人体にとって必要不可欠の代謝機能に加えて、体内の亜鉛レベルは、心筋にも大きな影響を与えています。酸化ストレスが起きるのは亜鉛不足のせいであるとも言われていて、その事は心筋を調べる事で判定できます。ミュンヘン工科大学(Technical University of Munich、TUM) の新しい研究が、体内の総亜鉛量と心臓機能の因果関係を今回明らかにしてくています。
活性酸素による酸化ストレス
Zinc supply affects cardiac health
Oxidative stress occurs when more free radicals are generated in the cell than can be intercepted by antioxidants such as vitamin E. It has already been proven that a severe lack of zinc, which promotes obvious clinical symptoms is also associated with increased cellular stress. However, such an extreme shortage is very rare. Short-term and latent shortages of zinc occur much more frequently. So far, research is sparse on whether this is also linked to oxidative stress.
酸化ストレスは、ビタミンE等の抗酸化物質による妨害可能量よりも多くのフリーラジカルが生成された時に起こります。明らかな臨床症状を引き起こす急激な亜鉛不足が、細胞ストレスの増加と関連していることは既に証明済みです。とは言っても、そういった深刻な亜鉛欠乏は非常にまれです。短期かつ潜在的な亜鉛不足はもっと頻繁に起こっています。亜鉛不足が酸化ストレスにも関係しているかどうかの研究は、これまであまり為されていませんでした。
その高い代謝活性により、研究者達は、心筋研究に焦点を当てています。総組織質量と比較した場合、特に多くのフリーラジカルがここで発生しています。さらに、心筋は、他の組織に比べて抗酸化能も低いので、酸化ストレスtに対して特に影響を受けやすくなっています。
グルタチオンとα-トコフェロール
For the study published in the Journal of Nutrition, this has been investigated by monitoring two antioxidants: glutathione and vitamin E (α-Tocopherol). Both disable free radicals, wherein vitamin E in particular is responsible for the integrity of the cell membrane. The cell membrane shields the cell contents from the environment.
Journal of Nutritionに掲載された本研究で、この事は、グルタチオンとビタミンE(α-トコフェロール)の二種類の抗酸化物質をモニターすることで調査されています。両物質ともに、フリーラジカルを無能化できますが、特にビタミンEは、細胞膜の完全性を保つために重要な役割を果たしています。細胞膜は、周囲環境から細胞内容物を保護してくれています。
酸化ストレスは亜鉛が制御
数日にわたり、異なる程度で若い子豚達の亜鉛を制限することで、研究者達は、体内亜鉛量の現象が、どのようにして豚の心筋に影響を与えるのかを測定する事ができました。彼らは、心筋中のグルタチオンとビタミンE濃度が、豚の体内亜鉛状態に並行して減少していることに気が付き、つまり、体内での亜鉛供給が、こんなに早い段階で、酸化ストレスに対処する心臓の能力に影響を既に与えていることになります。最新の研究により、酸化ストレスが、心臓疾患に対するpredisposing factor(素因)の1つであることが分かっています。
Furthermore, it was observed that genes responsible for programmed cell death (apoptosis) are upregulated in this phase of cell stress accompanied by declining zinc supply levels. “The body was no longer able to compensate for the resulting shortage of zinc, even though our tests only ran for a few days,” said lead author Daniel Brugger from the Chair of Animal Nutrition at TUM.
さらに、プログラム細胞死(アポトーシス)に関与している遺伝子が、亜鉛供給レベルの減少に付随して起こる、このフェーズの細胞ストレスにおいてアップレギュレートされていることが観測されています。”我々の試験がほんの数日しか行われていないにもかかわらず、結果として起こる亜鉛欠乏を、身体が補うことが不可能になっています。”と、TUMの動物栄養学の学部長で、本研究の筆頭著者でもあるダニエル・ブラッガー氏は言いました。
心臓が他の臓器から亜鉛を奪う
As the situation progressed, it was observed that the heart attempted to compensate: “After the first phase, during which a reduction in tissue zinc concentration was observed, the heart muscle intervened and increased the amount of zinc back to the basal (control) level. However, this increase took place at the expense of the zinc content of other organs — above all the liver, kidneys, and the pancreas.”
この状況が進むに連れ、心臓は、何とかして亜鉛欠乏を埋め合わせようと試みることが観測されています。”最初のフェーズの後、組織亜鉛濃度の減少が観測されている間、心筋はこの事態に介入して、元の基礎値(コントロール値)に亜鉛量を増やしています。しかしながら、心筋におけるこういった亜鉛量の増加は、他の臓器、とりわけ、肝臓、腎臓、そして膵臓の亜鉛量を犠牲にすることで達成されています。”
Further yet unpublished liver data also indicates that this decline in tissue zinc is accompanied by events of subclinical inflammation. This seems to also apply to other organs, above all the primary immune tissues. Additional studies will be necessary in order to confirm these findings.
加えて、まだ未発表の肝臓データが、組織亜鉛におけるこの減少が、無症状炎症のイベントと同時に起こることを示唆してもします。この事が、他の組織、とりわけ、全ての一次免疫組織に対しても適用できるように思えます。こういった数々の新しい発見を裏付けるための追加的な研究が、今後必要とされている事は云うまでもありません。
亜鉛が不足すると、心臓が他の臓器(組織)から亜鉛を奪うというのは衝撃的ですが、亜鉛不足がさまざまな疾患や障害の原因になっていることは火を見るよりも明らかなようです。今回の研究は豚を使って行われているようですが、人間にも当てはまるのかどうかは、今後のさらなる研究が必要なようです。とは言っても、健康維持のためには、亜鉛不足にならないように務める必要があり、亜鉛とビタミンEが豊富なアーモンドを食べるのがお薦めです。