イディオム Pyrrhic victory ピュロスの勝利 意味

率直に言ってしまえば、Pyrrhic victoryは勝ちに値しない勝利の事です。言葉の響きがアニメや特撮に出てきそうな雰囲気ですが、ピュロスの戦いはドラゴンボールやウルトラマンとは一切関係ないことは言うまでもないでしょう。Pyrrhic victory、この単語を初めて知ったのは、NBCのヒット法廷ドラマ”Law and Order (ローアンドオーダー)”を見ていた時に、主人公の地方検事補長Jack McCoyが”competency hearing 1で容疑者の老人に対して、”Do you know what a Pyrrhic victory is, Mr Jackson? “「ピュロスの勝利が何か知っていますか?ジャクソンさん」と言った時だった。その時、その老人は” I’m not really sure.”「さぁ、よくは知りませんな。」と答え、それに対してMcCoyが”That’s when you win but you really lose. Like this hearing: if I win, I get to say that you’re competent, in which case, I get to go into another courtroom and try to prove that you did something I know you did, but at the same time I can’t prove.”「それはあなたが勝っても実質負けという事です。この審問のように。仮に私が勝てば、あなたが法的能力を有すると私は言えるようになり、その場合、私は別の法廷へ行く機会を得、私があなたがやったと分かっている事をあなたがやったと立証を試みますが、その一方で私には立証は不可能です。」 老人は”So why don’t we just call it a day? ” 「ならつべこべ言わずに今日は終わりにしましょうや。」Law & Order (1990–2010):”Identity” と返すわけだが、このやり取りは非常に見応えがあり、今でも鮮明に記憶に残っている。

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プライドを賭けた勝利への執念

Jack McCoyが審理中に容疑者の老人に対して、”Pyrrhic victory”という言葉を使ったのは、自分が負ければ老人は無罪放免、勝ってもほぼ確実に老人は裁判で無罪放免になるだろうという彼の焦燥感を表している。老人は演技をすれば自分が無罪放免になることは知っていたが、彼のプライドがそうさせなかった。老人は自分のプライドを賭けて法廷で争う決意をしたのだが、最終的に彼のプライドが犯行は計画的だったということを吐露させてしまう。McCoyも老人の年齢や凶行への経緯を考慮すれば無罪放免にするのは簡単だったが、彼の検事補長としてのプライドがそうはさせなかった。プライドで飯は食えないからつまらないプライドは捨てろと昔からよく言われるが、プライドを捨てて豚として生き長らえるか、プライドを賭して狼として短く生きるか、それは人類最大の永遠の葛藤とも言えるだろう。

戦術的勝利、戦略的敗北を意味する

第二次大戦の日本、ドイツのように戦術的勝利をいくら重ねても、敵本土への戦略爆撃なしに戦争に勝つことは不可能だし、そもそも圧倒的物量を誇る米ソに戦争を仕掛けるとか狂気の沙汰である。wikiによると、古代ギリシャのエピロス王ピュロスがアスクルムの戦い (紀元前279年)とヘラクレアの戦い(紀元前280年)でローマ軍に勝利するも、あまりにも損害が大き過ぎて実質負け同然の勝利だったところからきているらしい。第二次世界大戦の独ソ戦と太平洋戦争におけるドイツと日本の緒戦の勝利がPyrrhic victoryだったと言っても決して過言ではない。

Footnotes

  1. 容疑者が裁判を受ける能力があるかどうかを判断するための審理
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