オバマ大統領の歴史的な広島訪問の大英断

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

歴代大統領初となるオバマ大統領による広島訪問が歴史的瞬間になる事は言うまでもないでしょう。言い換えれば、今回のオバマ大統領の広島訪問決定は歴史的大英断と言えるのです。保守派からは広島訪問は事実上の原爆投下への謝罪と変わらないと猛烈な批判を浴びていますが、ノーベル平和賞受賞者でもあるオバマ大統領にとって、広島訪問は避けては通れない世界平和への道程だったのかもしれません。とは言っても、オバマ大統領自身、イラクからの時期尚早の米軍撤退でISISを生み出し、リビアを武装集団の草刈り場に貶め、イラクとリビアでの大失態によりシリアを未曾有の悲劇に追いやった張本人でもあります。

カーチス・ルメイ 東京大空襲 原爆投下 朝鮮戦争 キューバ危機 ベトナム戦争
現職アメリカ大統領として初の広島訪問を果たしたオバマ大統領。George Wallace (ジョージ・ウォレス)の再来と揶揄されているドナルド・トランプ。今日はそのウォレスの副大統領候補だった Curtis Emerson LeMay (カーチス・エマーソン・ルメイ) (Nov 15, 1906 – Oct 1, 1990)の話です。ルメイは第二次世界大戦末期

そんなオバマ大統領ではあるのですが、今回の広島訪問は核廃絶を訴えるには絶好の機会とも言えます。オバマ大統領には退任後も、紛争のない平和な世界を実現するために本当に必要なのは、世界中にまん延する貧困の撲滅以外にないということを強く訴えていってもらいたいものです。貧困は、戦争に匹敵する人類最大の災いであると言えます。その貧困の根本原因である人類の貪欲こそが、人類最大の罪であり全人類共通の敵でもあります。

スポンサーリンク

広島訪問が意味するもの

多くの反オバマ識者達が今回の広島訪問決断をキューバとの国交正常化同様、ただのレガシー作りのためのパフォーマンスに過ぎないと非難しています。しかし、アメリカでは原爆投下すべきではなかったという意見がミレニアル世代の間では主流になっている事情もあり(U.S. Millennials Say America Was Wrong to Drop Atomic Bombs on Japan)、オバマ大統領としては彼等の支持を獲得する意味からも、広島訪問は非常に重要な意味を持っています。民主党勝利のための選挙用パフォーマンスという意味合いだけではなく、レガシー作りが今のオバマ大統領の一番の仕事になっていることを考えれば、伊勢志摩サミット後の広島訪問は千載一遇のチャンスだったとも言えるのかもしれません。保護主義・孤立主義を標榜し、日本をひたすら叩きまくるトランプ氏に対しての antithesis (アンチテーゼ)という意味合いもオバマ大統領は意図していることは言うまでもないでしょう(Donald Trump’s nuclear stance opens wounds in Hiroshima)。ところで、今回のオバマ大統領の広島訪問決定の立ち役者はキャロライン・ケネディ駐日米国大使とジョン・ケリー国務長官の二人だったとか(オバマ大統領が広島へ 決定の舞台裏)。

スポンサーリンク

日本が仕掛けた戦争

アメリカ人の中でも特に高齢層は今でも Remember Pearl Harbor なわけで、太平洋戦争は日本が仕掛けた戦争なんだから空襲も原爆投下も全て正当化されるという言い分が多いようです。大日本帝国による朝鮮や中国に対する侵略行為を糾弾する声もかなり多く、悪名高き unit 731 (731部隊)の存在を日本人は決して忘れてはならないといった声まであるほどです。しかし、そのアメリカにも、インディアンの領土を収奪、ナポレオンが叩き売らなければ仏領ルイジアナも収奪予定、カナダを併合しようとして侵攻するも返り討ち(Manifest destiny)、フロリダをスペインから収奪、カナダに敗れて北進を諦たアメリカは南進してメキシコの広大な領土を収奪、米西戦争でスペインから領土を収奪、内政的にも、黒人奴隷問題やアジア系移民に対する蔑視、アイルランド人やユダヤ人等も蔑視、世界大恐慌の原因は1割のアメリカ人(白人)が世界の富の3分の1を独占したせいとまで言われているぐらい、アングロ・サクソンがやりたい放題やって富と権力を寡占していたという非常に忌まわしい過去があります。ペリーが来航して武力行使をちらつかせて日本に無理やり開国を要求したのが、日本が自国防衛のために大陸進出したそもそもの原因でした。平和に暮らしていた日本を武力で脅して開国させ(それも捕鯨船を寄港させるためで、今や日本の捕鯨を猛烈に批判するという厚かましさ)、日本を大陸進出に駆り立てたアメリカ。列強の脅威から自国を守るために大陸進出した結果ロシアと衝突、日露戦争に辛勝した日本を yellow peril 呼ばわり、アメリカが過去にやったように領土拡張を進める日本を侵略者扱いの偽善者っぷりです。

ケネディ没後55年:マッカーサーのケネディへの忠告を考察する
忘れもしない1963年11月22日。あの頃は翌年の東京オリンピックに日本中が沸いている時だった。とは言っても、俺が生まれるかなり前の話なんだけどね。個人的には、ケネディ暗殺にはLBJが一枚絡んでいると思うんだけど、GHWBが黒幕という説も未だに根強い。今となっては、真実は誰にも分からないだろう。

