カルト的大ヒットを記録したTwin Peaks(ツイン・ピークス)の新シーズン(シーズン3)がいつの間にか始まっていました。なんと25年ぶりの新作らしいので、知った時は「まじかよ!」と叫んでしまいました。1992年に公開された、Twin Peaks: Fire Walk with Meが、ツイン・ピークスの最後の締めだったわけですが、あまり評価されなかった映画になっています。日本での新シーズンは、7月22日よりWOWOWプライムで放送開始されるとの事です。
ツイン・ピークスの話は置いておくとして、アメリカには、日本で放送されていない(放送されたかもしれない)数々の名作(迷作)が存在しています。かなり良作のテレビ番組もあり、これは絶対に日本で放送した方がいいだろうと個人的に思える作品を紹介したいと思います。
Married with Children
マリード・ウィズ・チルドレンは、フレンズやサインフェルド、フルハウスといった日本でも馴染み深いsitcom(シットコム、situation comedy)型番組で、個人的には、今まで見た中で最も秀逸なシットコムだと思っています。夫婦子供2人の4人に犬一匹という家族構成で、靴屋の店員の親父(アル・バンディ)は、高校時代はアメフト部の伝説的クォーターバックで、何かことがある度に、”I scored 4 touchdowns in one game for polk high.” (オレはポークハイ時代に1試合に4度のタッチダウンを決めた)と過去の栄光にどっぷり浸かります。妻の専業主婦のペギーは、ボンボン食べながら一日中テレビ(特にオプラが好き)を見るのが趣味で、家事を一切せず、非常に金遣いの荒い浪費家です。長男のバドと長女のケリーは、大人になっても親と同居を続ける、いわゆるadult children(成人した子供達)で、犬の名前はbuck(バック)です。
ニッキー・コックスが出ているUnhappily Ever Afterという、この番組に非常に良く似たパクリ番組(犬の代わりにMr. Floppyという喋るぬいぐるみが出て来る)がありましたが、そっちの方は日本では全く知られていません。ちなみに喋るぬいぐるみは、主人公の親父にしかその声が聞こえないという、かなりサイコチック(サイコダッド的)な番組になっています。
Three’s Company
スリーズ・カンパニーは、今は亡き名優ジョン・リッター扮するジャック・トリッパー(ジャック・ザ・リッパーではない)と、カリスマ女優のスザンヌ・サマーズと、もう1人の女性ルームメイト達の3人が繰り広げるドタバタ人情ドラマ(シットコム)です。1976年~1984年に放送されたかなり古い番組で、日本でも非常に馴染み深いLittle House on the Prairie(大草原の小さな家)が放送されていた時期1974年~1983年とかぶります。しかし、意外と古さを感じさせないコメディドラマに仕上がっていて、主役のジャックの体当たりの演技が、当時はかなり話題になっていたようで、リッター氏の出世作でもある事から、氏の意気込みが感じられます。
family law
ファミリー・ローは、アメリカでお馴染みの法廷ドラマで、この番組は、家庭の問題に焦点を当てています。Who’s the Boss?(ボスは私よ)に出ていたトニー・ダンザのシリアスな演技が傑出しています。ジュディス・ライトのWho’s the Boss?も非常に面白い番組で、アリッサ・ミラノ(Charmed、チャームド〜魔女3姉妹〜)が子役で出ているので、ファンには貴重な作品みたいです。ファミリー・ローの方は、人間ドラマが凄く、ビッグコミックオリジナルで連載されていた人間交差点という社会的な問題を多く扱う特異な漫画がありましたが、そういったドロドロした人間の醜さのようなものが、画面からプンプン漂ってきます。暗い番組と言えばそれまでですが、人間とは何かということをかなり考えさせられる番組と言えます。
Once and Again
ミーシャ・バートンとエヴァン・レイチェル・ウッドの問題シーンが、当時アメリカでもかなりの物議を醸し出していましたが、この非常に秀作なドラマは、残念ながら、途中でキャンセルされてはしまったのですが、今まで見たアメリカのドラマの中でも10本指に入る屈指の出来に仕上がっています。主役のセラ・ワードがかなりいい味を出していて、その弟役のパトリック・デンプシー、妹役のマリン・ヒンクルが脇をしっかりと固めています。このドラマを見ていて懐かしかったのが、かつてThe Fly II(ハエ男2)に出ていたエリック・ストルツが教師役で出ていたことです。特筆すべきは、スティーヴン・ウェバーが出演していることでしょう。
このドラマはABCで放送されていたのですが、同じ時期にFOXでNow and Againというややこしいタイトルのドラマが放送されていたので、ゴッチャになっていた時期もありました。
Providence
プロビデンスは、主役のメリーナ・カナカレデスが医師で、その父親のマイク・ファレルが獣医役で出ています。人情家の医師と、同じく非常に人情に厚い獣医が織りなす心温まる人間ドラマが売りで、非常によく出来たドラマです。動物も多く出てくるので、日本人にも受ける内容になっているのではないでしょうか。主役のメリーナ・カナカレデスは、プロビデンスが放送される前年(1998年)にSaint Maybeという、ホールマーク・ホール・オブ・フェイムのTV映画に出ていて、非常にいい役者だなぁと思っていた矢先だったので、個人的にもかなり思い入れのある作品になっています。飼い犬のFearless(フィアレス)の名前も印象的でした。
かつての米三大アイドル達の作品
ホールマーク・ホール・オブ・フェイムのThe Lost Valentineという作品も感動します。何と言っても、ジェニファー・ラブ・ヒューイットが珍しく好演しているから泣けます。彼女の代表作と言えば、Party of five(サンフランシスコの空の下)ですが、ヒロインのネーブ・キャンベルよりも人気があった事は言うまでもありません。キャンベルもスクリームシリーズで人気を博していましたが、ヒューイットもI Know What You Did Last Summer(ラストサマー)で人気を博していました。ちなみに、ロザンナ・アークエット主演のI Know What You Didというテレビ映画が1998年に放送されたのですが、こっちの方はそれ程話題になっていません。
話は逸れますが、当時、Buffy the Vampire Slayer(バフィー ~恋する十字架~)のサラ・ミッシェル・ゲラー、Sabrina, the Teenage Witch(サブリナ)のメリッサ・ジョーン・ハート、そしてジェニファー・ラブ・ヒューイットは、アメリカの三大アイドルと言われていました。一番衝撃的だったのは、その三大アイドルの1人だったメリッサ・ジョーン・ハートが、ダイエットCMに出ていたことで、Clarissa Explains It All(クラリッサ)の頃からのファンだった自分にとっては、その衝撃は計り知れないものがありました。
サンフランシスコの空の下と言えば、レイシー・シャベールが大化けしたのは意外でした。このドラマの登場人物で一番印象的だったのは、長男役のマシュー・フォックスで、彼が初めてサタデー・ナイト・ライブに出演した時、共演者のネーブ・キャンベルとスコット・ウルフが同番組に1997年と1998年に出演した折、次は当然俺だろうとオファーを待ち続けていたらしいのですが、待っている間に番組が終了してしまい、もう永久に出演することはないだろうと思っていたという話です。ところが、主演のロストの奇跡的な大ヒットにより、2006年に遂に念願の初出演を果たした時に、このことをしみじみと語っていたのが非常に印象的でした。
Boston Legal
ボストンリーガルは、The Practice(ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル)のスピンオフとして始まった法廷ドラマで、どちらも天才脚本家デビッド・E・ケリー(キャリスタ・フロックハート主演のAlly McBeal、アリーmy Loveが有名)の作品です。彼の妻がミシェル・ファイファーなのは有名で、面白いのは、キャリスタ・フロックハートの夫が、ハリソン・フォードだということです。ミシェル・ファイファーと言えば、A Midsummer Night’s Dream(夏の夜の夢)で、キャリスタ・フロックハートと共演しています。ミシェル・ファイファーで超意外な事実は、The Simpsons(ザ・シンプソンズ)に声優で出演(The Last Temptation of Homer)していて、このタイトルはマーティン・スコセッシ監督のThe Last Temptation of Christ(最後の誘惑)をパロったものだと思われますが、その話の中で、ホーマーを心底悩ます魅力的な同僚の役(Mindy Simmons)を見事に演じています。映画、デンジャラス・マインド/卒業の日までも評価こそ低いですが、彼女が熱血教師役を好演しているので、一見の価値はあります。
ボストン・リーガルの方は、主役のジェームズ・スペイダーの演技に見応えがあり、番組の後半の方では、プラクティスのメンバーも出てくるので面白い展開になっています。ベティ・ホワイトやウィリアム・シャトナーのベテラン俳優が非常にいい味を出しています。ボストン・リーガルのベースになっているザ・プラクティスには、スティーブン・スピルバーグ監督の継娘(stepdaughter)に当たるジェシカ・キャプショー、ツイン・ピークスでドナ・ヘイワード役を演じていたララ・フリン・ボイルが出演しています。ララは、映画、ローラパーマー最期の7日間のオファーを断り、ボイルの代わりにモイラ・ケリーがドナ役を演じています。
