音無響子は、三鷹瞬という、実家が名家で、料理が得意な高学歴超イケメンスポーツマン好青年を、何故振ってしまったのか?普通なら有り得ないのですが、そこが、このラブコメ漫画の大金字塔を面白くしている所以でもあります。三鷹さんと結婚していれば、響子さんは一生安泰で、贅沢で派手な生活を送れていたはずです。管理人さんは、何故、実家が新潟の定食屋(その定食屋も姉夫婦が継いでいる)で、一浪してやっとFランの、就職浪人生にして、未来のない低賃金保育士を目指す、五代裕作という酷い地雷を思いっきり踏んでしまったのでしょうか?
管理さん自身も地雷だった
巷では、一刻館の管理人さんこと音無響子も酷い地雷だったと言われています。高校時代の冴えないおっさん非常勤講師と卒業後に即結婚とか、あまりにも過酷な罰ゲームとしか言えない酷い人生を歩んでいます。スペックだけを見ても、容姿端麗であることを除けば、高卒未亡人(中古)、スキル無し、実質職歴無し(夫の実家のアパートの管理人という職歴はある)、激しく嫉妬深く、若いのに意固地で、実家の親と仲が悪いのが原因なのか、いつまでも亡き夫の実家に寄生している、怒るとパチンコの景品の缶詰を思いっきり顔面に投げ付けたりする凶暴な女性でもあり、主人公の五代くんよりも、数段上のとんでもない地雷女だった可能性があると指摘されています。三鷹氏にしても五代君にしても、響子さんの容姿のみに惚れている事は明白です。
地雷同士惹かれ合ったのか?
響子さんが、三鷹氏ではなく五代くんを選んだのは、五代くんの方が御しやすいと考えたからだという意見をよく耳にします。三鷹氏は、はっきり言ってしまえば、管理さんとは全く釣り合いません。管理さんにとっては雲上人とも言える存在で、逆に、新潟のしがない定食屋の息子である五代くんの方は、容姿以外は超低スペックの管理さんとは完全に釣り合っています。なので、自分よりも年下で、超富裕層の三鷹氏とは比較にならない超低スペックな五代くんを選んだことも、そう考えると不思議と納得できてしまいます。
思いやりがあることだけが取り柄の、貧乏で優柔不断で甲斐性無しの五代君に対して、管理人さんの母性本能がくすぐられただけとか、管理さんは、元々、亡き夫の惣一郎さんのようなあまりパッとしない、優しさだけが取り柄の冴えないおっさんが好みだったので、亡夫によく似てパッとしない、優しいだけが取り柄の冴えない五代を選んだのも無理がないとか、色々言われてはいますが、一番説得力がある説は、超低スペックな地雷同士が惹かれ合うという、女が一番不幸になるパターンで、そのことを予見していた三鷹氏は、だからこそ、心底愛する管理さんに不幸な人生を送らせないために、年下で格下の丸出ダメ男を体現している貧乏就職浪人生の主人公と、あそこまで形振り構わずに同じレベルで張り合えたわけです。
年上よりも年下が良かった
年上の惣一郎さんがあっけなく逝ってしまったので、今度は活きが良い若いのを選んだという意見があります。さらに、惣一郎さんの実家は裕福だった(惣一郎さんの実家は広いし、父親は高校の理事でアパート経営もしている)ので、裕福な年上の冴えないブ男を選んでしまったばかりに、若くして未亡人になるというトラウマを負ってしまったので、亡き夫とは真逆の、貧乏で無職(バイトは無職扱い)ではあるが、若い就職浪人生を選んでしまったみたいです。とは言っても、惣一郎さんも、父親が理事をやっている高校の非常勤講師だったらしいので、五代くんのように、人生があまりうまくいっていなかった可能性もあります(いい歳して実家暮らしだし)。なので、管理さんは不器用な生き方しか出来ない、甲斐性無しの頼りない優しいだけが取り柄の男に惹かれる性分であったとも言えます。
作中でも、私より少しでも長生きして、みたいなことを言っているので、年下の方が少しは長生きするだろうと思ったとしても何の不思議もありません。しかしながら、三鷹氏は健康そのもののスポーツマンで(歯も光ってるし)、野菜を中心に料理を作っている事から、極貧食生活を送っている五代くんよりも、むしろ長生きする可能性は高いとも言えるので、両者の寿命を天秤に掛けたとは必ずしも言えません。なので、年齢はあまり関係ないのかもしれません。
五代にあって三鷹には無かった物
三鷹氏には犬が苦手という、物語的に、非常に致命的な欠点(欠陥)があったのですが、犬恐怖症が災いして、主人公に大きく水を開けられてしまった感は否めません。犬恐怖症を克服するための特訓の最中に、五代くんと管理人さんが精神的に、もはや三鷹氏が間に割って入れないほど、固く結ばれてしまっていたので、最後の手段としての外堀を埋める(親を懐柔する)作戦に出るしかなかったわけで、しかし、その大いなる野望も、犬嫌いを克服するために飼い慣らした(ここにも三鷹氏の本気ぶりが垣間見られる)、愛犬のマッケンローによって木っ端微塵に打ち砕かれてしまい、その絶望感たるや筆舌に尽くし難いものがあります。
しかし、結果的に、三鷹氏の管理さんへの強い愛の証でもある犬恐怖症の克服が、超名家ご令嬢の九条明日菜との深い溝を埋めてくれたので、三鷹氏にとっては不幸中の幸いでもありました。完全無欠の三鷹氏の犬嫌いが、最終的に、五代くんの大きなアドバンテージになったことだけは確かで、しかし、その事が、逆に、三鷹氏が音無さんという地雷を踏むことを回避してくれたとも言え、五代くんの祖母が言った、お金のある方を選べという名言は、男にも言えることなので、超名家・大富豪の明日菜さんと結婚できた三鷹氏は三国一の幸せ者です。
響子さんは不幸を背負い込む女性
響子さんほどの超ハイスペックの容姿を持った女性なら、惣一郎さんよりもましな男は掃いて捨てるほどいたわけですが、それでも敢えて惣一郎さんのような冴えない醜男を選んだのは、不幸の星の下に生まれたとしか言えません。何が悲しくて、若い美空で、怪しい住人だらけの風呂なしボロアパートに住まにゃならんのかと、連載当時はそういう声が多かったです。子供心にも、管理さんほどの美しい女性が、一刻館管理人という、何故にあんな悲惨な職業を選んだのかと、かなり不思議に思ったものです。酷い旦那を選び、酷い職業を選び、イケメン金持ちの三鷹氏を振って、酷い地雷の五代くんを選んでしまう管理さんは、不幸を背負い込む女性としか言えません。当時、似たような時期にやっていた、特捜最前線のチリアーノを歌う悪女のことを思い出したものです。世の中には、不幸になるためだけに生まれてきた、そんな悲しい女性が多いのかもしれません。