FRBは金融危機時に1日25兆円の資金を銀行に供給していた!

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今週、Fed(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)は、9年間にしてようやく3度目(あるいは、3年間で2度目)となる金利の引き上げ(25 basis points:25ベーシスポイント)を行っています。多くのアメリカ人は、Fedが金融政策を決定するという非常に重大な役割を負っていることは知っていますが、もう1つ、最後の貸し手として、一時的な短期資金を全米の銀行に供給するという、とても重要な機能を果たしていることはあまり知られてはいません。

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1日2210億ドルの貸出

The fed’s bank bailout | EurekAlert! Science News

During the financial crisis from 2007-09, the Fed took drastic steps to ensure that banks had access to liquidity so they could continue lending. It extended the maturity of loans available through its Discount Window from overnight to 90 days and established the Term Auction Facility, which offered similar funding through a series of special auctions. Banks borrowed from these facilities to the tune of a staggering $221 billion per day during the crisis.

2007年~2009年の金融危機の間、Fedは、銀行が貸出を継続できるように、流動性確保を保証するための思い切った措置を講じています。割引窓口を通して利用可能なローンの満期をオーバーナイト(翌日)から90日へ延長したり、一連のスペシャルオークションを介した類似の資金拠出を提供する、Term Auction Facility(TAF:入札型ターム物貸出制度)を設けています。銀行は、危機の間、こういった制度から1日2210億ドル(25兆円)という莫大な額を借りています。

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FRBの形振り構わぬ措置

今回初めて、ワシントン大学セントルイス校の新しい研究が、金融不安時に、Fedが如何にして効果的に銀行を支援したのかを明らかにするために危機時のデータを考察しています。プログラムや銀行規模を問わず、この流動性の注入は、最終的に家庭やビジネスに届く融資を駆り立てる事に成功し、結果として、経済のためになったと研究者は分析の中で見出しています。

“Perhaps contrary to popular beliefs, our research shows that the Fed’s actions were effective in encouraging banks to lend. This suggests that the credit crunch we witnessed could have been a lot worse in the absence of these facilities,” said Jennifer Dlugosz, assistant professor of finance at Olin Business School, and a former economist at the Board of Governors of the Federal Reserve System.

”恐らく、有名な意見に反して、我々の研究は、Fedの行動が、銀行に融資するよう奨励するのに効果的だったことを証明しています。この事が、我々が目の当たりにした信用収縮が、こういった制度がなかった場合、はるかに悪化していたことを示唆しています。”と、オーリンビジネススクール金融学准教授で、連邦準備制度理事会の元経済学者ジェニファ・ドゥウゴシュ氏は言っています。

共著者のアレン・バーガー (サウスカロライナ大学銀行・金融学教授)、ラモント・ブラック氏 (デポール大学金融学助教授)、クリスタ・ボウマン氏(テキサスA&M大学金融学准教授)等とともに、ドゥウゴシュ氏は、Fedの金融危機プログラムに参加した銀行に関するデータを分析しています。これまで、その情報は、支援を受けたことに伴う不名誉に対する懸念から公開されていませんでした。しかし、2010年、ブルームバーグニュースとフォックスビジネスネットワークが、Freedom of Information Act request(情報公開法要望)提訴後に、そのデータは、一般公開されるようになっています。

”データが入手不可能だった理由から、以前は誰もこの疑問を詳細に調べることはできませんでした。”と、ドゥウゴシュ氏は言いました。”個別ローンに関する詳細データが一般公開されたのは、これが史上初です。”

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銀行融資を奨励

彼らの調査の間、ドゥウゴシュ氏と彼女の共著者等は、20%の小規模銀行と62%の大規模銀行に当たる総計2000を越える銀行が、金融危機の間、割引窓口やTAFをある時期に利用していたことを発見しています。流動性へのアクセスは、ほぼ全種類の銀行貸出に進展しました。その一方で、彼らは、銀行が危険な貸出をしていたという証拠は発見してはいません。

”我々は、割引窓口とターム・オークション・ファシリティが、金融危機の間、銀行に貸出を促す手助けをしたかどうかを調査しました。”と、ドゥウゴシュ氏は言いました。”私達は、それが貸出を促進したことを発見しています。Fedから銀行への流動性支援の追加の1ドルが、銀行による追加貸出のほぼ30セント~60セント(規模による)になる事を見出しています。”

”これがうまく機能するかどうかは、その当時は明らかではありませんでした。Fedは、銀行にとって最後の頼みの綱です。私達は、銀行連鎖破綻を防止するのに、それが効果的だったという幾らかの考えは既に持ってはいましたが、本研究論文は、我々に、その事が、銀行に貸出を奨励するのにも役立つ可能性があることも同時に示してくれています。”

非常に潤沢な流動性の確保(金融機関への資金供給)が、金融危機時の連鎖破綻に歯止めをかけたことは知られていましたが、それが同時に、銀行に貸出を奨励していたことはあまり知られてはいません。連邦準備金制度から金融機関への1ドルの貸出が、30セント~60セントへの一般家庭やビジネスへの融資をもたらしたのが、早期の不況脱出につながったようです。それにしても、6割の大規模銀行がこの制度を利用していたというのは、リーマンショック後の金融危機が如何に深刻だったかを如実に物語っています。Fedが後手後手に回っていたら、世界の金融システムは破綻して、今頃は未曾有の世界大恐慌の真っ只中だったかもしれません。

今後も金融危機の折には、世界中の中央銀行が連携して、金融機関の連鎖破綻を防止すると思われるので、世界規模での金融破綻は起き得ないでしょうが、日本に限って言えば、北朝鮮からのミサイル一発で金融崩壊も有り得るので注意が必要なのは言うまでもありません。飛んでくるミサイルの種類や着弾場所、被害状況、その後のアメリカの対応にもよりますが、最悪の場合、核弾頭付きのミサイルが首都着弾という想定も必要かもしれません。

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