7th Heaven
主役のエリック・キャムデン役のスティーヴン・コリンズが不祥事をやらかしたので、放送されることは永久にないでしょうが、この番組は、キリスト教の宗教色が非常に濃く、訓話的なエピーソードが非常に多く(特にシリーズ前半)、道徳教育にも成り得ますが、ジェシカ・ビールとビヴァリー・ミッチェルが演じるキャムデン姉妹が、とても牧師の娘とは思えないキャピキャピっぷり全開なので、うざ過ぎるといったクレームもあったらしいです。この番組には数多くの有名スターが出演していて、例えば、長野オリンピックフィギアスケート女子シングル金メダリストのタラ・リピンスキー、Sawシリーズでホフマン役を演じたコスタス・マンディロア、ジェシカ・シンプソンの実妹アシュリー・シンプソン(メチャクチャ可愛い)、フルハウスやふたりはふたご(Two of a Kind)のオルセン姉妹(アシュレー・オルセン、メアリー=ケイト・オルセン)、当時人気絶頂だったイン・シンクのランス・バス、そのほかにも、ヘイリー・ダフ、ケイティ・キャシディ、ミラ・クニス、レイトン・ミースター、ジェーン・リンチ、アシュレイ・ティスデイル、ガブリエル・ユニオン、ケイリー・クオコ、ブレンダ・ソング、タイラー・ホークリン、ケイ・パナベイカー、アーロン・カーターなどが出演しています。
その他の傑作テレビ番組
Everybody Loves Raymond(HEY!レイモンド)はサインフェルドに勝るとも劣らない傑作シットコムであると言えます。レイの妻役のパトリシア・ヒートンが素晴らしいです。ショッキングだったのが、レイの弟役だったブラッド・ギャレットが、Law & Order SVUで、アンディ・カール演じるマイク・ドッズ警視正を殉職させてしまった事でした。本当にとんでもない事をしてくれたもんです。Millennium(ミレニアム)やThe X-Files(X-ファイル)のようなFBIドラマのProfiler(プロファイラー/犯罪心理分析官)は、主役のFBI心理分析官サマンサ“サム”・ウォーターズ役のアリー・ウォーカーが非常に魅力的なので、一見の価値は十二分にあります。この時期にこういったFBI関連のドラマが量産されたのは、ジョディ・フォスター主演の羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs)の影響がかなり大きいことは言うまでもないでしょう。
ツイスターで有名なヘレン・ハントが出ていたMad About You(あなたにムチュー)に似た感じのシットコム、The King of Queensも結構面白いです。当時CBSで、HEY!レイモンドの前にやっていたので、たまに主役のダグとレイが会話するシーンがあります。他に面白い作品としては、前出のケイリー・クオコが出ているBig Bang Theory(ビッグバン☆セオリー ギークなボクらの恋愛法則)、ジュリア・ルイス=ドレイファス主演のVeep/ヴィープ、ケルシー・グラマー主演のFrasier(そりゃないぜ!? フレイジャー)、Malcolm in the Middle(天才少年マルコム奮闘記)の父親役のブライアン・クランストン主演のブレイキング・バッド、デクスターでモーガン役のマイケル・C・ホールが出ているシックス・フィート・アンダー、ティム・アレン主演のHome Improvement、日本でもお馴染みのニール・パトリック・ハリスが出ているHow I Met Your Mother(ママと恋に落ちるまで)、フェリシティ・ハフマンとテリー・ハッチャーのDesperate Housewives(デスパレートな妻たち)、となりのサインフェルドのジョージ・コスタンザ(ジェイソン・アレクサンダー)のモデルになっている、ラリー・デヴィッドのcurb your enthusiasm(ラリーのミッドライフ☆クライシス)、THE WIRE/ザ・ワイヤー、マッドメンなどがあります。この他にも色々ありますが、限がないのでこの辺にしておきます。
ふたりは友達? ウィル&グレイス、コーキーとともに、ハウス・オブ・カード、グッド・ワイフ、ギルモア・ガールズ、24 -TWENTY FOUR -、ナイトライダー、ベイウォッチ、ワンダーウーマン、名犬ラッシー、奥様は魔女、かわいい魔女ジニー、30 ROCK/サーティー・ロック、Moonlighting(こちらブルームーン探偵社)、CSI:科学捜査班、天才少年ドギー・ハウザー、スピン・シティ、プリズンブレイク、ウォーキング・デッド、ゲーム・オブ・スローンズ、ザ・ソプラノズ、OZ/オズ、ER緊急救命室等、超有名な番組やある程度名前が知れた番組ばかりではなく、日本であまり知られていない番組にもかなり良質で見応えのある作品が多いので、こういった隠れた名作があることを知っておいても損はないかと思います。