太平洋戦争は、中国とソ連の lobbyist (顧客のために政治家を懐柔する専門家)達がルーズベルトと結託して起こしたと言っても過言ではないという声さえあるほどです。ルーズベルト批判の声はアメリカでも依然として根強いものがあります(Criticism of Franklin D. Roosevelt)。ルーズベルトは共産主義者だったという人間さえいます(The Commie Connection – FDR and Stalin)。ルーマニアから領土を収奪、バルト三国を併合し、フィンランドに侵攻、さらに独ソ不可侵条約の密約でポーランドを分割統治したソ連、ルーズベルトはこんな非道な国をナチス憎しから全面的に支援したのです。その一方で中国と紛争中で南進政策に邁進していた日本を侵略者扱いしている矛盾の酷さはある意味人種差別としか言えないのではないでしょうか。アメリカはただ単に中国利権が欲しかっただけという意見もあります。FDRにしてみたら嫁の叔父だったセオドア・ルーズベルトが仲裁してやった日露戦争の恩を、桂・ハリマン協定の一方的破棄という仇で返された恨みもあったのかもしれません。太平洋戦争はアメリカ帝国主義と日本帝国主義の中国利権を掛けた戦いだったと考えるべきで、日本が仕掛けたのではなく、中国・ソ連両国によるルーズベルト政権懐柔と世論操作によって、日本を戦争に引きずり込むことに成功したと言った方がより正解に近いのではないでしょうか。

ケネディ元アメリカ大統領の心に染み入る名言
偉大な大統領として未だに多くのアメリカ国民から愛され続けている故ケネディ元大統領、日本人にも馴染み深いアメリカ大統領でもあります。氏は、1951年に弟のロバート氏と共に日本を訪れていますが、もし、暗殺されなければ、1964年1月に現職大統領として初来日を果たす予定でした。今日(5月29日)は、氏の生誕100周年だという事で、それ関連のニュースがネット上を賑わせています。
スポンサーリンク

原爆投下は絶対に許されない

当然許されるわけがないのです。パールハーバーはあくまで軍事拠点の攻撃で、広島・長崎への実験的な原爆投下は、何の罪もない子供と女性を犠牲にした非道な蛮行以外の何物でもありません。非戦闘員の一般市民に対する空爆も戦争犯罪だし、実際 Curtis LeMay (カーチス・ルメイ)も、“If we’d lost the war, we’d all have been prosecuted as war criminals.”と言っていて、自分達がやっている蛮行を戦争犯罪として認識してはいたようです。戦争に負ければ戦争犯罪でも、勝てば官軍というわけです。Robert McNamara (ロバート・マクナマラ)のドキュメンタリーフィルム The Fog of War は一度は見た方がいいかもしれません。このドキュメンタリーの transcript から気になる部分を引用しておきます。マクナマラも原爆投下肯定派の一人と言えるでしょう。

I don’t fault Truman for dropping the nuclear bomb. The U.S.—Japanese War was one of the most brutal wars in all of human history ? kamikaze pilots, suicide, unbelievable.

日米戦争を語る上で、神風攻撃とバンザイチャージは避けては通れません。非戦闘員でさえもバンザイクリフやひめゆり学徒隊といった悲劇があるほどです。あまりにも過酷で悲惨過ぎる犠牲を日本国民は当時の政権に強いられていたのです。原爆投下はさっさと降伏しなかった当時の日本の権力者達の責任だと言う人達さえいます。ただ誰のせいであろうとも、原爆投下や非戦闘員への空爆は許されるべきではありません。しかし、その非人道的な戦争犯罪でもあるfirebombingを日本の非戦闘員に対して実行したカーチス・ルメイが、戦後日本から、Grand Cordon of the Order of the Rising Sun (勲一等旭日大綬章)を授与されたというから驚きです。受賞理由はググれば出てくるので敢えて書きませんが、何とも頓珍漢な話であります。しかしながら、日本は被害者であると同時に加害者であるという事を決して忘れてはならないと思います。重慶爆撃、バターン事件、南京事件等、例を挙げれば、枚挙にいとまがない日本軍が行った数々の蛮行は糾弾されて然るべきだし、被害者面ばかりはしていられないはずです。過去に学ばない者は同じ過ちを繰り返すという言葉を肝に命じておくべきです。

スポンサーリンク

日系アメリカ人の過酷な運命

ルーズベルトによって日系人が強制収容所へ送られた事は、アメリカの黒歴史の一つでもあります。ドイツ系やイタリア系アメリカ人も収容所へ送られたらしいのですが(ドイツ人とイタリア人だけだったという声もある)、日系人に対しては規模的にもかなり徹底していたらしいのです。太平洋戦争中の日系アメリカ人が経験した屈辱と不条理な扱われ方は決して忘れてはならないと思います。そんな屈辱を払いのけるように、日系アメリカ人部隊のヨーロッパ戦線での活躍は目覚ましいものがあったとか(442nd Infantry Regiment)。今回のオバマ大統領による広島訪問は日系アメリカ人にとってもかなり感慨深いものがあるようです。Why Obama’s Visit To Hiroshima Matters For Japanese Americans ← この記事からの引用。

Still, Japanese Americans ultimately want an apology.

“I think what happened to the Japanese people was an atrocity and that there should be an apology for all the innocent people who were killed,” Ina said. “This was not on a battlefield. This was in a city.”

日系アメリカ人達も、原爆投下という非人道的蛮行に対するアメリカ大統領からの公式謝罪が欲しいみたいです。確かに真珠湾という軍事基地を奇襲攻撃したのは日本ですが、広島、長崎の非戦闘員の大量殺戮を目的とした実験的な原爆投下という人類に対する罪に対し、一日本人として深い憤りを感じざるを得ません。オバマ大統領が謝罪をするかどうかは分かりませんが、まさかの謝罪を期待している日本人、日系アメリカ人も多いはずです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク