trolley-dilemma(トロッコのジレンマ)における人種差別の考察

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trolley-dilemma(トロッコのジレンマ)とは、trolley problem(トロッコ問題)から由来するジレンマのことで、トロッコ問題とは、暴走するトロッコが、線路に括られた5人の人間を轢き殺そうとしている時に、トロッコの進路を変えることで5人を救うことができるが、その代償として1人の人間を犠牲にしなければならないという問題のことを指す。要は、5人の生命を救うために1人の生命を犠牲にしてもいいのかというジレンマのことを言う。この記事”Research shows biases against immigrants with non-anglicized names“は、トロッコのジレンマを人種差別問題に絡めている。

記事タイトル、「研究が非英語名(英語風でない名前)を持つ移民に対するバイアスを示す。」が指し示す通り、米白人は、英語風でない名前を持つ移民に対してバイアスを持つことをこの記事の研究は指摘している。以下の一節がこの研究が言っているところの白人が移民に持つバイアスを説明している。

In the trolley scenario, people tended to sacrifice the one to save the many, which is a common finding. However, white participants were more likely to sacrifice an immigrant with their original name than someone white or an immigrant with an anglicized name.

「トロッコ問題では、研究参加者達は、一般的である、5人を救うために1人を犠牲にする傾向を示した。しかしながら、白人参加者達は、白人や英語風の名前を持つ移民よりも、非英語名を持つ移民を犠牲にする傾向が強かった。」

線路に一列に縛り付けられた5人が有色系移民で、進路変換先にいる1人が白人の場合、白人は5人の有色人種を犠牲にする傾向が強いらしい。シナリオが逆の場合は、5人の白人を救うために、喜んで1人の有色系移民を犠牲にすることになる。そういった民族バイアスは、白人に限らず、どの民族も多少は有しているはずだ。記事では、アメリカにおいては、有色移民は、英語風の名前に改名することで、白人から受けるバイアスを減少させることができるが、改名自体には必ずしも賛成してはいない。改名しても白人にはなれないし、改名が自己概念に悪影響を与えることにも言及している。

記事では、同胞である白人を助けるために有色移民を犠牲にすることが、あたかも人種差別であるような物言いをしているが、実際には、これは人種差別には当たらないだろう。たとえ、1人の白人を犠牲にしたくないので、5人の移民を見殺しにしたとしてもだ。5人の日本人以外の民族(例えば、韓国人2人、中国人2人、ベトナム人1人)を救うために、日本人は、その1人の日本人を、果たして犠牲にできるだろうか?

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