galectin-3(ガレクチン-3)は、一度に複数の仕事をこなす事ができる、マルチタスクな蛋白質と言われていて、今回新たに意外な特質が発見されたようです。ガレクチン-3はいくつかのがんと密接な関係があるらしく、これらの癌のバイオマーカーとして、その将来性がかなり期待されているようです。
今週、Biochemistry誌に発表されたミシガン工科大学による新しい研究が、糖質探求たんぱく質のガレクチン-3と、glycosaminoglycans(グリコサミノグリカン)とproteoglycans(プロテオグリカン)との相互作用を徹底的に調査したようです。
タンパク質化学
Multitasking proteins: Unexpected properties of galectin-3
These sugar-loving proteins drive many biological processes in our bodies, from directing white blood cells to infected tissues to serving as biomarkers in cancer assays. For decades, researchers have assumed that two groups of these sugar-seeking proteins–lectins and GAGBPs (GAG binding proteins)–lived similar, but notably separate lives.
「これらの糖質大好きタンパク質は、感染した組織へ白血球を導くことから、がん分析でバイオマーカーとして役目を務めるまで、我々の体で多くの生物学的プロセスを推進してくれています。数十年間、研究者は、これら糖質探求タンパク質の2グループ、レクチンとグリコサミノグリカン結合タンパク質は、似てはいますが、目立って離れた生活を送っていました。」
“Some proteins are multitaskers, most notably galectin-3, and our bodies’ biochemical pathways do not play out in simple, linear processes,”
「いくつかのプロテインはマルチタスカーで、最も顕著なのがガレクチン-3で、我々の体の生化学的な経路は、単純で直線のプロセスでは終わりません。」
Dam and his team started out with a conventional method called a hemagglutination inhibition assay to determine if galectin-3 recognized GAGs and proteoglycans. Then they used a technique called isothermal titration calorimetry to precisely observe the carbohydrate-binding properties of galectin-3, which verified that the lectin and GAGs could interact.
「ダムと彼のチームは、ガレクチン-3がGAGs(複合グリコサミノグリカン)とプロテオグリカンを認識するかどうかを確認するために血球凝集抑制試験と呼ばれる従来の方法を用いて研究に着手しました。その後、彼等は、レクチンとGAGsが相互に作用するということもあり得るという事を立証した、ガレクチン-3の炭水化物結合を正確に観察するために、等温滴定熱量計と呼ばれるテクニックを使用しました。」
拡大結合パートナー
Dam says his lab’s work in outlining this unexpected protein interaction is just the beginning and suggests that the known biological processes involving GAGs, proteoglycans and galectin-3 may not be as straightforward as they appear. Now that glycobiologists know that galectin-3 and GAGs can interact, the entire community will need to figure what that means for the many biochemical reactions driven by these sugar-loving proteins and their binding partners.
「ダムは、この予想外のタンパク質相互関係をアウトライン化している彼のラボワークは、ただの始まりで、GAGs、プロテオグリカン、ガレクチン-3が関与する既知の生物過程は、それらが思われているほど単純ではないのかもしれないことを示唆していると言っています。今はグリコバイオロジスト(糖鎖生物学者)が、ガレクチン-3とGAGsが互いに影響し合う事が可能なのを知っているので、全コミュニティーがこれら糖質愛好たんぱく質とそれらの結合パートナーによって促進されている多くの生化学反応にとって何を意味するのかを考える必要があります。」
がん治療への利用
One example is cancer treatments. GAGs are well known for their role in controlling growth factor proteins, which tend to run rampant as cancerous tumors grow. GAGs and proteoglycans are also involved in metastasizing cancer cells that spread and sprout by traveling and breaking out of the bloodstream. Galectin-3 could be interfering with this process or even amplifying it. It could also be affecting pharmaceuticals that target GAGBPs.
「1つの例ががん治療です。GAGsは、癌腫瘍が成長するにつれ激増する、増殖因子たんぱく質の抑制における、それらの役割でよく知られています。グリコサミノグリカン類とプロテオグリカン類は、また、移動して血流から抜け出すことで、あちこちで増殖する癌細胞の転移に関与しています。ガレクチン-3は、このプロセスを妨害できるかもしれないし、あるいは、増幅することさえできるかもしれないのです。また、ガレクチン-3は、グリコサミノグリカン結合タンパク質をターゲットにする医薬品にも影響を与える事もあり得ます。」
レクチンとガレクチン-3が、グリコサミノグリカン類とプロテオグリカン類と相互に作用することが出来ることが今回の新発見のようです。この発見が将来的に、がん治療に役立つかもしれないので、今後のさらなる研究に期待が持てるのではないでしょうか。この発見は相当予想外で、驚きだったようです。それだけ凄い発見なのかもしれません。
Dam says, adding that he and his lab were still surprised to observe a lectin, galectin-3, interacting with proteoglycans and GAGs. “We triple-checked and quadruple-checked this data, and we found consistency in experiment after experiment.”
「ダムは、彼と彼の研究室が、レクチン、ガレクチン-3が、プロテオグリカン類とグリコサミノグリカン類と相互に作用することに未だに驚いていることに加えて、”我々は3重にも4重にもこのデータをチェックしていて、実験に次ぐ実験で整合性を検出しました。”と語る。」
今回の新事実が将来的に、がん、免疫不全、神経発達、炎症のための、もっと繊細な治療法を確立できるかもしれない可能性を秘めているそうです。健康維持のための、新たな道が模索されることは誰にとっても好ましい事です。