アメリカにおけるオピオイドまん延の実態はこの記事”Study predicts worsening of overdose crisis, limits of focusing on prescription opioids”の以下の一節に集約されている。
A study from investigators at the Massachusetts General Hospital (MGH) Institute for Technology Assessment projects that the opioid overdose epidemic in the U.S. is likely to increase in coming years, and that measures based on restricting access to prescription opioids will have a minimal impact in reducing overdose deaths. In their report published in JAMA Network Open, the team notes that the changing nature of the epidemic – which is now driven by the use of illicit opioids like heroin and fentanyl – has reduced the potential impact of programs targeting prescription opioids.
「マサチューセッツ総合病院技術評価研究所の研究者等による研究が、米国におけるオピオイド過剰摂取蔓延が今後何年間にわたり増加傾向にある事と、処方オピオイドへのアクセスを制限することに重きを置いた対策がオピオイド過剰摂取死の減少に対してほとんど効果がないことを予測している。米国医師会雑誌Network Openで発表された彼等の報告の中で、本チームは、現在はヘロインやフェンタニル等の違法オピオイドの使用によって進展している蔓延の性質の変化が、処方オピオイドを標的にしているプログラムの潜在的効果を減少させていることに言及している。」
オピオイド過剰摂取死のまん延が、今現在は、処方オピオイド等の合法オピオイドの誤用や乱用によって起こっているのではなく、ヘロインやフェンタニル等の違法オピオイドの乱用によって起こっているらしく、従って、オピオイド処方を減らしても、オピオイド危機の解決にはつながらないようである。とは言っても、処方オピオイドが違法オピオイドの登竜門になっていることは事実なので、処方オピオイドのまん延が現在のオピオイド過剰摂取死の直接的な原因になっていることは否定できないだろう。つまり、The damage has already been done.(もう手遅れ)状態なのである。このことは、安易に抗生物質を処方することで、抗生物質耐性菌が誕生して、人類を脅かしていることとよく似ている。不必要な薬を安易に処方する行為は、医療保険制度に莫大な負担を課すだけではなく、こういった人的損害も引き起こすことになる。日本もアメリカも医療保険制度は10年以内に破綻すると言われているが、その原因は、超高齢化だけではなく、医者や製薬会社の人命軽視の儲け主義もその起因になっている。諸悪の根源は、人間が金を愛し過ぎることにあると言えるだろう。金ではなく、人を愛せと私は言いたい。