我々は今まで生き長らえる事ができています。彼等には本当に感謝してもしきれません。そんな頼もしい免疫細胞達ですが、彼等の活動にはまだまだ謎の部分が多く、人間の免疫力向上(あるいは抑制)のためにも、今後のさらなる研究が要求されています。

スポンサーリンク

好中球

LJI researchers gain new understanding of how neutrophils

As an arm of the innate immune system, white blood cells called neutrophils form the first line of defense against invading pathogens. Neutrophils spend most of their lives racing through the bloodstream, patrolling for bacteria or other foreign particles. Once they arrive at tissues besieged by infectious agents, they halt on a dime and then blast through the vessel wall to reach the inflammatory attack site. They do this by activating integrins, a class of adhesion receptors that can switch on in less than a second.

「自然免疫系の治療群として、好中球と呼ばれる白血球は、侵入病原菌に対する防御の最前線を形成します。好中球はその一生のほとんどを、バクテリアか他の異物粒子を探し求めて、血流を駆け巡って過ごしています。いったん彼等が感染体によって包囲されている組織に到着すると、即座に停止した後で、炎症を起こしている攻撃サイトへ到達するために血管壁をぶち破ります。彼等は、一秒未満でスイッチを入れる事ができる接着受容体類のインテグリンを活性化する事で、この事を成し遂げています。」

好中球が目的達成を急ぐあまり、血管を破壊しているみたいです。

Now, a paper published by La Jolla Institute for Allergy and Immunology (LJI) researchers reveals an entirely unanticipated way in which neutrophil receptors grab onto a capillary wall in preparation to breach it, as well as a cute trick they use to keep cells from sticking to each other or busting through the wrong place.

「現在、ラホヤ免疫アレルギー研究所の研究者によって発表された論文が、好中球受容体がそれを破る前準備で毛細血管壁にしがみつく、全く予期しないやり方のほかに、細胞同士がくっつき合うのを防いだり、間違った場所へ突進しないために、彼等が使う巧妙なトリックをも明らかにしています。」

血管を破る前に、好中球は血管壁にしがみつくようです。お互いにくっつき合わないというのは、トリモチの中でお互いにくっつき合う人間を思い浮かべます。

“Once neutrophils sense a site of infection behind a capillary wall, they need to get out of circulation fast. Previously, we knew they initiated that by switching on adhesion molecules to grab onto a vessel in less than a second,”

「いったん好中球が血管壁の向こう側の感染場所を感知すると、彼等はいち早く血行から抜け出る必要があります。既に我々は、好中球が、血管に取り付くために、1秒足らずの間に粘着性分子を活性化することで事に着手している事は知っていました。」

“In our new study we have discovered an unexpected way that these molecules change their shape to do that.”

「新しい研究の中で、我々はこれらの分子が、その事を達成するために、形を変えるという予想外のやり方を発見したのです。」

インテグリン

Many researchers thought that integrin receptors protruding from neutrophils became adherent via a “switchblade” mechanism. In it, resting integrins on neutrophils moving through the blood remain bent and minimally sticky until cells rolled over a region of infection. There, integrins underwent two sequential shape changes–step one always preceding step two–such that the bent head of the protein sprung open rapidly, exposing a hidden adhesive patch that glommed onto a protein in the vessel wall called ICAM-1.

「多くの研究者は、好中球から突き出ているインテグリン受容体が、飛び出しナイフメカニズムによって粘着性になると考えていました。受容体の中で、血液内を移動している好中球上で休眠状態のインテグリンは、細胞が炎症部位で回転するまで、曲がったままで最低限の粘着性のままです。そこでインテグリンは、第一段階が常に第二段階に先行する、タンパク質の湾曲した頭が急激に勢いよく飛び出し、ICAM-1(細胞接着分子-1)と呼ばれる血管壁内にあるタンパク質を入手する隠れた接着パッチを露呈する、2段階変形を経験しました。」

タンパク質の頭部が飛び出しナイフのように飛び出して、接着パッチを露呈するようです。

The new study reveals the knife to be more complex. Combining high resolution microscopy called quantitative dynamic footprinting with methods to track human neutrophils rolling across an artificial surface coated with ICAM-1 and other signaling factors, Ley’s team observed that some neutrophil clusters did in fact exhibit integrins undergoing the conventional two-step activation mechanism.

「新しい研究はそのナイフがもっと複雑な事を明かしています。定量動的フットプリンティングと呼ばれる高分解能顕微鏡と ICAM-1と他の信号伝達因子でコーティングされている、人工表面を転がっているヒト好中球を追跡するための方法を組み合わせることで、Leyのチームは一部の好中球集団が、従来式の2段階活性化機構を経験する事で、インテグリンを実際に発現していることを観測しました。」

In other clusters, however, integrins assumed an unorthodox shape, one that exposed the high affinity patch but managed to hold the receptor in a bent conformation, as if step two had occurred prior to step one. Time-lapse analysis revealed that either cluster type eventually gave rise to fully activated, adherent integrins (with their blade fully sprung). There simply seemed to be two ways to spring it.

