西側は、プーチン氏の野望をウクライナで打ち砕くという名目で、形振り構わず全力でウクライナを支援しています。ゼレンスキー大統領も、この戦いはウクライナのためだけではなく、バルト三国、ジョージア、モルドバといった、プーチン氏が次に狙うだろうと思われる国々のための戦いであると言っています。西側の首脳とゼレンスキー大統領は、この戦いは民主主義を守るための戦いだと言っています。
ドミノ理論
ベトナム戦争は、アイゼンハワー大統領が提唱した、ベトナムが共産化すればアジア全域がドミノ式に共産化するという、いわゆるドミノ理論を元に、マクナマラ国防長官によって始められます。マクナマラ氏は晩年、この理論が誤っていたことを正式に認めています。ベトナム戦争は、反共産主義思想とドミノ理論によって始められてしまいましたが、誰がどう考えてもこの戦争は無益でしかありませんでした。300万人ものベトナム人の尊い命を奪っただけではなく、ラオス、カンボジアという周辺国の人々に多大な犠牲を出しています。皮肉なことに、平和だったカンボジアは、アメリカの無差別絨毯爆撃によって共産主義化し、クメール・ルージュによる大量虐殺で、4年足らずの間に150万~200万人ものカンボジア人が犠牲になっています。そして、ウクライナ戦争においてもこのドミノ理論が復活し、ウクライナが負ければ、次は、モルドバ、ジョージア、バルト三国、フィンランドがドミノ式にロシアに飲み込まれてしまう、さらに、ドミノ式に中国が台湾を侵攻するだろうといった新たなドミノ理論が提唱されています。確かに、NATO非加盟国であるモルドバ、ジョージア、フィンランドは危険かもしれませんが、極端にNATOを恐れているプーチン氏が、NATO加盟国であるバルト三国に手を出すとはとても思えません。
プーチン氏の次の標的
ウクライナでの激しい戦闘で、ロシア軍は相当なダメージを被ってしまっているので、次の標的どころの話ではありません。ウクライナからの出口戦略すらない状態で、とにかく、双方が停戦に合意しない限りは、この戦争はどんどん泥沼化していきます。なので周辺国は安堵していいかもしれません。しかしながら、出口戦略がないのは、ウクライナを全面支援して代理戦争を戦っているNATO軍も同じ話で、どのようにしてこの戦争を終結させる気なのか、もしくは、終結させる気などさらさらないのかは理解し兼ねますが、何れにしても、この戦争が長引けば長引くほど、世界が不安定化していくことだけは確かです。プーチン氏の次の標的があるとすれば、それは西側経済を破壊するための攻撃になると思われるので、中東の産油国あたりが一番危険かもしれません。
参考サイト
“We might give them a few.” Did the US offer to drop atom bombs at Dien Bien Phu?
Why Laos Has Been Bombed More Than Any Other Country