KYと言えば空気が読めないという意味で、KYな人なら空気の読めない人という意味になります。周囲の空気が読めない人はsocial cueを読めない人だと指摘されていますが、問題は、そのsocial cueとは一体何なのかということです。social cueの辞書的な意味は社会的手掛かりですが、これでは何のことなんだかさっぱり分かりません。
この記事”Study examines how sensitivity to emotions changes across the lifespan“の以下の一文の中にsocial cuesというフレーズが出てきます。
Why do we become more positive as we grow older? Why are adolescents so sensitive to negative social cues?
このsocial cuesはどういう意味なのかを記事を頼りに探ってみました。
social cueの意味
記事中のdetect subtle changes in social cues (社会的キューの微妙な変化を読み取る)、emotion cues (感情のキュー)、facial cues (顔のキュー)を例に考察した場合、emotion cueとfacial cueのキューは、感情と顔が発する信号と読み取ることができます。この事は、anger cuesとhappiness cuesという言葉が証明してくれています。怒りと喜びの感情を表情が示すことから、facial cueは顔の表情と訳せ、emotional cueは感情の信号と訳せます。つまり、顔の表情が内に隠れた感情の信号を表出しているわけです。こう考えれば、social cueが社会的な信号というような意味になることが分かります。例えば、赤信号なら渡るなに擬えれば、怒りの表情を浮かべていたら逆らうなということになります。人の表情を読み取ることで、その人の感情の信号、あるいは、社会的な信号の微妙な変化を感知できるようになります。
social cueとKYの関係
KYとは、空気が読めない、もしくは、場の空気を読めという意味ですが、空気が読めないというのは、言い換えれば、相手の感情の信号を読みとれないということを意味します。その場では言ってはいけないことを言ってしまう人が、場の空気を読めない人間であるのですが、そういう人は、周囲の人間の感情を汲み取ることができないから、場違いな発言をしたり、感情を逆撫でするようなことを平気で言ってしまいます。相手の表情を読み取るだけでなく、声の調子や文章や文脈から相手の感情を読み取ることもできないと、周囲からうざがれるKYな人間になってしまうというわけです。ここで言うところの場の空気がsocial cueということになり、この事を踏まえれば、前記の”Why are adolescents so sensitive to negative social cues?”という英文は、若者は、何故、ネガティブな社会的信号(場の空気)に対してそんなに敏感なのか?と訳せます。ネガティブな社会的信号とは、場の空気が険悪であるという意味です。学校という野生の掟が支配する世界では、喧嘩の弱い生徒は、喧嘩最強の生徒や暴力教師の顔色ばかり伺って、常にビクビクしながら学校生活を送っています。彼等にとって、social cueを見誤ることは、社会的な死を意味しており、実際に命を落としている生徒も多数います。