トランプのニューヨーク州予備選圧勝は共和党内に衝撃を与えた。多くの NeverTrump 運動の参加者達はトランプは、open primary には強いが、closed primary には弱いと mantra (マントラ)のように唱えていたのだが、そのトランプが弱いはずの closed primary でトランプは、もちろん favorite son (地元の強み)というのもあったが、three-way race で驚異の60.4%というとんでもない得票率を叩きだしたのだ。あまりにも圧倒的過ぎる大勝利であった。前評判では、75~85 delegates (代議員) と予想されていたのが、何と91 delegates という完勝に終わった(Mark Levin Slams ‘Pom Pom Boys and Girls’ at Fox for Trump Hype After New York Win)。
トランプは今週も圧勝予定
ニューヨーク州での圧勝で、トランプの勢いが止まらなくなった。明日5州(コネチカット、デラウェア、ペンシルベニア、ロードアイランド、メリーランド)で行われる共和党予備選でも、トランプ圧勝が予想されている。ケーシック、クルーズがどこまで善戦できるかに焦点が集まっているが、大都市であるペンシルベニア州フィラデルフィアでの集会で参加人数が何と22人という大失態を演じてしまい、トランプ支持者達から笑い者にされてしまった(Only 22 People Show Up For Senator Cruz Philadelphia Rally – Unstable Ted Starts Screaming on Radio Show)。トランプの campaign rally (選挙集会)に数千人~数万人が集まることを考えたら、あまりにも悲惨過ぎでお粗末過ぎる参加者数だと言える。先のコロラド州とワイオミング州での露骨過ぎる代議員懐柔騒動によって、クルーズの熱烈支持者だった Fox News (フォックスニュース) キャスター、Sean Hannity (ショーン・ハニティ)からもすっかり嫌われてしまい、遂にトランプ応援団と化したフォックスニュース内にクルーズ擁護のメインキャスターが一人もいなくなってしまった。
クルーズ最後の牙城、インディアナ州
インディアナ州はウィスコンシン同様、テッド・クルーズ有利の州と予想されていたのだが、トランプのニューヨーク州での圧勝のモーメンタムにより、今やトランプ勝利が濃厚になりつつある。もしトランプがクルーズの牙城と言われているインディアナ州で勝利するような事があれば、クルーズ、ケーシックの最後の望みである、open convention (オープンコンベンション)の可能性が限りなくゼロに近づく。クルーズにとっては絶対に負けられない戦いなのだ。そこで、クルーズとケーシックはクルーズのインディアナ勝利を確実な物とするために共闘する取り決めをした(Republicans Cruz, Kasich reach ‘stop-Trump’ deal)。事ここに及んでは、もはや二人に反トランプ共闘以外の選択肢はない。仮にクルーズがインディアナで敗れても、ケーシックがオレゴン、ニューメキシコの何れかの州でトランプに勝利出来れば、代議員争奪戦でトランプが過半数の1237に達する事を防げるかもしれないのだ。
トランプ躍進の本当の理由
トランプは最終的には共和党の4割の支持しか得られないと言われている。しかし、実際にトランプがこれまで得た得票率38%のうちの3割~4割は民主党の工作員の票だとされている。つまり、トランプというアメリカ国民の7割が忌み嫌っている候補者が共和党代表候補に選出されれば、民主党の大統領選勝利が確実になるだけではなく、上院、下院での圧勝も十分に考えられるのである。トランプ躍進は民主党の策略である可能性が非常に高い。そもそも、共和党主流派はRINO (名前だけの共和党員)が常に党代表候補に選出されるために、ありとあらゆる細工を張り巡らしている。フロリダが winner take all 州なのもその細工の一つだ。過去にフロリダ州で勝ったのは全てRINOである。ガチガチの保守主義のクルーズが大苦戦しているのはそのせいで、RINOどころか実質民主党員のトランプが躍進するのも当然なのであった。トランプはビル・クリントンに勧められて共和党から立候補したとも言われているほどだ(Did Bill Clinton Convince Donald Trump to Run)。個人的には、トランプはクリントンが共和党に送り込んだトロイの木馬だと思っている。今年は元々は共和党の年と言われていて、共和党勝利が予想されていたのに、トランプのせいで共和党の勝ち目は完全に潰えた。
クルーズに勝ち目はあるのか?
仮にクルーズがオープンコンベンションに持ち込めたとしても、そのコンベンションでクルーズが勝利できるのか?という疑問が残る。トランプ、クルーズ以外の第三者が勝つ可能性があるとも言われているが、多くの識者はそんなのは馬鹿げた戯言だと一蹴している。実際にはトランプ、クルーズ以外に勝者は有り得ない。だとすれば、最後に笑うのは誰なのか?という事になる。しかし、どっちが勝ってもクリントン大統領誕生は確実で、クルーズは実際は2020年のためのキャンペーンをしているではないか?と言いたくなるような執拗なキャンペーンぶりである。ヒラリーが勝てば、2020年はヒラリーか副大統領 vs テッド・クルーズが確実と言える状況に持ち込むための選挙運動のような気がしてならない。クルーズはその時まだ50歳という若さだし、2020年の共和党予備選挙でクルーズを脅かす存在と言えば、ルビオぐらいしか思い当たらない。今年はアメリカ建国史上初の女性大統領誕生は確実で、まさに歴史的な年となるであろう。その時までヒラリー夫人であるビル・クリントン元大統領が健在であることを願わずにはいられない今日此の頃である。アメリカ史上初の男性ファーストレディーの誕生も歴史的と言えるだろう。