電気をほぼ光速で導電可能な新奇の2次元量子材料!

カリフォルニア大学アーバイン校と他の研究機関の物理学者達が、次世代の量子コンピュータや最先端エレクトロニクスの構築部品になる画期的な電気・磁気属性を持った、新しい2次元量子材料を作り出しています。今月、NatureScience Advances、Nature Materials誌にそれぞれ掲載された3つの研究の中で、UCI研究者と、UCバークレー校、ローレンス・バークレー国立研究所、プリンストン大学、復旦大学、メリーランド大学の同僚達は、新材料の2次元状態の背後にある物理学を探求し、コンピュータの速度と性能を引き出す事を可能にしています。

ディラック粒子/マヨラナ粒子

UCI physicists design 2-D materials that conduct electricity at almost the speed of light

The common threads running through the papers are that the research is conducted at extremely cold temperatures and that the signal carriers in all three studies are not electrons – as with traditional silicon-based technologies – but Dirac or Majorana fermions, particles without mass that move at nearly the speed of light.

3つの論文に共通するテーマは、研究が極低温で行われ、全ての研究で使われたシグナルキャリアが、従来型のシリコンベーステクノロジーのような電子ではなく、ほぼ光速で移動可能な質量ゼロのディラック粒子(マヨラナ粒子)という事です。

“Finally, we can take exotic, high-end theories in physics and make something useful,” said UCI associate professor of physics & astronomy Jing Xia, a corresponding author on two of the studies. “We’re exploring the possibility of making topological quantum computers [currently theoretical] for the next 100 years.”

”我々は、遂に、エキゾチックで物理学の至高理論を利用して、何か実用的なものを作れるようになりました。”と、2つの研究の責任著者で、UCI物理・天文学の准教授ジン・シァ氏は言いました。”我々は、トポロジカル量子コンピューター(現在のところ理論的でしかない)を、この先100年間で作り出せる可能性を色々調べています。”

サニャク干渉計顕微鏡

One of the key challenges of such research is handling and analyzing miniscule material samples, just two atoms thick, several microns long and a few microns across. Xia’s lab at UCI is equipped with a fiber-optic Sagnac interferometer microscope that he built. (The only other one in existence is at Stanford University, assembled by Xia when he was a graduate student there.) Calling it the most sensitive magnetic microscope in the world, Xia compares it to a telescope that an ornithologist in Irvine could use to inspect the eye of a bird in New York.

こういった研究の鍵となる課題の1つが、たったの2原子厚の長さ数ミクロン、幅2~3ミクロンしかない微小な材料サンプルの取り扱いと分析です。UCIのシャー氏のラボは、彼が独自に構築した、光ファイバーサニャク干渉計顕微鏡を備えています(現存するもう1つはスタンフォード大学にあり、彼が大学院生の時にそこで構築しています)。それは、世界で最も感度が高い磁気顕微鏡であると言い、シャー氏は、それを、アーバインの鳥類学者達が、ニューヨークにいるトリの眼を検査するのに使っているテレスコープ(望遠鏡)と比較しています。

”この機械は、この種の発見にとっては理想的な計測ツールです。”と、2つの論文の筆頭著者でUCI院生のアレックス・スターン氏は言いました。”その顕微鏡法は、今回新たに開発された物質の磁性を、光学的に測定する最も正確なやり方です。”

In a study to be published April 24 in Nature, the researchers detail their observation – via the Sagnac interferometer – of magnetism in a microscopic flake of chromium germanium telluride. The compound, which they created, was viewed at minus 387 degrees Fahrenheit. CGT is a cousin of graphene, a superthin atomic carbon film. Since its discovery, graphene has been considered a potential replacement for silicon in next-generation computers and other devices because of the speed at which electronic signals skitter across its almost perfectly flat surface.

4月24日のネイチャー誌に掲載された研究の中で、研究者達は、サニャク干渉計を使って実施された、テルル化クロミウム・ゲルマニウム微小フレークの磁力に関する彼らの観測の詳細について説明しています。彼らが作ったその化合物は、華氏-387度で観察されました。CGTは、極薄原子状炭素膜のグラフェンの従兄弟です。グラフェンは発見以来、その高電気伝導特性がシリコンの代替として次世代コンピュータや他のデバイスへの利用が期待されています。

エキゾチックな超伝導体

His lab also used the Sagnac interferometer for a study published in Science Advances examining what happens at the precise moment bismuth and nickel are brought into contact with one another – again at a very low temperature (in this case, minus 452 degrees Fahrenheit). Xia said his team found at the interface between the two metals “an exotic superconductor that breaks time-reversal symmetry.”

また、彼の研究室は、Science Advancesに掲載された、ビスマスとニッケルがお互いに接触した時の、まさにその瞬間に一体何が起こっているのかを調べる研究の中でも、サニャク干渉計を使っています。この研究も極低温(華氏-452度)で行われています。彼のチームは、2金属間の界面で時間反転対称性を破るエキゾチックな超伝導体を発見しています。

”時計を戻したら紅茶が緑茶に変わる事を想像して下さい。その事が、この紅茶を非常にエキゾチックにしていませんか?”と彼は語った。”それが今回2次元材で初めて観測されました。”

The signal carriers in this 2-D superconductor are Majorana fermions, which could be used for a braiding operation that theorists believe is vital to quantum computing.

この2次元超伝導体の信号キャリアは、理論物理学者達によって、量子計算にとって必須だと考えられている、ブレードオペレーションで使用可能なマヨラナ粒子です。

”現在の課題は、この事を常温で実現する事にあります。”と、シャー氏は言いました。三番目の研究が、そのハードルを乗り越えるのに使えることが示されています。

位相絶縁体/六ホウ化サマリウム

In 2012, Xia’s lab delivered to the Defense Advanced Research Projects Agency a radio-frequency oscillator built around samarium hexaboride. The substance is an insulator on the inside but allows signal-carrying current made of Dirac fermions to flow freely on its 2-D surface.

2012年、シァ氏のラボは、国防総省国防高等研究事業局に、六ホウ化サマリウム周囲に構築されたラジオ周波数発振器を納品しています。その物質は内部が絶縁体ですが、その2次元表面上では、ディラック粒子製の信号伝達電流が自由に流れることを可能にしています。

シャー氏のラボで作られた世界に2つしか存在しないうちの1つの特殊な装置を使って、UCIの研究者達は、六ホウ化サマリウムの試料に引っ張り歪を印加して、それらが、華氏-27度で2次元表面状態を安定できる事を、Nature Materials誌の研究の中で実証しました。

”とても信じられないような話ですが、その温度は、カナダの一部の地域よりも暖かい温度でもあります。”と、シャー氏は言いました。”この研究が、ほぼ室温で動作可能な次世代量子コンピューター開発に向けた大きな第一歩になっています。”

トポロジカル絶縁体のポテンシャルは非常に高く、マヨラナフェルミオンを利用した量子計算機が、今後100年のうちに開発されれば、人類の未来を大きく変えると言われています。マイクロソフトが巨費を投じて、現在このマヨラナ粒子を使ったトポロジカル量子コンピューターを鋭意開発中なので、上手く行けば、今世紀中に完成するかもしれません。量子コンピュータだけではなく、常温でこの現象(電気を光速で伝導する)を実現できれば、普通のコンピュータに対してもこの技術が応用できるので、パソコンの超高速化が可能になるかもしれません。