試験勉強:寝不足が何故記憶力を低下させるのか?

受験生だった頃、眠い目を擦りつつ、眠気覚ましのコーヒーをガブ飲みしながら、受験勉強に勤しんでいた頃が思い出されます。しかし、睡眠不足が記憶力を低下させるという事を知らずに育った私は、4当5落6番外地という受験生のための格言を心の底から信じて、睡眠も惜しんで勉強しましたが、結果は散々なものでした。

寝不足で勉強しても物覚えが悪いのは確かで、予備校へ行く電車の中で寝過ごして予備校の授業に遅れたり、模擬試験中に寝てしまった事まであったほどです。自分に能力がなかったから受験に失敗したのですが、勉強の仕方が明らかに間違っていました。勉強の合間に睡眠を取ったり、1日6時間睡眠は確実にとる、これが一番なような気がします。

寝不足で海馬のニューロンが!

How sleep deprivation harms memory

For the first time, a study in mice, to be published in the journal eLife, shows that five hours of sleep deprivation leads to a loss of connectivity between neurons in the hippocampus, a region of the brain associated with learning and memory.

「初めて、eLifeに掲載予定のネズミでの研究で、5時間の睡眠剥奪が、学習と記憶に関係している脳の領域である海馬中のニューロン間の接続の喪失に至ることを明かしています。」

ネズミがたいてい1日何時間寝るのか知らないのですが、仮に1日8時間睡眠のところを3時間に減らされたら、かなりきついと思います。そこのところは、人間とそんなに変わらないような気がします。普通の人間が1日5時間も睡眠を剥奪されたら、生きる気力を失くします。

寝不足と海馬の関係

“It’s clear that sleep plays an important role in memory – we know that taking naps helps us retain important memories. But how sleep deprivation impairs hippocampal function and memory is less obvious,”

「睡眠が記憶に重要な役割を果たしている事は明らかです。我々は昼寝をする事が大切な記憶を維持するのを知っています。しかし、睡眠遮断がどのようにして海馬機能と記憶を悪くするのかはあまり明らかではありません。」

睡眠不足だと、頭痛や眼の痛み、欠伸しまくり、激しい眠気や突然の睡魔、倦怠感、やる気喪失など、ありとあらゆる弊害が引き起こされます。酷い時になると、とにかく眠すぎて、何もかもどうでもよくなってしまうほど、精神をやられてしまう事さえあります。

蛋白質コフィリン

The researchers then investigated what was happening during sleep deprivation at the molecular level. “We were curious about whether the structural changes in the hippocampus might be related to increased activity of the protein cofilin, since this can cause shrinkage and loss of dendritic spines,”

「研究者達は、その後、分子レベルで睡眠剥奪の間に一体何が起きているのかを調査する事にしました。”我々は、この事が樹状突起棘(樹状突起スパイン)の減少や損失に関係しているかもしれないので、海馬の構造上の変化が蛋白質コフィリンの活動上昇に関係している可能性があるかどうについて知りたかったのです。”」

研究者達はGolgi silver-staining method(ゴルジ銀染色法)を用いて、睡眠剥奪が、海馬のCA1野のニューロンに属する樹状突起のスパインの長さと密度を著しく減少させることを見つけ出し、僅か3時間の睡眠で5時間の睡眠剥奪から回復可能な事を確認しました。

“Our further studies revealed that the molecular mechanisms underlying the negative effects of sleep loss do in fact target cofilin. Blocking this protein in hippocampal neurons of sleep-deprived mice not only prevented the loss of neuronal connectivity, but also made the memory processes resilient to sleep loss. The sleep-deprived mice learned as well as non-sleep deprived subjects.”

「我々のさらなる研究が、睡眠不足の悪影響の裏に潜んでいる分子メカニズムが実際にコフィリンをターゲットにしている事を明らかにしました。睡眠遮断マウスの海馬のニューロン中のこのタンパク質を阻害する事で、ニューロンの連結の損失を防ぐだけではなく、寝不足に対して記憶プロセスを打たれ強くしています。睡眠剥奪マウスは、睡眠不足になっていないマウスと同じようにうまく学習しました。」

コフィリンを阻害するだけで、睡眠不足でも普通に学習を続けることが可能なようです。海馬中のコフィリン阻害薬とかがあれば、1日3時間睡眠でも効率よく勉強できそうですが、そういう問題ではないので、やはり睡眠と勉強を交互に繰り返すことがいいのかもしれません。健康的にも、睡眠不足は本当に百害あって一利無しです。昔から、世の中に 寝るほど楽は なかりけり 浮世の馬鹿は 起きて働く、という名言があるように、寝るのが一番です。

3時間睡眠を3時間睡眠でカバー

“Despite decades of research, the reasons why sleep loss negatively impacts brain function have remained unknown. Our novel description of a pathway through which sleep deprivation impacts memory consolidation highlights the importance of the neuronal cell network’s ability to adapt to sleep loss. What is perhaps most striking is that these neuronal connections are restored with several hours of recovery sleep. Thus, when subjects have a chance to catch up on much-needed sleep, they are rapidly remodeling their brain.”

「数十年におよぶ研究にもかかわらず、睡眠不足が何故脳機能に悪影響を与えるのかは不明のままでした。我々の今までにない、睡眠不足が記憶の固定に影響を与えている間の経路の説明が、神経細胞ネットワークの寝不足への適応能力の重要性を明らかにしています。たぶん最も特筆すべき事は、これらの接続が数時間の回復睡眠で復活するという事です。従って、被験者が切望している睡眠を取り戻すチャンスを持てば、脳を急速に作り直せます。」

睡眠不足を数時間の睡眠で取り戻せるようです。3時間睡眠を3時間睡眠で取り戻す事が可能だということは、1日最低6時間睡眠が必要だという事になります。3時間睡眠で健康や脳機能を害するよりも、1日最低6時間睡眠を堅持する事で、健康と脳機能を維持することがより賢い生き方だと言えるはずです。心と体の健康のためにも十分な睡眠をとりましょう。