日経平均株価 ドル円 政府・日銀 今後の気になる動き

ドル円相場が一時まさかの1ドル107円台を付けたが、日経平均株価は円高進行にもかかわらず下げ渋っている。政府・日銀と年金筋による必死の買い支えと言われているが、日銀による外国為替市場介入への恐怖心が売り方を躊躇させている可能性も考えられる。日銀がどのタイミングで市場介入を行うかは予想するのが難しい。105円まで我慢するのか、107円台が限界なのか全く分からない。たぶん株価が再び15000円割れをするような事があればそのタイミングで介入が入るかもしれない。あるいは、外圧を恐れて政府・日銀が介入に踏み切れない事も考えられる。ただ株安をいつまでも放置しておく政府と日銀ではないはずだ。

日経平均株価とドル円相関グラフ

安倍政権誕生以降、ドル円相場と日経平均株価は見事なまでの相関性を見せている。日銀の異次元緩和に誘発された円キャリートレードの活発化による円安が株価を押し上げた事が良く分かる。
Nikkei 225 and dollar-yen rate relationship
このサイト→コラム:円高で懸念される外国人訪日客数、3兆円消費に影響も、に一部の間でかなり問題視されている安倍ちゃん発言が載っている。「通貨安競争は絶対避けなければならない」、「恣意(しい)的な為替市場への介入は慎まなければならない」←この発言が問題発言かどうかは置いておくとして、QE3-tapering以降の行き過ぎたドル高が中国経済のみならず世界経済全体に悪影響を与えた事は厳然たる事実であるのと同時に、行き過ぎた円安が世界経済に与えた悪影響も見逃してはならない(Yuan Vs. Yen: How China Figures Into Japan’s Negative Rates)。やはり安倍ちゃんがいう様に、恣意的な為替介入を慎むべきなのは当然の事なのかもしれない。

日銀為替介入の可能性を探る

日銀がどの水準まで為替市場介入を我慢できるのかが今後の焦点になる。1ドル105円が限界点だと見る識者が多いが、かと言って、1ドル100円まで静観を続ける可能性もないわけではない。今の水準での為替介入は難しいという事は大方一致している(NY外為(8日):週間ベースで円が上昇、2月以来で最大の上げ)。ドル円相場よりも日経平均株価に注視しておいた方がいいのかもしれない。1ドル105円まで円高が進んだ場合、株価14000円割れも当然視野に入ってくるわけで、さすがにこの水準まで日銀が手をこまねいているとはとても思えない。夏の参議院選挙に向けて政府・日銀が一体となって株価を上げて来ることだろう事は容易に想像が付くからだ。今月27─28日に開かれる金融政策決定会合で何らかのサインが出るかもしれない。さすがに1月に追加緩和をしたばかりなので今回は追加緩和は見送られるだろうと予想されている(2016年4-6月期金融政策:日銀は追加緩和か-効果には疑問も)。サプライズ介入の可能性も否定出来ないが、動くとしたらゴールデンウィーク開けになるのではないだろうか。

年内利上げは有り得ない

というのが大方の予想である。このサイト → FOMC Minutes: Policymakers Are Split Regarding a Rate Hike Policymakers Are Split Regarding a Rate Hike によると、Fedの中で利上げ慎重派と積極派の間で綱引きが行われているみたいな事が書いてある。年内利上げは常識的に考えれば、世界経済事情が米利上げを許さないだろうし、さらに今年が大統領選挙の年という事もあり、追加利上げは難しいのではないかという話も聞かれる。年内はFRBによる追加利上げが無いだろうという楽観論は円高圧力になるだけでなく、ドル安で米企業によるアメリカ本国への資金還流がさらなる円高圧力にも成り得る(円キャリーの巻き戻しが起こる可能性がある)。FRBが年内身動きが取れないという事は裏を課せば日銀が動かなければならないという事を意味している。夏の参院選を控えている自民党にとっては株価吊り上げは至上命題なので、遅くとも6月中までには何らかの動きがあると見ておくべきなのかもしれない。とは言っても、今の日銀に出来ることは大規模円売りドル買い介入だけしかないだろうが、currency war (通貨戦争)という観点から見れば、それは両刃の剣でしかないという事を忘れてはならない。日銀の大規模為替介入は間違いなく世界中から猛烈に批判されるだろうし、非常に脆い世界経済に対するさらなる混乱の要因に成り兼ねない。日本はG7の一員であり、世界第三位の経済大国としての自覚を持たなければならない。

年内はドル安円高の流れ

2016年は米大統領選の年という事もあり、円高ドル安の流れが続くように思われる。現段階で既に夏の参院選後、1ドル100円割れの可能性も視野に入ってきている。今年は日本株にとっては試練の年になるだろう。円高株安の負のスパイラルが懸念されているからだ。問題はどこまでドル安円高(円高株安)が進むのかという事で、トランプ(クルーズ)、ヒラリー(サンダース)、誰が次期米大統領に就任しても日本経済にとっては大きなマイナス要因にしかならないと予想されている事からも、来年以降も円高の流れに変わりはなさそうな気もしなくはない。

dollar-yen vs dollar index
今月に入ってドル指数の下げ以上にドル円の下げが相当きつくなっていて、単にドル安というよりも円独歩高の様相を呈してきていると言える。日銀による市場介入への警戒感が薄れれば薄れるほど円高へのバイアスが増幅されるだろうし、安心してドルが売れるようになれば、いよいよ1ドル100円割れも現実味を帯びてくる。そうならない為には、日銀が何らかのサインを市場に対して発しなければならない。ただ、円高で潤うのはたった2割の国民に過ぎず、8割の国民の家計は圧迫されるという事実を鑑みた場合、この期に及んでの円安誘導が果たして正解なのかという疑問も生じてくる。円安株高で利益を得るのは全国民のたった2割だけという現実を、政府と日銀は決して忘れてはならない。政治は一部の特権階級のためにあるのではなく、大多数の国民の幸福のためにあるべきという認識を持つべきである。ベンサムの功利主義「最大多数の最大幸福」こそが今の日本に求められている政治の在り方で、トリクルダウンなどという幻想にいつまでもすがっていては日本経済が本当に崩壊しかねない。度を越した無理な円安誘導による金融システム破壊からの日本発世界大恐慌だけは絶対に起こしてはならない。世界大恐慌への引き金は中国が引く事になっている。