もし、ウクライナ軍が、ハリコフ南東部のクピャンスクを攻略して、ヴァルイキ-クピャンスク補給路を遮断できれば、イジュームに展開する3万人のロシア軍を孤立させることができます。ロシア軍がイジュームで敗北すれば、ドンバスのロシア軍が総崩れする可能性さえあるので、ヴァルイキ-クピャンスク補給路確保はロシア軍の喫緊の至上命題になっています。
ヴァルイキ-クピャンスク輸送路死守
ベルゴロド-ハリコフ-イジュームラインを輸送路にするのが、ロシア軍にとってベストな選択なのですが、ハリコフを攻略できない状態でイジュームに大軍を展開させてしまったため、ヴァルイキ-クピャンスクラインを遮断されてしまった場合、イジュームのロシア軍の運命は風前の灯火となってしまいます。そういった危機的状況にもかかわらず、ロシア軍は、イジューム南部の宇軍防衛ラインをなかなか突破できず、その一方で、ハリコフ周辺から徐々に駆逐されつつあるという、最悪の状況に追い込まれてしまっています。本来であれば、ドンバス包囲作戦を一旦中止して、イジュームのロシア軍をクピャンスクまで撤退させる必要があるのですが、露軍司令部は、現在の危機的状況を把握できていないように思われます。ハリコフを攻略できない時点で、今回の作戦には無理があったとしか言えません。宇軍はヘルソンでも反抗を開始しているので、露軍が東部戦線にこれ以上兵を集中させるのは難しくなっています。
時間はウクライナ軍の味方
時間が経てば経つほど、宇軍には西側から莫大な量の武器・弾薬・補給物資が送られてきますが、ロシア軍はどんどん武器・弾薬・補給物資を失っていきます。さらに、西側の経済制裁でロシア経済はどんどん衰退していっています。西側から電子機器、精密光学機器、半導体等の部品を輸入できなくなり、破損兵器の修理さえ覚束ない状態だと伝えられているので、戦争継続が難しくなるのは時間の問題です。なので、短期決戦を目指さなければならない焦りが、補給路もまともに確保できないような、こんな杜撰かつ無謀な作戦に走らせてしまったのかもしれません。ロシアは中国からこういった部品を輸入したかったのですが、西側の脅しにビビって腰が引けてしまった中国が、ロシアに戦争協力できないのが完全に仇になってしまっています。今の中国は、第二次大戦中のヘタリア並の屁垂れに成り下がっています。とは言っても、中国も西側経済圏からハブられれば、ロシアのように経済的困窮に追い込まれることは必至なので、経済制裁を恐れてロシアに戦争協力しないという選択は、ある意味で正しい選択であるとも言えます。中国が、ロシア軍のウクライナでの惨状から学び取るものがあるとすれば、それは、戦争は破壊と憎しみしか生み出さないということで、国家が永続的に繁栄し続けるには、国際協調の維持しかないということです。
参考サイト
White House warns of ‘consequences’ if China provides material support to Russia
Ukrainian counterattacks slowing Russian offensive in east
Ukraine update: It’s groundhog day, as Russia learned no lessons from its Kyiv failures