中間層の崩壊:失業率よりも製造業従事者の減少が少子化の原因だった

この記事”Record-low fertility rates linked to decline in stable manufacturing jobs“によると、アメリカにおける世界大不況以降の少子化トレンドの原因は、失業率の上昇にあったのではなく、製造業の衰退にあったようである。

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アメリカにおける少子化の原因

As the Great Recession wiped out nearly 9 million jobs and 19 trillion dollars in wealth from U.S. households, American families experienced another steep decline — they had fewer children.

Yet as employment eventually climbed and wages rose, fertility did not. The fertility rates for American women have continued to decline in the years since the recession ended and reached an all-time low of 1.7 children per woman in 2018.

世界同時大不況が米国世帯から9百万人近い雇用と19兆ドルもの富を奪い取ったことで、アメリカの家族は、もう一つの急減である少子化を経験した。最終的に雇用は回復し賃金は上昇したにもかかわらず、出生率は回復しなかった。アメリカ女性の出生率は不況終了以降何年も減少し続け、2018年に1.7という史上最低値を記録している。

2018年というと、レーガノミクスに匹敵する大減税を核としたトランポノミクスの大成功によりアメリカ経済が米国建国史上最高と言われる経済好況を謳歌していた年である。記録的な低失業率と賃金上昇、大減税の恩恵で家計は潤ったと伝えられていたが、それにもかかわらず、2008年〜2009年の世界大不況が原因で始まった少子化トレンドは解消されなかったようである。史上空前の低失業率なのに何故子供が増えないのか?その原因が、この記事によると、製造業職の減少ということになっている。製造業職は賃金が高く、その高賃金に支えられて中間層が誕生したのだが、製造業の崩壊によって中間層まで崩壊してしまったと記事では言っている。トランプ大統領を中国との貿易戦争に走らせたのがこの崩壊した製造業の復活にあり、アメリカの製造業が復活すれば、中間層が復活して少子化に終止符が打たれるというわけである。しかし、この記事では、大不況後の製造業の崩壊で出生率が一番減少しているのが、皮肉にもラテン系女性で、白人女性の4倍となっている。

日本における少子化の原因

オバマ政権下での雇用創出のほとんどがサービス業、特に飲食関連であったことから、Waiter and Bartender Recoveryと揶揄されている。ミレニアル世代の星と言われているアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員も元バーテンダーだったことがそのことを象徴していると言えるだろう。コルテス議員は、オバマとバイデンを猛烈に批判しているのもそのことと関係していると思われる。日本の場合は、アベノミクス下での雇用回復は、高齢者と女性の非正規職がほとんどで、新卒は大卒・高卒共に空前の売り手市場と言われ続けているが、その実態は非正規以下の待遇の正規社員がほとんどで、正社員とは名ばかりであると揶揄されている。安倍政権誕生以来、婚姻数と出生数はダダ下がりしていることからも、日本もアメリカ同様、失業率の低下が出生数の上昇をもたらしていない。このことから、日本の少子化の原因もアメリカと同じであると言える。1億総中流社会と言われていた時代から、1億総貧困社会に向かっていると言われていることからも、日本においてもアメリカのように中間層の崩壊が少子化の1つの原因になっていることは疑う余地がない。日本の場合はさらに、氷河期世代というキーワードが存在する。団塊Jr世代のこの世代から職を奪い取ったことで、第三次ベビーブームを潰したことが日本の少子化の最大の原因となっている。円高による産業の空洞化で日本の製造業も壊滅的な打撃を受けたことも事実で、輸出企業という高賃金職種が減ったことも氷河期世代を作り出す一因になっている。

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