英国の小説家、劇作家、評論家であるArnold Bennett (アーノルド・ベネット)著のMental Efficiency(1911年)に次のような一文があります。”I fancied I was erring, if at all, on the side of ‘really,’ and I trembled.” この文のerring on the side of ~と、if at allの意味を調べてみました。
err on the side ofの意味と用法
err on the side of ~は、err on the side of cautionとして使われることが多く、この場合は石橋をたたいて渡る慎重居士のような意味になります。err on the side of ~は、リスクを負うぐらいなら~過ぎる方がましといったような意味で、err on the side of B rather than Aの形で、AよりもっとBといったニュアンスの意味合いになります。例えば、”I think the media should always err on the side of revealing rather than concealing.”なら、「私は、メディアは常に(情報を)隠ぺいするよりももっと暴露すべきであると考えています。」のような意味になります。では、”I fancied I was erring, if at all, on the side of ‘really,’ and I trembled.”はどのように訳せばいいのか?英文標準問題精講では、「難をいえば、どうも本当のことをいいすぎたと考えて、私はびくびくしていた」と訳されています。ここでは~し過ぎて(失敗した)のような意味で訳されています。慎重居士は、失敗を恐れるあまり慎重になり過ぎるわけですが、裏を返せば、慎重過ぎて失敗してしまうケースもあるわけです。例えば、慎重居士な人間は投資に向かないと言われていますが、これは、慎重過ぎると買い時を見誤ったり、逆に慎重過ぎて時期尚早に売ってしまうためです。err on the side of ~には、~過ぎて失敗する、あるいは、失敗するよりも~過ぎる方がいいといった表裏一体の意味を有していることになります。
if at allの意味と用法
上の例では、if at allは「難を言えば」と訳されていますが、元来、if at allは、「仮にそうであるならば、例えあったとしても」といったような意味合いで、そういう可能性は低いが、もしあったとしたら~だみたいな感じで訳すか、上の例のように、「難を言えば」と訳したりもできます。(正直に私の年齢を言ってみてと言われたので)正直であろうとすることを優先するあまり本当のことを言い過ぎてしまった可能性があり、仮にそうであったならば失敗だったと思い震えたわけです。ちなみにこの文をグーグル翻訳で和訳すると「私は、もしあったとしても、「本当に」の側で間違いを犯していると思い、震えました。」のようになります。
tell on meの意味・用法
tell on ~で、~のことを密告する、告げ口する (=tattle on)といった意味になります。tell A on Bで、AにBのことを言い付けるみたいな感じになります。I will tell my mom on you.「あんたのことをママに言いつけてやる。」tell onには他にも、~の体に悪影響を与える、といった意味があり、tell on meだと、私の健康に悪影響を与える、身体にこたえるといった意味になります。Age is telling on me.「年が私にこたえてきている」年齢を感じてきている、年には勝てなくなってきているとも訳せます。寄る年波には勝てないというやつです。