「しかし、他の集団では、インテグリンは、高親和性パッチは露呈しているのに、あたかも第2変形が第1変形に先行して起きたかのように、屈曲構造(湾曲構造)中に受容体を保持し続けている物があり、通常とは違った形状をとっていました。経時的解析が、どちらの集団タイプでも、最終的に、完全に活性化された粘着性インテグリン(それらの刃が完全に飛び出した)を生じさせる事を明らかにしました。ただ単純に、ナイフを飛び出させるための2通りの手段が存在しているように見受けられます。」

ナイフの刃が飛び出す2通りのメカニズムが存在している事を明らかにしたみたいです。

Cis-trans interactions

The study’s blockbuster finding revealed what that mysterious sticky patch was doing in peculiar clusters of bent integrins. Discovering this required a different technique called FRET, often applied to measure distances between two molecules at nanometer resolution.

「その研究のブロックバスターな発見は、その不可解な粘着性のパッチが、特有の集団の湾曲インテグリンの中でやっている事を明らかにしたことです。これを発見するには、ナノメートル分解能で2分子間の距離を測るために、頻繁に使用されている、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)と呼ばれる別のテクニックが必要でした。」

That approach revealed that sticky patches in bent integrins were actually touching and binding to adjacent ICAM-1 proteins embedded in membrane of the very same cell, an interaction biologists call in cis. That contact locked the integrin receptor into off-mode, preventing it from binding to ICAM-1 expressed “across the way” on blood vessel cells, intercellular interactions biologists describe as in trans.

「そのアプローチは、屈曲(休眠状態の)インテグリン中の粘着性パッチが、生物学者が、in cisと呼ぶ相互作用である、全く同じ細胞の皮膜内に埋まっている隣接したICAM-1タンパク質に、実際に接していて結合している事を明らかにしました。その接触は、インテグリン受容体をオフモードに固定して、生物学者がin transとして表現している細胞間相互作用である、血管細胞の反対側に発現するICAM-1と結合するのを防いでいます。」

in cis, in transと呼ばれる相互作用について少し調べてみました。

Cis-trans interactions of cell surface receptors: biological roles and structural basis

Cell surface receptors bind ligands expressed on other cells (in trans) in order to communicate with neighboring cells. However, an increasing number of cell surface receptors are found to also interact with ligands expressed on the same cell (in cis).

「細胞表面受容体は、隣接する細胞と交信するために、別の細胞(in trans)上に発現するリガンドを結合します。しかし、同じ細胞(in cis)上に発現するリガンドを使って、同様に情報のやり取りをしている、ますます多くの細胞表面受容体が見つかっています。」

同じ細胞上に発現するリガンドとの相互作用がin cisで、別の細胞上に発現するリガンドとの相互作用がin transということのようですが、はっきりした事はよく分かりません。

Or, as new textbooks may say: High affinity in cis binding of neutrophil integrins to adjacent ICAM-1 molecules in the same membrane serves as an auto-inhibitory mechanism to block integrin engagement in trans with ICAM-1 expressed on cells in vessel walls, inhibiting adhesion and blocking an inflammatory response.

「あるいは、新しいテキストが、同じ細胞膜中に隣接するICAM-1分子と好中球インテグリンのin cis結合の高親和性が、血管壁中の細胞上に発現するICAM-1とin transインテグリン関与を阻害するための自己抑制メカニズムとしての役目を果たしていて、粘着を阻害して炎症反応をブロックしています、と書くかもしれません。」

同じ細胞上に発現するICAM-1とインテグリンがin cis結合して、その結合の高親和性が、血管壁細胞に発現するICAM-1と好中球インテグリンがin trans結合するのを防いでいて、その結果として、粘着性が阻害されて炎症反応を抑え込むことが可能なようです。

The discovery that integrins restrain themselves like this has profound consequences for inflammatory disease. Monoclonal antibodies developed to specifically block interactions of neutrophil integrins with vessel wall proteins are already approved to treat coronary artery disease, autoimmune inflammatory bowel disease and multiple sclerosis.

「インテグリンがこのように自らを抑制する発見は、炎症性疾患に対して、大変意味深い結果をもたらします。特に血管壁タンパク質と好中球インテグリンの相互作用を阻害するために開発されたモノクローナル抗体は、既に冠動脈疾患、自己免疫性炎症性大腸炎、多発性硬化症を治療するために認可されています。」

好中球インテグリンの自己抑制メカニズムをキープしてin trans結合を阻害することで、炎症を抑制する薬や、逆にこの自己制御モードをオフにする事で、好中球を戦闘モードにする事も可能になるそうです。かなり画期的な発見であることは確かなようです。健康を守る免疫系細胞が健康を害したり、人間の体というのは本当に不思議なもんです。

スポンサーリンク

フォローする