老化防止ホルモンKlotho(クロトー)とⅠ型糖尿病腎症の関係

キングス・カレッジ・ロンドンの研究者達による新たな研究が、早期腎臓病に苦しむ糖尿病患者達が、保護的老化防止ホルモンのクロトー欠乏である事を発見しました。Diabetologia誌に掲載された研究が、クロトーが、糖尿病患者の間で非常に高い有病率である、腎臓病の発症に重要な役割を果たしている可能性がある事を示唆しています。

クロトーとⅠ型糖尿病

‘Anti-aging’ hormone could unlock new treatments for kidney and heart disease

This could mean that Klotho levels have the potential to be used as a risk marker to predict kidney disease, as well as being a target for developing new treatments to prevent kidney disease in patients with type 1 diabetes.

この事は、クロトー濃度が、腎臓病を予測するためのリスクマーカーとして使われる可能性があるだけではなく、Ⅰ型糖尿病患者における腎臓病を予防する新しい治療法を開発するためのターゲットになる可能性があることも同時に意味しています。

クロトーの抗老化作用

Previous work undertaken at King’s has also shown that Klotho protects the vascular system against changes associated with abnormal ageing, such as the thickening of artery walls (atherosclerosis), which characterises age related disorders such as diabetes, heart disease and hypertension.

キングス・カレッジ・ロンドンで実施された過去の研究が、クロートが、糖尿病、心臓病、高血圧症などの加齢に伴う疾患の特徴である動脈壁の肥厚(アテローム性動脈硬化症)等、異常な老化に関連した変化に対して、脈管系を保護している事を同様に明らかにしています。

In this study, scientists tested blood and urine samples from 78 patients with type 1 diabetes of which 33 also showed signs of the early stages of diabetic kidney disease, called microalbuminuria.

今回の研究の中で、科学者達は、78人のⅠ型糖尿病患者の、うち33人が、微量アルブミン尿と呼ばれる早期糖尿病性腎症の兆候を示している、血液と尿サンプルをテストしました。

クロトーと糖尿病性腎症の因果関係

彼等は、微量アルブミン尿を持つ患者達が、微量アルブミン尿無し患者と比べ、循環クロトーホルモン濃度が低くなっている事を見出しました。微量アルブミン尿を発症していない患者のクロトーレベルは、健康的な成人に見られる水準と同じように見受けられました。

本研究の筆頭著者であり、キングス・カレッジ・ロンドン心血管科のジュゼッペ・マルチーズ博士は、クロトーが、Ⅰ型糖尿病患者に見られる腎臓病と関連があることを、初めて明らかにした今回の研究成果が、その腎臓病の新しいマーカーだけではなく、もしかすると、新しい治療法の開発に向けたエキサイティングな一歩をなってくれると言っています。

より多くのⅠ型・Ⅱ型糖尿病患者群を使ったさらなる研究で、研究者達は、腎臓病や心臓病の高い進行リスクを持った患者達を早期発見するために、今回の研究の範囲を拡大することを考えています。彼等は、彼等の研究が、他の科学者達が、このホルモンを健康的な加齢に有益にしている機序だけではなく、クロトー欠乏がどのようにして加齢関連疾患を引き起こしているのかについてのメカニズムを深く理解するのにも役立つはずだと言っています。当該研究者達は、ARK(Ageing Research at King’s)研究イニシアティブの一環として、老化と寿命におけるクロトーの役割に関するさらなる研究を実施しています。

今回の研究の限界には、比較的小さな選択的サンプルサイズと、クロトーと腎臓病発症の因果関係を同定することができない、cross-sectional design(横断的方法)を含んでいます。

今回の研究では、クロトーと腎臓病発症の因果関係は特定不可能みたいですが、何らかの関係がある事は分かったようなので、この抗老化ホルモンが糖尿病性の腎臓病や心臓病に関わっていることを前提にした新しい治療法が確立される可能性がありそうです。