ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の戦いはまさにrace to the bottomで、近年稀に見る酷い選挙戦だったようです。クリントン氏の得票数は最終的に2012年のオバマ大統領のそれより250万票!も少なく、トランプ氏に至っては、史上最弱のマケイン/ペイリンチケット以下の得票率と言われています。
多くのリベラルサイトのメンバーが、クリントン氏は7000万票は軽く超えると言い、逆に多くの保守派サイトのメンバーがトランプ氏は7000万票を余裕で超えると予想していましたが、結果は惨憺たるもので、現在のところ、2004年の選挙戦程度のレベルになっています。この12年間で、有権者数が4000万人も増えているのにです。
最終的な得票予想
Hillary Clinton Likely Received More Votes Than Any Presidential Candidate Beside Obama
Nate Cohn of the New York Times estimates that when every vote is tallied, some 63.4 million Americans will have voted for Clinton and 61.2 million for Trump. That means Clinton will have turned out more supporters than any presidential candidate in history except for Obama in 2008 and 2012. And as David Wasserman of Cook Political Report notes, the total vote count—including third-party votes—has already crossed 127 million, and will “easily beat” the 129 million total from 2012. The idea that voters stayed home in 2016 because they hated Donald Trump and Hillary Clinton is a myth.
「ニューヨーク・タイムズ紙のネイト・コーン氏は、全ての票が数えられた場合、6340万のアメリカ人がクリントン氏に投票し、6120万人のアメリカ人がトランプ氏に投票することになるでしょう。それは、クリントン氏が、2008年と2012年のオバマ大統領を除けば、史上どの大統領候補よりも多くの支持者を集めたことを意味しています。クックポリティカルレポートのデイビッド・ワッサーマン氏は、サードパーティ票も含め、総投票数は既に1億2700万票を越え、簡単に、2012年のトータル1億2900万票を超えます。有権者達が、トランプ氏とクリントン氏を忌み嫌うあまり投票しなかったという考えは、有り得ない馬鹿げた作り話です。」
オバマ氏を除けばとかアホ過ぎるとしか言えません。2004年と2016年では有権者数が全く違うし、オバマ氏の2008年の7000万票は反ブッシュ票が多かったので省くとしても、2012年の約6600万票は省いたらダメだろうと。閑話休題、驚くべきことに、トランプ氏の予想されている総得票数は2004年のブッシュ元大統領の得票数(6200万票)以下という衝撃的な数字になっています。
最終的には、トランプ氏とクリントン氏で1億2500万票、サードパーティが600万票の1億3100万票になるだろうと予想されています。なので、クリントン氏はトランプ氏よりも220~230万票の差で一般投票を制することになりますが、これだけ得票しても勝てないというのは、選挙システム自体に問題があるのかもしれません。とは言っても、カリフォルニア州やニューヨーク州のおかげで、クリントン氏の得票数がインフレなだけで、この2州が選挙を決めることになる方がはるかに問題とも言えます。
何れにしても、最悪候補と言われたロムニー氏よりも得票率の低かったトランプ氏は、予想通り共和党にとっては最悪の選択肢であった事に変わりはなく、クリントン氏にとっては唯一勝てる相手であり、ボーナスステージでもありました。実際は、クリントン氏が民主党にとって最悪の選択肢であり、クリントン氏以外なら簡単にトランプ氏を破っていた可能性があり、オバマ大統領が民主党候補だった場合、7000万票以上は余裕で獲得していはずと言った声もあります。サンダース氏でも勝てていたはずです。
クリントン氏は完全に副大統領候補選びの失敗で敗北したので、身から出た錆とも言えます。史上初の女性大統領と副大統領誕生のキャッチフレーズが使え、ミレニアル世代に圧倒的で絶大な人気と信頼を得ているウォーレン氏を選んでいれば楽勝だったはずです。多くのミレニアル世代がクリントン氏がウォーレン氏を副大統領候補に選ばなかった事に対し、政治センスゼロ、負けた、祝トランプ大統領、絶対投票しない等、かなり辛辣なコメントを付けていましたが、個人的にも、これはさすがにないだろと思いました。女性副大統領を自ら拒否することで、完全に女性の支持を逃しただろうし、TPP支持のケイン氏を副大統領候補に据えたことは、ミレニアル世代を敵に回す行為でもあったからです。