Hate injures no one 憎しみは誰も傷つけない?

Hate injures no one; it is contempt that casts men down.- Goethe

憎しみは誰も傷つけない。しかし、軽蔑は人を傷付ける。castdownは、 意気消沈した, ふさぎ込んだという形容詞で、downcastと同義。cast downは句動詞で、下げる、(頭)を垂れる、(目)を伏せる、(人)を意気消沈させる、落胆させる、投げ落とす。この場合のcast men downは、人を打ち倒すという意味。

The steps of his strength shall be straitened, and his own counsel shall cast him down. Job 18:7

その力ある歩みはせばめられ、その計りごとは彼を倒す。ヨブ記18章7節

counselには、policy(知略、策)やplan(計画)という意味がある。cast him down = 彼を倒す。

ネット上では、憎悪は人を傷つけないが、軽蔑は人を破滅させると、cast him downを破滅させるという意味で使っている例がある。ランダムハウス英和大辞典には、cast down = 〈物を〉破壊する,〈人を〉打ち負かすという意味が載っている。〈人の〉社会的地位を失わせるという意味もあるようだ。

Kotzebue(コッツェブー)は、長い間多くの人間から憎まれていたが、彼を最後に打ち倒したのは、彼を蔑むメディアの存在だった。世界中で最も憎まれているのはトランプ大統領だろうが、トランプ大統領は痛くも痒くもないだろう。しかし、メディアが彼を蔑むことで、彼に危害が及ぶ可能性が高まる。メディアが本当に怖いのは、それが人を非人間化することができることにある。憎しみという醜い心情が、憎しみの対象を蔑み非人間化することで、未曾有の悲劇が起こったことを人は決して忘れてはならない。

hate speech(ヘイト・スピーチ)という言葉が示すように、憎しみの感情が表に出れば、その憎悪にまみれた下劣な言葉は人を感情的にも、肉体的にも傷付けることができる。ヘイトスピーチはヘイトの対象となる人間を蔑む憎むべき言葉である。憎しみが憎しみを生むとはよく言ったものだ。

Hatred is active, and envy passive disgust; there is but one step from envy to hate.

これもゲーテの名言で、直訳すれば、憎悪は積極的な反感で嫉妬は消極的な反感。故に、妬みから憎しみへは至近。つまり、憎悪は簡単に嫉妬に変わるし、逆も然りという意味。ネット上では、憎しみは積極的な不満で、嫉妬は消極的な不満である。 したがって、嫉妬がすぐに憎しみに変わっても不思議もないと訳されている。嫉妬心が憎しみに変わることはよくあることだ。誰にも経験があるはず。

Love and hate are two sides of the same coin. 愛と憎しみは表裏一体という格言があるが、愛も憎しみも相手を気にするから生まれる感情で、気にしないならそのような感情は生まれない。可愛さ余って憎さ百倍や愛憎は紙一重(There’s a thin line between love and hate)ということわざもあるが、愛が憎しみに変わったり、憎しみが愛に変わることは、時としてあるようである。個人的にはそのような経験をしたことがないので、何がそのようにさせるのかは分からないが、愛が憎しみに変わることが離婚の原因にはなるだろうことは容易に想像がつく。

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