仮定法は if を用いなくても、前置詞、不定詞、動名詞、他の接続詞などを用いても表現する事ができてしまいます。この事を知らないでいると、試験問題等の英文中で仮定法が使われている事に気付かないという、とんでもない醜態をさらしてしまうことになりかねません。ニュース記事で頻繁にこういった仮定法の使われ方がしているという事実こそが、仮定法がそれだけ重要な英文法の一つだという事を如実に物語っています。なので、仮定法の色々な使われ方を調べてみることにしました。
should had were
ニュースを読んでいるとshould he winのようなshould が倒置で使われているケースをたまに見かけます。Arizona Senate Race Between John McCain and Ann Kirkpatrick Gets Tighterの記事中で使われているshouldを例に考察してみます。
McCain said he’d support Donald Trump for president should he win the nomination later this summer.
この文中のshouldはifの代わりに使われています。この英文の条件節を、if he wins the nominationと書き換えた場合、トランプ氏が共和党代表指名選に勝つかどうかは5分と5分になってしまいます。本文中でマケイン氏が言いたいことは、トランプ氏勝利の可能性はかなり低いだろうという事なので、if he should win the nominationとなるわけです。つまり、should が倒置で使われているという事になります。
had の例として、Armenians attack Azerbaijanis in Paris の記事中で
There would be no escalation had it not been for the occupation of Azerbaijani lands by Armenian troops.
「アルメニア部隊がアゼルバイジャンの領土を占領しなかったら、ここまでの事態の深刻化はなかっただろう。」仮定法過去完了(third conditional)、if it had not been for ~ (~が無かったら)の倒置 had it not been for ~、が使われています。
were の例として、ECB seeks to mollify Germany after dispute over ‘helicopter money’ の記事の中で、were it not for の倒置パターンで使われています。
“There is no way Schaeuble would be balancing his books were it not for the ECB’s policy.”
「ECBの政策が無かったら、ショイブレは財政均衡を達成できなかっただろう」
if it were not for ~ (~が無かったら)は、受験英語として入試問題によく出題されます。
仮定法過去 (second conditional)と仮定法過去完了の見分け方は、帰結節がwould have + 過去分詞のように完了形になっていたら仮定法過去完了と覚えておけばいいでしょう。
If it weren’t for, If it hadn’t been for は、but for, except for, without, if not for で書き換え可能ですが、withoutが圧倒的人気です。but for, except for には、~を別にすれば、という意味もあるので紛らわしいからかもしれません。
参考サイトIf Clauses – Part IIproviding or provided (that)
会話の中では providing (that)が、文章中では provided (that)が多く使われているみたいです。Ted Cruz Campaign Aiming to Pick up Delegates from Strategic Congressional Districts in New York の記事中に
All 14 delegates elected statewide will be allocated to the winner, provided he exceeds 50 percent of the vote.
「もし候補者の得票率が50%を超えた場合、州全体で選出された14人全ての代議員はその勝者に割り当てられます。」
provided, providing (that)は、as long as で書き換え可能ですが、given that ≠ provided thatと考えた方がいいみたいです。仮定法とは本来話し手が言っている事に対して曖昧な場合に用いられますが、given that節の場合はその曖昧さがなくなるからだそうです。if, provided (that) が on (the) condition that (もし~なら)に対して、given that ~ = considering that ~ (~であるので)という意味になります。
参考サイトon condition / provided that it be…参考サイトgiven that , provided that ,on condition that ?
参考サイトgiven that, provided that
supposing
supposing を仮定法で使う場合は、imagine ~、という感じになるみたいです。想像してみて下さい、考えてみて下さい、のように訳せます。first conditionalなら、ifの話しであっても可能性が多少は残っているので、全くの夢物語というわけではなくなります。
例えば、Supposing you lose your job tomorrow, what will you do? 明日失業するとしたら、みたいな意味合いになります。人によっては明日本当に失業する可能性もあるので、完全に空想というわけもありません。
パスワードを無くしたとしたら、どうします?
supposing = on the assumption that = assuming that と言っているネイティブもちらほら見受けられます。
参考サイトsupposing/suppose/ifto不定詞
これは受験英語の中で、特に定番中の定番の書き換え問題の一つです。
To hear him speak English, you would take him for an American.
もし、彼の英語での会話を聞けば、アメリカ人と間違えるでしょう。
参考サイトConditionals: other expressions (unless, should, as long as)
参考サイトTo hear him speak English = If one were to hear him speak English?