都会住まいは子供達の精神病体験に対する脆弱性を著しく高める可能性がある事を、キングス・カレッジ・ロンドンとデューク大学による新たな研究が明らかにしています。Schizophrenia Bulletin誌に掲載された今回の研究が、英国の主要都市で育った若者達がイギリスの田舎町で育った若者達と比べ、40%以上も精神病体験(幻聴や極度の被害妄想感など)を訴える傾向にあることを見出しています。
都会暮らしは精神病を患いやすい
City life could present psychosis risk for adolescents
Neighbourhood conditions and crime were strong contributing factors. Among adolescents who had grown up in the most adverse neighbourhoods and been victim of a violent crime, 62 per cent reported psychotic experiences. This high rate of psychotic experiences was almost three times greater than among adolescents living in more favourable neighbourhood conditions who had not experienced violent crime (21 per cent).
自宅周辺の環境と犯罪が、精神病体験の主要因になっています。最も劣悪な周囲環境の中で育てられ、粗暴犯罪の犠牲者になった若者達の62%が、精神病体験を訴えています。この高い率の精神病体験は、田舎の非常に良好な環境下で育てられ、粗暴犯罪の犠牲になっていない若者達の精神病体験率(21%)と比較して、ほぼ3倍でした。
劣悪で汚染が酷い環境の都会で育った子どもたちは、素晴らしい環境の田舎暮らしの子供たちに比べて、精神病体験率がほぼ3倍も高いので、子供を育てるには周囲の環境が非常に重要という昔からの言い伝えが本当だった事が証明された格好になっています。イギリスで行われた研究なので、日本人の子供にそのまま当てはまるかどうかは非常に微妙なのですが、第三世界からの移民が異常に多いイギリスは都市部のスラム化が酷く、日本の都市部とは比べ物にならないほど治安が悪いと思われますが、日本の都市部の環境も地方の環境と比べれば劣悪なのは確かなのですが、しかしながら、日本の場合、田舎の人間の方が閉鎖的で陰湿だと言われているので、そこらへんを加味してしまうと何とも言えなくなってしまうのも事実です。
ドーパミン過剰が統合失調症の原因
The study authors suggest a number of reasons why living in a city could pose a risk for psychotic experiences, including a heightened biological response to stress, which can in turn disrupt the activity of dopamine in the brain. Excess dopamine is the best biological explanation researchers currently have for psychotic illnesses such as schizophrenia.
本研究著者達は、ストレスに対する生物学的反応亢進の後で、脳内のドーパミン活性の妨害を含めた都会暮らしが、精神病体験のリスクになる数々の理由を提示しています。ドーパミン過剰は、研究者達が現在持つ統合失調症等の精神病に対する最良の生物学的解釈です。
ヒキニートにならないために
They also propose that adolescents growing up in threatening neighbourhoods could develop maladaptive cognitive responses, such as hypervigilance (e.g. becoming excessively aware of potential threats) and attributing negative intentions to people, which might lead them to become paranoid about those around them.
彼らは、治安が良くない場所で育った若者たちが超ビビリ(例えば、潜在的脅威をやたらと気にするようになる)や、自分の周囲の人間に対して被害妄想的にさせる可能性があり、人が悪意に満ちていると感じる等の不適切な認知的反応を発症する事も同時に提唱しています。
学校にいじめっ子や暴力教師がやたら多いとか、近所に変なおじさんが多いとか、そういった危険に満ちた地域で育ってしまうと、確かにビビリになる傾向が高いような気がします。学校でいじめられたり、公務員教師たちによる酷い暴力やおぞましい犯罪行為(例えば性犯罪)により重症なビビリになってしまったり、不登校からそのままヒキニートになったりと劣悪な環境で育つと人生が早い段階で詰んでしまいます。この国では昔から、子育ては環境が大事と言い継がれているので、子供を精神病にしてしまうことで、将来的に親である自分達が悲惨な状況に陥ってしまったり、ニュース記事になってしまうような破局的な結末を迎えないためにも、子を持つ全ての親は、我が子が精神的に健康に育つためにも、子育ての環境について今一度真剣に考える必要があるのかもしれません。環境が人を作ると言っても決して過言ではないからです。